政策国会国会演説代表質問

第217回国会における石井正弘参議院議員代表質問

石井正弘参議院議員

自由民主党の石井 正弘です。
私は、会派を代表して、教員給与特別措置法等の一部改正案について、質問いたします。

昨年10月、そして衆議院選挙後の11月、石破総理は、この参議院本会議場での所信表明演説で、私たちに、「人づくりこそ国づくり」と力強く語っておられました。
私は、岡山県知事の時、知事会を代表して中央教育審議会委員を務めたことがあり、教育は最も大切な国家の基盤であると考えておりますが、とりわけ、我が国は、他国と比べ、化石燃料、金属や鉱物など自前で調達できる天然資源に乏しく、自然災害が多いことから、一人一人が持つ可能性をそれぞれ最大限引き出していく教育こそが、国家や地域を維持し、発展させていく根幹となると考えています。
そこで、石破総理は、「人づくりは国づくり」と述べられた際、どのような人づくり、教育であるべきとお考えになっていたのでしょうか。ご自分のご経験も踏まえてお話しいただければと存じます。

次に教育予算についてお伺いします。
我が国は、国や地方自治体といった公的機関による教育支出を、在学者1人当たりのGDP比で見れば、OECD平均並みの水準となっていますが、支出規模のGDP比はOECD平均の七割に過ぎません。
学力と労働生産性、給与水準には相関性があるといわれていることからすれば、さらに教育投資、教育支出を高めていくことが成長戦略として不可欠であると考えます。
AIや量子コンピュータ、生命科学など、これからの経済成長や科学技術の発展にかかせない分野において、我が国の研究や技術、スキルが世界をリードするものとなるよう、まずは、これらの分野につながる基礎力をしっかりと身に着けることができるよう、義務教育における教育予算を更に充実させることに努めるべきと考えますが、石破総理の決意をお伺いします。

教育の質を決めるのは、まさに教師です。
しかし、教師の長時間労働の改善が進まず、心身を病む教職員が増え、近年では、教師を志望する人材が減少しており、同時に、現職の教師も児童生徒に向き合う時間を増やしたくても、現場の業務が多くて、できないという悪循環から抜け切れていません。
今回の法案では、教師の時間外在校等時間を令和4年の月47時間から、月30時間程度とする目標を示していますが、長時間労働の改善はもちろんのこと、この働き方改革を、教師の質、さらには教育の質の向上につなげていくことも重要です。この点について、阿部文部科学大臣のお考えをお聞かせください。

学校現場からは、教師の困難な仕事に見合った処遇が得られていない、あるいは、頑張りが報われる処遇にしてほしいという声がよく聞かれます。
本法案では、「学びの専門職」としての教師に相応しい給与改善や職責と負担に応じたメリハリある処遇を実現するために、50年振りの教職調整額の水準の大幅な引上げ、義務教育等特別手当の学級担任への加算、さらに教諭と主幹教諭の間に新たに創設する主務教諭に相応しい処遇などの改善を図ることとしています。
一方、成長と物価高に負けない賃上げによる経済の好循環の実現に向けて、特に大企業では大幅に給料が引き上げられています。
このような状況と比較すると、教職調整額について、2030年度までに10%へ段階的に引き上げるということで果たして十分なのか、という声もあります。
そこで、優秀で、やる気のある人材の確保、特に、大都市部と比べて地域手当が低い地方での教員人材不足の解消のためには、今回の法改正がもたらす成果を確認・検証しつつ、今後、さらなる措置を講ずることが不可欠だと考えますが、この点を、岡山県備前市にある日本で最も古い庶民のための公立学校である特別史跡旧閑谷学校にご縁の深い阿部文部科学大臣にお伺いして、私の質問を終わります。