月刊誌「りぶる」特集 11月号より
自由民主党行政改革推進本部の規制改革等に関するプロジェクトチームは、「規制改革等に関するプロジェクトチーム提言~『実証から実装へ』『点から線や面へ』『過疎地域等から先導的に』~」を取りまとめ、令和7(2025)年5月13日に石破茂総理へ申し入れました。長谷川淳二事務局長に提言の概要やポイント、社会実装の加速化に向けた取り組みなどについて伺いました。
取材日:令和7(2025)年9月9日
―党行政改革推進本部規制改革等に関するプロジェクトチームについて教えてください
長谷川淳二党行政改革推進本部規制改革等に関するプロジェクトチーム事務局長(以下、敬称略)総裁直属機関である行政改革推進本部内に設置されたプロジェクトチームの一つです。政府が国内外の諸問題に柔軟かつ確固たる対応ができるよう、党内で規制改革等についての議論を重ね、さまざまな提言を行っています。今年から加藤竜祥衆議院議員を座長とする新体制がスタートし、私が事務局長を務めています。
私の選挙区である愛媛県第3区は、過疎化が急速に進んでいます。この職務を拝命するに当たり、行政改革推進本部の棚橋泰文本部長に「地方の視点に立った規制改革等を行っていきたい」と伝えると、棚橋本部長は「大いに結構だ」と背中を押してくださいました。地方は人口減少をはじめ、労働力不足や経済の縮小、行政サービスの低下等の深刻な課題が山積しています。
地方創生や産業競争力強化につながるような規制改革の在り方等について、しっかりと議論する必要性を感じています。
―今、なぜ規制改革が必要なのでしょうか。
長谷川規制や、それを所管する組織・人のマインドがこのまま続けば、日本の制度や仕組みの“ガラパゴス化”はさらに進み、国際的な競争力を失う可能性があるからです。
日本の科学技術水準は基礎研究を含めて非常に高く、例えばドローンの原型であるマルチコプターを世界に先駆けて開発したのは日本の企業です。しかし、「前例がない」等の理由や規制の壁に阻まれて、社会実装や商品化が進んでいません。その結果、ドローンの生産シェアは中国等に大きく先行されているのが実情です。
今こそ強い危機感を持って、規制や制度を不断に見直し、スピード感のある大胆な改革を進めなければなりません。
―5月に取りまとめた「規制改革等に関するプロジェクトチーム提言」について、教えてください。
長谷川わが国の社会課題を解決する鍵となるのが、AIをはじめとするデジタル技術の利活用です。これらの社会実装を加速化するため、(1)ドローンによる生活必需サービスの確保(2)自動運転バスによる地域の足の確保(3)オンライン診療による地域医療の確保(4)インフラ維持管理DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進―の四つを重点項目(資料1参照)とした提言を取りまとめ、5月13日に石破茂総理に申し入れを行いました。
ドローン、自動運転、遠隔医療等の社会実装は、人口減少が著しい地方の課題を解決するとともに、新たな生活必需サービスを創出し、わが国の産業競争力強化につながると確信しています。
―提言のサブタイトルは「実証から実装へ」「点から線や面へ」「過疎地域等から先導的に」ですね。
長谷川はい。提言基本的な考え方をサブタイトルに示しました。
現段階で“実証”や“点”にとどまっているデジタル技術の利活用や許可・承認手続き等を、次のステージである“実装”や“線・面”に広げていくことが重要だからです。
また、過疎地域は解決しなければならない課題が多く、実証実験を行うフィールドとしての強みがあることから、過疎地域等から先導的に取り組んでいくべきだと考えます。
―フィールドとしての強みについて、教えてください。
長谷川実装や商品化につなげていくためには、何よりもデータの蓄積が重要です。例えば、自動運転車がもっと走行できる環境が整えば、日本の道路事情に合ったデータを蓄積することができるのですが、現状は「事故があった時に困るから」等の理由で、走行する機会は非常に限られています。
それならば発想を逆転させて、事故のリスクが低い過疎地域を実装のフィールドにしてはどうかと考えました。地域の皆さまのご理解を得た上で、過疎地域等から大胆な規制改革と、データの蓄積を行うよう要望したのが、われわれの提言です。
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