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月刊誌「りぶる」 3月号より

乳がん・子宮頸がん
検診率向上へ

特集1:インタビュー

野田聖子 乳がん・子宮頸がん検診促進議員連盟会長
野田聖子 乳がん・子宮頸がん検診促進議員連盟会長

3月1日~8日は「女性の健康週間」、同8日は「国際女性デー」です。“健康”は、女性活躍のために欠かせないテーマ。乳がん・子宮頸がん検診促進議員連盟の野田聖子会長に、検診の重要性、検診率向上に向けた議員連盟の取り組みなどについて伺いました。

取材日:令和3(2021)年1月13日
※感染症対策を十分に実施した上でインタビューを行っています。マスクは撮影時のみ外しています。

日本人女性と子供の健康、命を脅かす
乳がん、子宮頸がんはどんな病気?

―女性の健康について、お考えを聞かせてください。

野田私はもともと健康体で、これまで大きな病気にかかったことがありません。しかし10年前に産んだ息子は、食道閉鎖症や臍帯ヘルニアなど、いろいろな病気を持っていました。生まれてから2年ほどの歳月を病院で過ごし、十数回の手術を受けました。私と真逆で〝健康〟を知らない子供だったので、助けたい一心で医学生と同じくらい勉強しました。親って、子供のことだと一生懸命になりますよね。そうするうちに、さまざまな専門の医師とのつながりができたのです。
 医師たちと交流していると、健康や医療に関してさまざまな課題が見えてきます。その一例が乳がんと子宮頸がんでした。これらは、対策次第で予防や早期発見・治療ができる病気にもかかわらず、日本ではいまだに女性たちの健康や命を脅かしています。実際に、乳がんは年間で約9万1600人が発病し、約1万4600人が亡くなっています。同様に子宮頸がんは約1万1000人がかかり、約2800人が死亡。さらに、治療のために30代までに子宮を失い、子供を産めなくなってしまう人が毎年約1200人もいるのです。

―乳がんは、どのような病気ですか。

野田40代後半から閉経前にかかることが多く、家庭や社会での働き盛りを襲う病気といえます。しかも20代~30代の患者も少なくなく、まれに男性が罹患することもあります。早期に発見すれば90パーセント以上の確率で治りますが、進行するとがん細胞がリンパ節や骨、肺、肝臓などに転移して、さまざまな症状が起こることがあります。
 乳がんの発生や進行には、女性ホルモンのエストロゲンが深く関係しています。特に初経年齢が早くて閉経年齢が遅い、出産歴や授乳歴がない、初産年齢が高い、閉経後の肥満、飲酒習慣、家族に乳がんにかかった人がいる、良性乳腺疾患の既往歴がある人などがかかりやすいといわれています。

野田聖子 乳がん・子宮頸がん検診促進議員連盟会長

―子宮頸がんについては、いかがですか。

野田20代から患者が増え始め、30代後半から40代でかかる可能性が高い病気です。主にヒトパピローマウイルスに感染することで起こります。このウイルス感染は主に性的接触で起こりますが、ほとんどは自然に消滅し、がんに進行するのはごく一部です。早期に発見すれば高い確率で治すことができますが、進行すると手術しなければならず、妊娠できなくなったり、妊娠しても早産のリスクが高まったりする可能性があります。
 私の友人に、タレントの向井亜紀さんがいます。彼女は35歳の時に妊娠すると同時に、子宮頸がんが見つかりました。初めは子供の命を守りながらの治療を試みますが、残念ながらがん細胞は取り切れず、子宮の全摘手術を受けざるを得ませんでした。この手術で子宮とともに、心拍のある子供と〝サヨナラ〟しなければならなかったのです。

 また今年1月、極めて由々しき事態がニュースになりました。子宮頸がんにかかった母親のがん細胞が出産時に移行し、子供が肺がんを発症した二つの事例が、世界で初めて見つかったのです。これらは出産時に産声を上げた赤ちゃんが、羊水に混じった母親のがん細胞を肺に吸い込んでうつったと考えられています。二人の赤ちゃんは治療で回復しましたが、お母さんは二人とも子宮頸がんのために亡くなったそうです。
 こんな悲しいことが、二度とあってはなりません。つらい思いをする親子をなくすため、また女性自身と子供の命を守るためにも、しっかりと子宮頸がん予防対策をしなければなりません。

―子宮頸がんには、ワクチンがありますね。

野田子宮頸がんはワクチンで予防できる数少ないがんです。定期接種の対象は小学校6年生~高校1年生で、原因となるウイルスの50~70パーセントを防げます。日本では平成21(2009)年に承認され、厚生労働省が接種を推奨してきました。
 しかし、本当に残念なことですが、接種後の痛みや手足のうごかしにくさ、不随意運動※などさまざまな症状が報告されました。重い症状はまれで、ワクチン接種との因果関係は明らかになっていません。副反応のリスクがあるのは子宮頸がんワクチンに限らず、他のあらゆるワクチンも同じ。〝100パーセント絶対安全〟にはできないのですが、この子宮頸がんワクチンによる副反応はマスメディアでセンセーショナルに報道され、国民に大きな衝撃を与えました。その結果、平成25(2013)年に厚生労働省が「積極的な勧奨を控える」と発表し、接種率が急減しました。
 しかしながら、このワクチンは世界的に標準化され、100カ国以上が公的な予防接種として実施。特にイギリスやオーストラリアでは約8割の接種率を実現しています。一方、日本の接種率は1パーセントほど。このままでは20年後、子宮頸がんで命を落とす、妊娠できなくなる女性がいるのは世界で日本だけという悲劇が起こるのではないかと私は危惧しています。日本は超高齢社会でただでさえ人口減少が進んでいるのに、子宮頸がんワクチンが浸透しないために、それにさらなる拍車をかけてしまう可能性が高いのです。
もちろん、一人一人がワクチンの効果とリスクを十分に理解した上で、受けるかどうかの判断はご自身でしなければなりません。しかし国は、希望者が全員接種できるよう、ワクチンを無料化するなどの支援を検討すべきだと考えます。

※自分の意思と関係なく、体の一部が勝手に動いてしまうこと

インタビューの続きはりぶる本誌でご覧ください

りぶる3月号

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発行日 毎月15日発行
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