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政策国会国会演説代表質問

第208回国会における宇都隆史参議院自民党政策審議会長代理代表質問

第208回国会における宇都隆史参議院自民党政策審議会長代理代表質問

自由民主党の宇都隆史です。
私は、「自由民主党・国民の声」を代表して、岸田総理の施政方針演説等に対し、質問いたします。

変異を繰り返し、伝播力を高める新型コロナウイルスは、未だに、世界中の人々の生活や企業の経営を苦しめています。
岸田総理は、施政方針演説の中で「一度決めた方針でも、より良い方法があれば、躊躇なく対応を改め、柔軟に対応を進化させていく」と述べられましたが、その姿勢に大いに賛同いたします。
ただ、その場合に重要なのが『方針を変更した根拠と決心に至る思考過程の丁寧な説明』です。総理は「判断の背景をしっかり説明する努力をしてきた」と言われます。国政の場で、政府から説明を聴取している立場からすれば、その通りだと理解いたします。
しかし、市中の声に耳を傾けると、「具体的データの開示とそれに基づく政府の判断の説明が圧倒的に足りない」という批判の声もあります。
コロナウイルスは未知のウイルスではあるものの、発生初期の一昨年と比べ、最近では徐々に様々な特性がデータ等により明らかになってきました。コロナ対応に対してもEBPMを徹底し、科学的根拠に基づく政策判断を行うべき時期に来ていると考えます。人々の権利や行動を抑制する「緊急事態宣言」や「まん延防止措置」の発出は、空気で判断してはなりません。発出や解除に当たっては地方自治体の首長とよく連携し、その数値基準等を明確に示して国民の理解を得ていかなければ、宣言を発出しても、期待した効果を得ることができないおそれもあります。
現在オミクロン株による感染が拡大している地域では、症状は比較的軽い方が多い一方で、昨年までと変わらぬ対応となっていることから、保健所等での業務は膨大となり、職員は慢性的に疲弊して、機能不全に陥っています。
そこで、現在のオミクロン株を含めたコロナの感染状況は、科学的に、エボラ出血熱、ペストなどの一類感染症、結核、SARS、MERSなどの二類感染症、コレラ、赤痢などの三類感染症や新型インフルエンザ等感染症と同等の危険性があるという政府認識でしょうか。また、どのような条件を満たせば、あるいは課題をクリアすれば、季節性インフルエンザ並みの五類感染症相当に下げられるとお考えでしょうか。総理のご見解を伺います。

オミクロン株の感染拡大により、全国の陽性者数は1月18日に3万2千人を越え、これまでに最も多かった去年8月20日の2万5990人を上回り、その後も増加しています。しかし、全国の重症者は1月19日時点で281人と増加しているものの10月20日以来の低水準となっています。陽性者数が爆発的に増加しても、重症者の数はそれよりも低い伸びとなっているのがわかります。
陽性者数が増えても、症状が軽く医療逼迫に至らない状況であれば必要以上の経済的制限をかけるのは過剰反応といえます。総理は「病床の稼働状況の見える化を強化する」と言われますが、マスコミの報道等により日々の陽性者数だけが一人歩きすることで、国民に不安と苛立ちが募っています。
国民自身が判断できる数値情報を適切に提供するという観点から、日々の陽性者数については病床使用率とセットで示し、医療逼迫度を国民に分かりやすく可視化することが大切であり、報道機関も活用した情報発信の工夫に努めてはいかがかと思いますが、総理のご所見をお聞かせください。

