政策国会国会演説代表質問

第217回国会における石田昌宏参議院議員代表質問

代表質問を行う石田昌宏参議院議員

自由民主党の石田昌宏です。
会派を代表して、国民年金法等改正案について、質問いたします。

高齢者は65歳からと言われますが、日本では、法律上の明確な定義はありません。
一般的に65歳以上を「高齢者」と呼ぶのは、1950年代後半に国連が「65歳以上の割合が7%をこえる社会を高齢化社会とする」という基準を設けたことに由来します。ちなみにこの頃、日本人の男女合わせた平均寿命は64歳でした。その後、平均寿命は大きく伸びましたが、この65歳という基準は変わっていません。
65歳という年齢は、法律では年金の支給開始年齢や介護保険の給付の年齢で使われていますが、これは支給開始の年齢であり、「高齢者」を示すものではありません。
人は年を重ねるほど体力や気力、社会生活、所得など一人一人の違いは広がっていきます。
社会保障政策を議論するにあたり「高齢者」とはそもそも誰か、改めて考え直すべきだと思います。
さて、年金は経験を重ねた人々の生活を支えるために、最も長期的に安定が求められる社会保障制度です。
そのために、その議論も長期的な変化を見据えたものであるべきで、日本人の大幅な長寿化や日本人人口の減少を正確に反映しなければなりません。
昭和36年に我が国が国民皆年金を実現してから、来年は65年になります。
この間の寿命と人口の変化がどのくらい年金制度に反映されてきたのか、福岡厚生労働大臣に、まず確認したいと思います。
この上で、今回の年金制度見直しについて質問いたします。

急速に進行する少子高齢化を見据えて、財源の範囲内で給付費を賄うことができるよう、年金額の価値を自動調整する仕組みである「マクロ経済スライド」は、2004年改正により、導入されています。
そして、今後、デフレ経済が続いた過去30年と同じような経済状況が続くとすると、「スライド」の調整が終了するのは、厚生年金の報酬比例部分は2026年度である一方、基礎年金では2057年度となることで、基礎年金の所得代替率は、現在より三割程度低下します。
いわゆる年金の一階部分に当たる基礎年金の所得代替率の低下は、年金受給者全体に影響を与えます。
そこで、衆議院での修正により2029年の財政検証で、経済成長等の想定を見極めた上で、基礎年金の給付水準が大きく下回ることがないよう、厚生年金と基礎年金の「スライド」の調整を同時に終了させ、基礎年金の底上げを図ることができるプログラム規定が盛り込まれました。
さらに、「スライド」の同時終了で、一時的に、基礎年金と厚生年金を合計した支給額が、本来のそれよりも下がる受給者には、その緩和のための措置を講ずることも規定されました。
とはいえ、まずは、基礎年金の給付水準が大きく下がることがないよう、約30年続いたデフレ経済から完全に脱却し、賃上げを起点とした成長型経済を実現させることこそが、石破内閣の最重要課題であると考えますが、その決意を総理にお伺いします。

その上で、衆議院での修正により、経済が好調に推移しなかった場合の措置が発動されたとしても、一時的に、支給額が本来よりも下がる受給者には、その緩和のための措置が加えられたことで、全体として、就職氷河期世代を始めとする将来世代にも、足もとの受給世代にも、配慮し、年金水準の確保を図る内容になったとされていますが、石破総理の受け止めをお聞かせください。

今回の改正案では、被用者保険の適用拡大や在職老齢年金制度の見直し、遺族年金の見直し、厚生年金保険等の標準報酬月額の上限の段階的引上げなども盛り込まれています。
いずれも、社会経済の変化、働き方やライフスタイル、家族構成等の多様化等を踏まえた年金制度の機能強化や高齢期における生活の安定のために、必要な政策だと考えますが、国民の皆様には、年金制度は難解と思われており、制度への信頼も高まりません。
そこで、総理に、政府全体で、あらゆる世代に対して、年金制度の丁寧、かつわかりやすい説明をもっともっと講じ、制度に対する国民理解を深めていただきたい。このことについてお考えをお伺いして、私の質問を終わります。