東日本大震災から10年目を迎えて

2020年3月11日

一、はじめに

地震と津波で2万人あまりの尊い生命を犠牲にした東日本大震災が発生してから9年の月日が経ちました。10年間の復興期間も、あと1年となりました。私たちは、いまだに被災3県で5万人近い方々が避難生活を強いられていることを決して忘れてはなりません。
また、昨年10月の台風19号等による風水害は、東日本大震災の被災地にも大きな被害をもたらしました。改めて、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された方々に心からのお見舞いを申し上げます。度重なる災害に見舞われた被災者の方々が一日も早く生活と生業を再建できるよう、与党・政府を挙げて必要な支援を着実に実施してまいります。

わが党はこれまで、被災者の方々に寄り添う現場主義の視点と果断な政治主導により、累次にわたり課題解決のための政策提言を行い、被災地の復興に邁進してきました。
昨年も、与党第8次提言において復興庁の設置期限の延長や、復興特別会計、震災復興特別交付税といった財源・制度の手当てなど、復興期間後を見据えた復興の道筋をお示ししました。これを踏まえ、政府は昨年末に「復興・創生期間後の復興の基本方針」を閣議決定し、先般、今通常国会に関連法案を提出したところです。

一、地震・津波被災地域について

この1年を振り返ってみますと、地震・津波被災地域では、ハード面の復興は、災害公営住宅建設、高台移転事業ともに昨年にはおおむね完了しました。残る復興道路・復興支援道路、海岸整備等の事業についても、復興期間内の完了を目指し全力で取り組んでいます。

そのほか、岩手県では、昨年9月のラグビーワールドカップ日本大会の公式試合が釜石市の鵜住居復興スタジアムで行われ、駆け付けた1万4千人を超える世界中のファンを前に、地元の小中学生が、「ありがとうの手紙」を合唱し、これまでの復興に対するご支援について感謝の気持ちを披露しました。また、陸前高田市では、高田松原津波復興祈念公園内に、国営追悼・祈念施設、道の駅を一体的に整備した「伝承館」がオープンしました。

宮城県においても昨年、気仙沼大島大橋と仙台市の東部復興道路がそれぞれ開通したほか、新しい商業施設として、名取市の「かわまちてらす閖上」、気仙沼市の「野杜海(のどか)」がオープンするなど、インフラ整備と産業・生業の再生に向けた賑わいの拠点づくりが着実に進んでいます。
他方で、被災者の心のケアや地域コミュニティの再構築、土地区画整理事業等による宅地造成後に生じた空き地の有効活用に向けた取組みなど、復興期間後も支援が必要なものも残されています。また、三陸沿岸地域では、水産業や造船業などの地場産業が低迷し、今後、持続的な経済発展をいかに実現していくかが大きな課題となっています。

一、原子力事故災害被災地域について

原子力事故災害被災地域では、昨年4月に全域避難指示区域だった大熊町の一部地域が避難指示解除となり、新しい町役場で業務が再開されたほか、常磐線の新駅「Jヴィレッジ駅」とともに、Jヴィレッジそのものが新たに衣替えを果たし、"魅力的なトレーニングセンター"として大きな注目を集めています。
そのほか、帰還困難区域についても、特定復興再生拠点区域の避難指示解除に向けて、除染やインフラ整備が進んでいます。本年3月には、JR常磐線が全線運転再開するばかりでなく、品川・仙台間直通の特急が新設されます。これにともない、双葉町、大熊町、富岡町において、駅を中心とした周辺区域の避難指示が解除されるなど、避難地域の復興が着実に前進しつつあります。
また、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉・汚染水対策、中間貯蔵施設の整備や除去土壌等の運搬・適正管理も着実に進める必要があります。
加えて、福島県のみならず、宮城県・岩手県等においても依然として農林水産物等に対する風評被害が続いており、国内外の人々に向けて被災地の現状を正しく理解していただくための積極的な情報発信に努め、諸外国・地域の輸入規制の撤廃に向けた精力的な働きかけを行っていきます。

一、復興五輪開催にあたって

本年7月から、東京オリンピック・パラリンピック競技大会がいよいよ開催されます。3月26日には聖火リレーがJヴィレッジからスタートします。聖火リレーで使用されるトーチのデザインは、福島県の小学生が描いた桜の絵をヒントにして描かれたものです。また、表彰式でメダリストに贈られるブーケには、被災地で育てた花々、具体的には、福島県産のトルコキキョウ、宮城県産のヒマワリやバラ、岩手県産のリンドウ等が使われる予定です。さらに、被災3県の各市町村では、ホストタウンとして各国の関係者を迎え入れることになっています。このような取組みを通じ、被災地の復興に向かう姿や、世界中からいただいた支援への感謝の気持ちとおもてなしの心を込めた被災地のメッセージが世界中に伝わることを確信しています。

一、復興庁の設置期限の延長

自由民主党東日本大震災復興加速化本部は、東日本大震災の教訓を踏まえ、これまで累次にわたり、常に国民の生命、身体、財産等を守るため、国土保全と危機管理体制の強化を図っていくことが政治の責任であり、使命であるとの訴えを行ってきました。

特に、東日本大震災からの復旧・復興、再生を目標としてきた復興庁の後継組織について、被災地の皆様のご要望にお応えし、10年間の復興期間後も現在の組織を存続し、現行のまま総理直轄の組織とし、専任の復興大臣を置いて、政治の責任とリーダーシップの下で東日本大震災からの復興再生を成し遂げていくことを求めました。

このことについて政府は、与党の要請に応え、復興庁は引き続き内閣直属の組織とし、内閣総理大臣を主任の大臣とするとともに、これを助け、復興庁の事務を統括する等のために復興大臣を置き、また、復興事業予算の一括要求や地方公共団体からの要望等へのワンストップ対応など、現行の総合調整機能を維持するものとされました。

一、新しい防災体制の構築

また、私たちは、東日本大震災において復興庁を設置した意義、その成果を活かしていくため、一般防災、原子力防災体制についても各省庁の縦割りを排して司令塔機能を一元化し、政治の責任とリーダーシップの下で防災・減災、応急対策、復旧・復興を一貫して成し遂げられる体制を構築、強化していくことを提言してきました。

この結果、政府は来年度に第一段階として司令塔機能の一元的発揮のため、内閣官房(内閣危機管理監)と内閣府防災・原子力防災の一体化、関係省庁の連携強化を図ることにしています。このため、内閣官房、内閣府(防災・原子力防災)で関係業務を担う所要の職員については相互併任発令を行い、一体的に業務を行うこととしています。

さらに、司令塔機能を強化するための第二段階として、災害対策基本法の改正などを行い、内閣危機管理監の法的権限を明確化し、災害発生時の連携対応を万全なものとするとしています。

いま、日本を含む世界中の国々の人々が新型コロナウイルス感染症の拡大に不安と動揺をきたしております。私たちは、自然災害や原子力災害ばかりでなく、感染症対応を含むあらゆる事態に備えた総合的な危機管理体制の構築が求められており、これが喫緊の課題であることを共有しなければなりません。

一、むすび

令和2年度は、10年間の復興期間の最後の1年となる節目の年であります。自由民主党東日本大震災復興加速化本部としては、地震・津波地域の復興の総仕上げを行うとともに、福島の原子力事故災害被災地域の本格的な復興への地ならしを行い、新しい東北地方の発展の土台を確実なものとしていきたいと決意を新たにしています。