ワクチンによる感染予防効果や発症予防効果等は、オミクロン株に対しても、3回目接種で更に高くなることから、政府は、3回目のワクチン接種を積極的に推進しています。
ただ、わが国がG7の中でも最も高い2回目ワクチン接種済率となっているのは、国を挙げたワクチン接種体制の整備等があったことは確かですが、ワクチン接種に関する情報を広く提供したことで、国民の皆様からワクチンへの信頼を得ることができたのも大きいと感じています。
しかし、3回目接種については、1回目2回目と異なるワクチンを接種する交互接種が一定数想定されていることなど、これまでとは違う環境となっています。また、既に3回目を接種した者からの情報では、3回目の副反応はかなり強く出たという話を耳にしたこともあります。またすでに罹患した者は抗体数値がワクチン接種者よりも数倍高く、同量のワクチンを2回も接種する必要がないこともわかってきました。
そこで、3回目以降の接種については、これまでの副反応等の症例を広く開示するとともに、既に罹患した者には抗体数量検査も推奨しつつ、慎重に進めるべきと考えますが、この点について、総理のご所見をお聞かせください。
また、ワクチンパスポートについて、ワクチン接種からの時間が経過すれば、感染予防効果が逓減することから、回数を基準とした接種証明書の発行は意味をなさないのではないかという意見もあります。今後は回数のみにこだわらず、抗体数量もワクチンパスポートによる行動緩和等の条件に加えるべきではないかという意見もありますが、総理の見解を問います。
さらに、12歳以下のワクチン接種について、海外のデータでも健康な若年男性を中心に、心筋炎・心膜炎の発症例が報告されているという情報もあることから、その安全性や必要性に対して保護者も不安や疑問を抱えてしまい、接種を躊躇ってしまうことも考えられます。昨日、新型コロナウイルスワクチンの接種対象を5歳から11歳までに広げる特例承認が出され、3月にも接種が始まる見通しですが、保護者が12歳以下のワクチン接種について正しい判断ができるよう、政府による科学的根拠を伴う説明と、リスクに関する情報開示の徹底が必要と考えますが、総理のお考えをお聞かせください。

各自治体がワクチン接種を行える状況にあるとすれば、自衛隊による大規模接種会場を再設置する必要性があるのでしょうか。1・2回目の接種時は、自治体も混乱し、急を要する感染拡大状況でもあったため致し方ないと思いますが、3回目のワクチン接種については、前回の経験や知見もあることから、自治体で十分に対応できるのではないかと考えられますし、基本的に自由接種ですから三回目の接種にどれほどのニーズがあるのかも掌握できていないと聞きます。
しかも、前回の自衛隊による大規模接種会場は三ヶ月間と撤収期限を示して行いましたが、今回は現時点でも7月末までと報じられており、活動期間は半年と大幅に長くなっています。撤収の頃には四回目接種の時期とも重なり、自衛隊による大規模接種が常態化していくことを懸念します。仮に自治体や民間で十分にできるにも関わらず安易に自衛隊を使えば、自衛隊活用の悪しき前例となるばかりでなく、国防という本来任務の妨げにもなります。
今回の、自衛隊による大規模接種を再開しなければならない理由を説明いただくとともに、具体的な規模と撤収時期の考え方について、総理の所見をお聞かせください。

在日米軍が本年9月3日以降、米国出国時も日本入国時もPCR検査を省略し、我が国の水際対応と比べ、極めて杜撰な対応となっていたことは極めて遺憾です。ワクチン接種や感染状況に鑑み、日米ともに行動制限が一時緩和されていたとはいえ、オミクロン株の脅威が世界的に広がる中、双方の水際対策で同調が図れていなかったことは、同盟の信頼性にも関わる問題です。米軍の入国時の検査等について、適切な処置が実施されていることを日本政府として確認できる体制構築が求められます。地位協定に基づく日米合同委員会にて具体的な改善策を提示すべきと考えますが総理の見解を伺います。

総理が「新しい資本主義の重要な柱」とされた経済安全保障について伺います。
中国製アプリtiktokが利用者の個人情報を収集管理していた問題で、米国商務省はこれらアプリに対して国家安全保障上のリスクを唱えています。また、インド政府は国内使用を禁止し、オーストラリア政府も警戒しているとの報道があります。
また昨今、韓国にサーバーを持つLINEの閲覧履歴が、委託先の中国企業の技術者により閲覧可能となっていた問題が発覚し、改めてこれら海外SNSアプリの安全保障上の危険性がクローズアップされています。
政府や地方公共団体の中には、機密性を要する情報を取り扱う業務や個人情報を取り扱う業務についても海外SNSアプリを使用していた例もありました。機密性や個人情報に関連しない業務であったとしても、情報量や他の情報との組み合わせによっては、国民の安全を脅かすことに繋がりかねません。
そこで日本政府として、海外SNSアプリの危険性をどのように評価しているのでしょうか、また日常的に秘密に指定される情報を扱う政府職員等に対し、このような海外アプリの使用制限についてはどのような指示がなされているのでしょうか。総理に伺います。

