月刊誌「りぶる」特集 7月号より
党国土強靱化推進本部 南海トラフ地震対策検討委員会は、「『南海トラフ地震防災対策推進基本計画』の策定にあたっての考え方(案)」を示した提言を取りまとめました。細野豪志委員長に、南海トラフ地震の概要、被害想定、提言の要点などを伺いました。
取材日:令和7(2025)年5月7日
―党国土強靱化推進本部 南海トラフ地震対策検討委員会について教えてください。
細野豪志党国土強靱化推進本部 南海トラフ地震対策検討委員会委員長(以下、敬称略)過去の災害の経験や教訓を生かし、南海トラフ地震が発生した場合に起こり得る、さまざまな事態を想定した対策を検討するために発足しました。
南海トラフ地震の震源域は、駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界です(資料1参照)。かつては東海地震、東南海・南海地震とも呼ばれていました。南海トラフ地震が恐ろしいのは、過去に何度も繰り返し発生してきたこと(資料2参照)。そして、昭和19(1944)年の昭和東南海地震と昭和21(1946)年の昭和南海地震のように時間差で連続して発生する可能性があることです。
さらに、江戸時代には宝永地震の49日後に富士山宝永噴火や、安政東海・安政南海地震と首都直下地震の安政江戸地震が短期間に連続して発生するなど、高い警戒が必要です。
―過去に、南海トラフ地震はどのくらいの周期で発生してきましたか。
細野おおむね100年~150年です。直近の昭和東南海地震・昭和南海地震から80年ほどが経過しており、地震発生の切迫性が高まってきています。今後30年以内にマグニチュード8~9クラスの地震が発生する確率は約80パーセントと予測されています。
30年といえば、誰もが具体的にイメージしやすい近い将来ではないでしょうか。その間に約80パーセントの確率で発生するというのですから、この予測がいかに現実味を帯びているのか、『りぶる』読者の皆さまにもご理解いただけると思います。
―南海トラフ地震が発生した場合の震度や被害想定等を教えてください。
細野最大震度7の強い揺れ(資料3参照)とともに、最大30メートル超の津波が予測されています。
関東から四国・九州に至る極めて広い範囲で、過去に類を見ない甚大な被害が生じる恐れがあります。
今年3月31日、国の「南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループ」は、最新の知見に基づき、新たな被害想定を公表しました。
それによると、震度6弱以上、または3メートル以上の津波は、最大で31都府県の764市町村に襲来することが予測されています。被災面積は日本全土の約3割に及び、この地震によって日本の約半数の人が多大な影響を受けることが示されました。
具体的な被害想定を説明します。
人的被害は、建物倒壊による死者数が約7万3000人。津波による死者数は早期避難意識が低い場合、約21万5000人です(資料4参照)。
災害関連死者数は、平成23(2011)年の東日本大震災時のおよそ14倍となる約5万2000人と推計されています。これは、東日本大震災(岩手県・宮城県)と、昨年1月に発生した令和6年能登半島地震の状況を踏まえて算出した人数であり、発災後の状況によっては被災者が十分な支援等を受けられずに、災害関連死者数はさらに増加する懸念があります。
また、想定される最大避難者数は、日本の人口の約1割を占める約1230万人です。避難所等において体調を崩すことがないようTKB(トイレ・キッチン[食事]・ベッド)をしっかりとサポートできる体制づくりが急務だと考えます。これらを整えることが、被災者の命を守るためには重要です。
また、想定される最大避難者数は、日本の人口の約1割を占める約1230万人です。避難所等において体調を崩すことがないようTKB(トイレ・キッチン[食事]・ベッド)をしっかりとサポートできる体制づくりが急務だと考えます。これらを整えることが、被災者の命を守るためには重要です。
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