月刊誌「りぶる」特集 11月号より

党社会保障制度調査会の「誰もが安心して歳を重ねることができる『幸齢社会』に向けた包括的支援プロジェクトチーム」は、「幸せな身じまい」を実現できる社会を構築するための提言を取りまとめ、6月17日、政府に申し入れました。加藤勝信座長に「幸齢社会」や必要な支援、提言の概要・ポイントなどについて伺いました。
取材日:令和8(2026)年9月4日
―近年の社会構造の変化をどのように捉えていますか。
加藤勝信党社会保障制度調査会「誰もが安心して歳を重ねることができる『幸齢社会』に向けた包括的支援プロジェクトチーム」座長(以下、敬称略)少子高齢化や人口減少等の進行により、わが国の社会構造は変化してきており、一人暮らしの世帯がかなり増えています。一般世帯に占める単独世帯の割合は、令和2(2020)年の38.0パーセントから令和32(2050)年には44.3パーセントになると推計されています。
これに伴い単身高齢世帯が増加することが見込まれています。ひと口に“単身高齢世帯”と言っても、その中には近くに家族や子供、親戚が住んでいる人がいれば、こうした家族等がいない人もいます。
また、家族がいても遠方に住んでいたり、さまざまな事情から頼ることが難しかったりする人もいます。
こうした家族がいない、あるいは家族からの支援が期待できない、いわゆる“身寄りのない高齢者等”も増加してきており、わが国は今、深刻な社会課題に直面していると言えます。
―身寄りのない高齢者等が増えると、どのようなことが起こりますか。
加藤身寄りのない高齢者等に自活する力があれば生活はできますが、年齢を重ねていくと認知機能や、歩行・動作などの身体機能が自然と低下してきます。
家族からの支援を受けられる環境下であれば、家族が高齢者の日常生活を支え、入院や入所、さらには亡くなった後の葬儀や相続などの手続き等を担うことができます。しかし、身寄りのない高齢者等はその担い手がいないため、家族以外の誰が、どのような仕組みで担っていくのかという問題が生じているのです。
このことに私が問題意識を持つようになったのは、平成30年7月豪雨で地元の被災地を視察した時です。自宅が水没した70代のご夫婦は、ご自身の名義では一時的に住む家を借りることができず、大変ショックを受けていました。これがきっかけで、いろいろ調べていくと、高齢者は家を借りることが難しい場合があるだけでなく、医療機関への入院時や介護施設等への入所時には身元保証人を求められるなど、さまざまな障壁があることが分かり、支援の必要性を実感しました。
さらには、引き取り手のない遺体は全国で約4.2万人いると推定されています。亡くなった後に長期間発見されない孤立死の問題も深刻化しています。
このように安心して身じまいができない、最期まで安心して生活することがなかなか難しい社会になってきているという危機感のもと、令和5(2023)年11月、党内の社会保障制度調査会の中に「誰もが安心して歳を重ねることができる『幸齢社会』に向けた包括的支援プロジェクトチーム(以下、PT)」が立ち上がり、現在私が座長を務めています。
幸齢社会とは、PT発足時の岸田文雄総理が提唱した理念で、全ての人が安心して歳を重ね、いくつになっても幸せに暮らせる社会の実現を目指しています。
―身寄りのない高齢者等には、どのような支援が必要だとお考えですか。
加藤主に三つあると考えます。一つ目は、買い物や金銭管理などの日常生活に関する支援です。 二つ目は、医療機関への入院や介護施設等への入所に伴う手続きや身元保証に関する支援です。この中には、緊急時の連絡や入退院・入退所の事務手続きなど、医療機関や施設から求められるさまざまな対応も含んでいます。
そして三つ目は、亡くなった後の葬儀や納骨の手配、住居や電気、ガスなどの契約の解約、家財の処分といった「死後事務」に関わる支援です。 このように人生の終盤には切れ目のない支援が必要ですが、現在の制度は分野ごとに分かれており、家族が担うことが“暗黙の前提”になっています。

―家族が担うのではなく、医療制度などでは支えられないのでしょうか。
加藤高齢者医療制度や介護保険制度、さらに成年後見制度などがありますが、全てに対応しきれていないのが実情です。
家族に頼れない人が増える中で、家族が担ってきた役割を社会がどのように担っていくのかを、しっかりと議論していく必要があります。その際、ご本人が最期までの人生をどのように過ごしたいのかを丁寧に見ていくことが重要なポイントだと考えます。
インタビューの続きはりぶる本誌でご覧ください

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