総理は研究開発投資先としての成長分野に「AI、量子、バイオ、ライフサイエンス、光通信、宇宙、海洋」を挙げられました。しかし、航空産業もこれらの成長分野と引けを取らない有望な投資先です。
今後の研究開発投資は、コロナ収束後も見据えた中長期の経済情勢を考慮すべきであり、数年後に国際的な物流・人流が回復すれば、航空産業は今後も成長発展を続ける重要産業です。三菱スペースジェットの開発凍結に見られるように、日本の航空産業技術は戦後大きく立ち遅れてきました。その反省に立ち、コロナ禍で世界の航空産業が足踏みしている今こそ、遅れを取り戻し攻勢に転じる最大のチャンスと捉えるべきです。
また、ビフォーコロナにおいては、「安全・静寂・エコ」な日本の航空産業技術は世界から注目されており、十分な国際競争力を秘めています。気候変動問題への対応、脱炭素社会の実現は、世界が注目する成長分野であり、新しい時代の成長を生み出す可能性を秘めた国内航空産業への戦略的な投資を図るべきです。航空産業への国としての積極的な投資をお願いしたいと考えますが総理の見解を伺います。

わが国は戦後「工廠」を持たず、自衛隊を支える防衛装備品の生産・開発・整備の基盤を国内民間企業に依存してきました。
しかし、近年、国内企業の防衛産業からの撤退が相次ぎ、重大な問題となっています。すでに、防弾性能などを持つ「軽装甲機動車」の開発や陸自向けの新規の機関銃、航空機のパイロット緊急脱出装置の生産からの国内企業の撤退が決まっています。自国の防衛産業が衰退してしまうと自衛隊が使用する装備の機動的な導入や保守整備に影響が及びかねません。
政府は今国会にて、民間汎用品のサプライチェーンを保護するための経済安全保障に関する新たな法案提出を予定していると聞きますが、国内防衛産業の維持強化についても、この法案でカバーできるのでしょうか。国内防衛技術基盤を安全保障上の重要分野として位置付け、国家として保護し、企業の撤退リスクを回避すべきと考えますが小林経済安全保障担当大臣の見解を問います。また現行の防衛省の契約方式には、企業努力により契約価格よりも安く納入できた場合でも差額の国庫返納を求めるという、企業側に全くインセンティブが働かない制度になっているものがあります。早急に改めるべきだと考えますが、この点について総理のご見解をお伺いします。

昨年10月、徳島県の公立病院がコンピュータウイルスによるサイバー攻撃を受け、実質的な機能停止状態に陥りました。大阪府や奈良県内の病院でも、サイバー攻撃によりカルテが暗号化され、診療に支障をきたしました。
犯罪集団による脅迫か、国家的レベルの攻撃なのか、はっきりしませんが、デジタル化の進展と併せて、サイバー攻撃が急増していることは確かです。
2020オリンピック・パラリンピック大会では期間中、ロンドン大会を超える4億5千万回のサイバー攻撃があったと承知しています。政府が民間とも連携し、このサイバー攻撃を完全に阻止して大会を安全に成功させることができたことを高く評価いたします。さらに政府は今国会において警察法の改正案を提出し、新たにサイバー警察局と自らサイバー捜査を行うサイバー特別捜査隊を新設し、国のサイバー能力強化を図ることを検討していると伺っています。そこで、今回の法改正の意義とその必要性について、二之湯国家公安委員会委員長に伺います。
また、重要インフラに関するサイバー・セキュリティー強化については、政府機関だけでなく民間にも高い基準を求め、国としての財政支援と指導監督を強化すべきと考えますが、総理のご見解を伺います。

「新時代リアリズム外交」について伺います。これまでの外交と何が違い、どのように変えていくのか、具体的な中身を確認したいと思います。
総理は第一の柱で普遍的価値の重視を掲げていますが、中国の人権問題に対して、日本の強い姿勢が全く見えてこないとの声が多くあります。また中国とは国交正常化50周年という節目ではありますが、尖閣を含めた地域内での許容できない示威的な活動、香港・ウイグル・チベットといった人権弾圧状況を見れば、日中関係を友好的に祝うような環境にはありません。
そのような中、「普遍的価値を守る」という理念を曲げて、中国を刺激しないようにと「建設的・安定的」といった表面的対応を優先すれば、日本の国益を損なうばかりでなく、同盟国や諸外国にも誤ったメッセージを与え、約十年がかりで進めてきた「自由で開かれたインド太平洋」が瓦解する恐れすらあります。
そこで、総理が初めて任命した専任の国際人権問題担当の補佐官には具体的にどのような指示を与えているのでしょうか。政府として人権侵害に対して独自の制裁を課すような日本版マグニツキー法の制定を目指すお考えなのでしょうか。総理の認識をお伺いします。

