東日本大震災から11年を迎えて

令和4年3月11日

一、はじめに

東日本大震災の発生から12年目を迎えようとしています。復旧・復興の司令塔として設置された復興庁も本年2月で10年が経ち、復興のステージは第2期復興・創生期間に入り、新しい課題に取り組んでいます。
一方、私たちはいまなお多くの方々が避難生活を強いられていることが厳然たる事実であることを忘れてはなりません。
さらに、ふるさとに帰られ生活基盤をつくり、街のにぎわいを取り戻そうと懸命に頑張っておられる方々こそ、真の"開拓者"であり、しっかりと支援をしていくことが求められています。

また、一昨年来、日本では新型コロナウイルス感染症の拡大が続いていることから、被災地においても新型コロナ感染症克服と今後の復興・創生事業について政府・与党一体となって万全を期してまいりたいと思います。

私たちは、重点課題として、①創造的復興の中核拠点としての国際教育研究拠点の整備、②特定復興再生拠点区域外における対応の具体化、③ALPS処理水の処分―などについて、地域の皆様のご意見をうかがいながら政策提言を行い、現在、これらの課題の実現について政府と率直に意見交換、調整を進めているところであります。
今後も被災地の皆様に寄り添いながら、こうした課題解決に真正面から取り組み、新しい東北地方と日本再興のために全力を尽くしてまいります。

一、福島国際研究教育機構

いま、日本は、ポスト・コロナをにらんで、革新的なイノベーション、産業構造の転換、グリーン社会の実現、デジタル化など、画期的な構造改革に取り組んでおります。
こうした新しい構造改革の流れは、福島、東北地方のピンチをチャンスに変える好機であり、その切り札となるのがこれまでに進めてきた国際教育研究拠点の構想であります。

これは、日本のみならず世界に共通する課題解決に資するイノベーションの創出を目指していくものであるのと同時に、研究開発の成果を社会に実装化することで、福島ひいては日本の産業発展に繋げていくものであります。

政府においては、岸田総理のリーダーシップの下で、政府一丸となった取組みを求めるとともに、与党としても、その創設に全力を注いでまいります。

一、原子力事故災害被災地域について

原子力事故災害被災地域においては、本格的な復興・再生に向けた取組みが始まっています。
避難住民の帰還の促進に加え、域外からの移住・定住の取組みを促進するための「ふくしま12市町村移住支援センター」が昨年7月に開所しました。大熊町では、昨年4月に商業施設「おおくまーと」が、続けて10月には交流施設「linkる大熊」と宿泊温浴施設「ほっと大熊」がオープンしました。町のイベントや交流会が町内で開催できるようになり、町内では10年ぶりとなる成人式が開催されるなど、にぎわいを取り戻す取組みが一歩ずつ進んでいます。
帰還困難区域については、特定復興再生拠点区域の避難指示解除に向けて、除染やインフラ整備が進められています。葛尾村、大熊町、双葉町では、特定復興再生拠点区域の避難指示解除に向けて、準備宿泊が始まりました。
与党は昨年7月、特定復興再生拠点区域外について、2020年代をかけて、帰還希望者が全員帰還できるように取り組むよう政府に提言しました。政府は、拠点区域外の住民の意向を個別に丁寧に把握し、帰還に必要な箇所の除染などについて、十分に地元自治体と協議しながら進めるとの基本方針を決定しています。
また、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水・処理水対策、中間貯蔵施設の整備や除去土壌等の運搬、減容・再生利用などについても着実に進める必要があります。
昨年4月にはALPS処理水の処分に関する基本方針が政府から示され、12月には行動計画が定められました。
被災者の皆様、漁業者の皆様などとの対話の機会を積極的に設け、ご懸念を有する方々の思いをしっかりと受け止め、関係者への丁寧な説明や徹底した風評対策に取り組み、信頼を確保した上で万全の対策を講じてまいります。

一、地震・津波被災地域について

地震・津波被災地域では、災害公営住宅や高台移転の整備は完了し、昨年12月には、三陸沿岸道路がついに全線開通しました。これにより、沿岸部の移動時間が大幅に短縮され、地域産業の活性化や日常生活の利便性向上が期待されます。
岩手県陸前高田市の高田松原では、津波で流出した松の植樹が全て完了し、高田松原海水浴場では11年ぶりの海開きが行われ、かつての景色が戻りつつあります。
他方で、被災者の方々の心のケアやコミュニティ形成等のソフト施策においては息の長い取組みが必要です。
また、地方創生施策とも連携した交流・関係人口の拡大や水産業、観光業など地域に根差した産業・なりわいの振興にも、引き続き全力を尽くしていく必要があります。

一、復興の姿の発信と震災の記憶・教訓の継承

昨年は、「復興五輪」として東京オリンピック・パラリンピック競技大会が開催され、世界のアスリートが被災地でも躍動しました。新型コロナウイルス感染症の影響があったのは残念でしたが、ソフトボールのアメリカ代表監督が「福島の桃はデリシャスだった」と述べたことが世界中に報道されたのは記憶に新しいところです。これからも機会を捉えて、復興の進捗や被災地の魅力を世界に発信していくことが重要です。

特にALPS処理水をはじめとする原子力災害に関する情報発信については、丁寧に取り組まなければなりません。科学的な根拠に基づいた正確な情報発信に努めるとともに、科学的に安全であることを伝えるだけではなく、わかりやすい情報を繰り返し説明していくことによって説明責任を果たし、国内外で徹底的な理解醸成を図ってまいります。

また、復興の記憶と教訓を後世に継承する取組みも忘れてはなりません。昨年6月には、宮城県石巻市において「みやぎ東日本大震災津波伝承館」が開館し、福島県でも浪江町の請戸小学校が県内初となる震災遺構として昨年10月に開館するなど、貴重な遺産が整備されています。政府においても、これまでの復興政策の評価や課題を取りまとめる取組みが進められており、今後起こり得る大規模災害からの復興に生かしていかなければなりません。

3月11日の追悼式についても、犠牲になられた方々に哀悼の意を表することに加え、防災意識の向上を目的とした集いを開催するなど、震災の記憶と教訓を未来につなぐ機会とする自治体も増えてきています。
政府・与党としても、これからも被災地に足を運んで地域の皆様の声を直接お聞きし、復興の加速化に取り組んでまいります。

一、むすび

令和4年度は、第2期復興・創生期間の2年目となります。
自由民主党東日本大震災復興加速化本部としては、心のケア等の残る課題について必要な支援を行うとともに、原子力事故災害被災地域の本格的な復興・再生に取り組みます。
これらの取組みを通じて、単に震災前の状態に戻すのではなく、「創造的復興」を成し遂げ、日本の将来の地平を切り拓いていきたいと決意を新たにしています。
引き続き私たちは責任ある与党の一員として、被災者の皆様の声に真摯に耳を傾け、その心情に寄り添いながら、東日本大震災における経験と教訓を決して風化させることなく将来へと継承していかなければなりません。
そして、中長期的な視点に立って将来の発展の方向性を間違うことのないように、現場主義と政治主導のもとに、これからも責務を果たしていくことをお誓いし、東日本大震災11年のメッセージとしたいと思います。