岸田総理は、新時代リアリズム外交の第二の柱に地球規模課題への取組を掲げられました。世界が新型コロナウイルスからの脅威に晒される中、日本がこれまで推進してきたユニバーサル・ヘルス・カバレッジの重要性がますます大きくなってきています。
わが国は約90年前に公的保険制度を導入し、1961年に全ての国民が加入する公的医療保険制度を確立させました。さらに保健医療へのアクセスの改善を進め、早期にユニバーサル・ヘルス・カバレッジを達成し、世界有数の健康長寿国を実現しています。この経験をアジアやアフリカで役立て、国際的な議論をリードしてきました。
その上で、わが国が国際社会におけるユニバーサル・ヘルス・カバレッジの推進という役割をいっそう果たすために、その母体となる機関としてWHOユニバーサル・ヘルス・カバレッジ・センターを日本に設置すべきという提言を、参議院自民党の武見敬三先生が中心的に取りまとめ、昨年末に自民党政務調査会として政府に提出したところであり、早期に実現すべき重要なプロジェクトであると考えております。そこでWHOユニバーサル・ヘルス・カバレッジセンターの日本設置について総理のお考えを伺います。

本年は日本においてQUAD首脳会議が開催されると報じられています。2013年に安倍総理が提唱した「インド太平洋構想」から実に10年越しの国際戦略が実を結ぼうとしています。
そこで、日本での開催を機に、岸田政権の外交レガシーとして、4カ国の外相・防衛相を同時に招いての初のQUAD外相・防衛相合同会合、「QUAD2×4」と言えると思いますが、この開催と、定例化を提唱してはいかがでしょうか。外交・安全保障分野において、4カ国の外相・防衛相が一堂に会し、インド太平洋を取り巻く様々な問題に対して議論することは非常に大きな意義があり、また国際社会に対してもQUAD4カ国の結束と、FOIP推進の力強いメッセージを発することができると考えております。そこで、総理のQUAD首脳会議に対する意気込みと、「QUAD2×4」開催の意思について見解を問います。

台湾承認国が21ヵ国から14カ国に激減してきています。昨年12月ニカラグアが台湾との国交を断絶し、中国との国交を樹立しましたが、同時に、中国からコロナ・ワクチン100万回分を受け取ったとの報道がありました。
中米では11月にホンジュラスの大統領選挙があり、「台湾と国交断絶し中国との国交を結ぶ」との公約を掲げた左派野党連合のシオマラ・カストロ女史が選挙戦に勝利しました。背景にはワクチンを確保できない中道右派与党政権のコロナ対応に、国民の批判が高まっていたことがあります。
日本は海外と比べ比較的コロナ感染をコントロールできている状況にありますが、「世界の誰一人取り残さない」との方針の下、複数の国・地域でワクチンを購入し、公平に分配するための国際的な枠組みであるCOVAX等を通じて、中低所得国へのワクチン供給にも力を入れてきました。しかし、未だ十分とは言えません。地球規模で交流がある現代社会で、感染収束を実現するには、世界の全ての国・地域においてコロナを抑え込む必要があり、そのためにも途上国を含めたワクチンへの公平なアクセスと十分な量を確保することが必要です。
そこで国産ワクチンの開発・製造を急ぎ、1日も早く中低所得国等へのワクチンを供給する側に回る必要があると考えますが、現在の政府の国産ワクチン開発取り組み状況と国産ワクチン使用承認の目標時期について、総理にお伺いします。

新時代リアリズム外交の第三の柱である国民の命と暮らしを守る安全保障政策について伺います。
北朝鮮は極超音速ミサイルなど迎撃の難しいミサイル開発を進めています。1月5日に発射されたミサイルはマッハ6、11日はマッハ10と性能を増しており、しかも変則軌道を取るなど、わが国への脅威はいちじるしく高まっています。さらに、14日にも鉄道機動ミサイルの訓練、17日には戦術誘導ミサイル実験を行ったと公表し、すでに今年に入ってから4度も弾道ミサイル発射を行っています。
中国も、十分な透明性を欠いたまま、軍事力の強化を進め、ミサイル防衛システムの突破が可能な打撃力を獲得するための超音速滑空兵器の開発も急速に推進しており、去年8月の発射実験は米軍制服組トップに「スプートニク・モーメントにかなり近いものだ」と言わせるほどのインパクトがありました。
これら北朝鮮・中国におけるミサイル開発の進展状況を見れば、ミサイルが発射された後の迎撃対処のみで我が国の国民の命を守り切ることは、すでに不可能であり、リアリズムに則った安全保障政策を早急に構築すべきです。
日本独自の攻撃力を保有することは現実問題として必要不可欠であり、総理が「あらゆる選択肢を排除せずに現実的に検討する」姿勢を示されていることを高く評価します。新たな国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防に関して、現実的に国民の命と暮らしを守りきるためには何ができるのか、自民党政調会でも徹底した議論を尽くし、今国会会期内には取りまとめて政府に提言したいと思います。
また国家安全保障戦略・防衛大綱等の改定に伴い、当然継続を見直し、損切りを決断すべき事業もありうると考えます。特に、地上イージスアショアシステムの断念と混乱により、海上自衛隊の任務を軽減するという本来目的からも外れ、予算的にも青天井に膨れ上がりかねないイージス搭載新造艦については、事業の打ち切りも選択肢としてありうるという意見もあります。国家安全保障戦略・防衛大綱・中期防衛力整備計画の改定についての総理の考えと、それに伴う継続事業の見直しに関して、総理の見解を問います。

次期中期防衛力整備計画の予算規模について伺います。自民党は先の衆議院総選挙にて「NATO諸国の国防予算の対GDP比目標2%以上も念頭に防衛関係費の増額を目指す」との政策を訴え、国民の信託をいただきました。これは岸田総裁以下、私達自民党議員全員が国民に対して示した「公約」であり、民主主義国家にとって何にも増して重たい主権者との約束です。また、これは我が国だけの安全や平和だけでなく、同盟や地域全体の安定のためにも必要不可欠な財政支出です。
総理は施政方針演説の経済再生の項において「経済あっての財政」と述べられましたが、安全保障の面から言えば「国の独立、平和あってこその財政」であることは疑いもありません。特に自衛隊は長年GDP比1%程度に限られた予算制約から、正面装備品の購入を優先せざるを得ず、「整備・補給といった後方分野、燃料・弾薬等の貯蔵、新たな防衛技術の研究開発、勤務環境・訓練環境の整備」といった分野を犠牲にして先延ばしにしてきました。
この改定のタイミングで運用と後方のバランスを取るためにも、次期中期防においてはGDP比2%を目標とした大規模な防衛予算の増額・確保を行うべきと考えますが、総理の認識を伺います。

尖閣含めた南西諸島における安全保障環境は、これまでで最も厳しくなり、自衛隊・海上保安庁によって昼夜を分かたぬ警戒監視が続けられています。
総理は島嶼防衛力強化のために、「海上保安体制の強化、海上保安庁と自衛隊の連携」を掲げられました。しかし、現状においては海上保安庁法には平時における警戒監視任務は規定されておらず、また武器の使用に関しても一般犯罪を念頭に海上警察権の行使を前提としたもので、尖閣周辺海域でも領海に侵入する中国漁船に対し、威嚇射撃や警告射撃は行われず、放水による対処しか行われていないのが現状です。自民党の中では、これまでも「保安庁法を改正し、平時における海上警戒監視任務を付与し武器の使用要件を明確にすること、またグレーゾーンや有事の際に、自衛隊と連携して任務を遂行できるようにすること」が必要ではないかとの議論を重ねて参りました。そこで、以上のような趣旨の海上保安庁法改正の是非について、総理のご見解を伺います。

最後に、総理が「政治の最大の原動力は国民の声である」と喝破されたことに大いに賛同いたします。民主主義と権威主義との最大の違いは「政治の側が、主権者たる国民の良識を信じること」に尽きると考えます。総理が目指される「信頼と共感の政治」は、忍耐力と謙虚さに加え、国民を粘り強く説得する強い信念が必要不可欠です。私たち参議院自民党も、関口議員会長、世耕幹事長の下、一丸となって、国民の不安に寄り添い、声無き声に丁寧に耳を傾け、そして日本の繁栄と国民の幸福を政治的に実現するために、必要な施策をわかりやすく説明、かつ粘り強く説得し、国民とともに日本の民主主義をより良いものとすることに全力を傾注することを改めてお誓い申し上げ、私の代表質問を終わります。