党青年局(局長・中曽根康隆衆院議員)と女性局(局長・本田顕子参院議員)主催で、総裁候補と全国の青年局・女性局メンバーによる公開討論会が9月23日、党本部で行われました。公開討論会では全国の青年局・女性局メンバーから国民の声が総裁候補に直接届けられました。

全国の青年局・女性局メンバーの声を総裁候補に届けた総裁選挙公開討論会
開会に当たりあいさつした本田局長は「国民が国に何を求めているかを問いかけながら青年局・女性局、青年部の一人一人が自民党の一員として何ができるかを必死に考え、地域で頑張っていただいている」と地域の最前線で活動する両局の取り組みに言及。「新総裁には力強いリーダーシップの下、自民党、そして国家国民を政治の力で救っていただきたい。そのために私たちも全力で努力する」と力説しました。
また「今回出される意見は国民が一番ぶつけたい『なまごえ』だ」と強調し、立党70年を迎えるわが党の責任政党としての意義を大いに議論したいと呼び掛けました。
討論会では、わが党が参院選の総括文書で記した「解党的出直し」に向けた党運営のほか、物価高対策を含めた経済政策や女性活躍・子育て支援、現役世代の負担軽減や税負担の在り方等について12問の質問が寄せられました。小林鷹之、茂木敏充、林芳正、高市早苗、小泉進次郎の各候補者はわが党を最前線で支える党員の声を生かした党運営を進めていくとともに、わが国の再生に向けて力強く政策を進めていく決意を述べました。
また各候補者は北朝鮮による拉致被害者の一括帰国に向けた取り組みや保守政党としてのわが党の在り方、憲法改正の実現に向けた道筋についても考えを示しました。
中曽根局長は「これまで以上にわれわれの声を政策に反映していくための活動も一層強く進めていきたい」と述べ「青年局・女性局、学生部で党改革、そして日本再生へ頑張っていこう」と呼び掛けました。
公開討論会での主な質問
(1)解党的出直しに向けた若手登用について

中央常任委員会議長・須田旭大阪府議
今こそ国難を救うためにも若手の積極起用が重要と考える。各候補が思い描く新たな閣僚人事や党執行部人事にはどれだけ若手を起用していただけるか。
(2)党再生、信頼回復について

富山県連女性部長・濱木慶子氏
先の参院選では、政治資金問題や国会議員の失言等、自民党への逆風が強く残念な結果となった。党の再生と信頼回復に向けてどう取り組んでいくか具体策を問いたい。
(3)若者・子育て世代への政策と予算について

中央常任委員会副議長・田中泰彦愛知県議
自民党は若者や現役世代に目を向けていないと指摘されている。若者・子育て世代が抱いている自民党の印象をどう変えていくか。政策面・予算面での具体的な考えは。
(4)女性の政治参画について

福岡県連女性局長・柴山恭子朝倉市議
いつかは本気で女性議員の育成が進められ、そして女性の登用が行われるよう頑張っている。自民党は女性の力を生かすべく、今後どのような方策を考えているか。
各総裁候補者の回答

小林鷹之候補
(1)当選回数のような形式的な基準ではなく、実績と能力をベースとした真の実力主義の人事にすべきだ。「若手を登用」ではなく、若手中堅が中心になっていくよう人事に刷新する。
(2)国民との直接の交流を通じて信頼を勝ち得ていく。自民党はどういう政党なのか自ら確認するのが第一歩。世代交代をしながら、国民の暮らしを豊かにする政策を打ち出し、形にしていくことが信頼回復。
(3)少子化の背景にあるのは、団塊ジュニア世代がデフレの30年と重なり、雇用が不安定で団塊ジュニアの子供たちによるボリュームゾーンを作れなかったことに原因があるため、中間層・現役世代の所得税改革を実行する。社会保険料の負担に関しては、負担能力のある高齢者にも一定の負担をしてもらう。
(4)女性議員の割合を30パーセントまで引き上げるのは賛成だが、やはり実力や能力に基づいた人事が必要なため、平時から党としてよりプロアクティブに女性の候補者の発掘に対して力を入れるべきだ。

茂木 敏充候補
(1)豊かな経験と強いリーダーシップを持った社長が経営陣を若返らせ、副社長クラスを40代にしたことでV字回復をした米国の企業のように、自民党も新陳代謝を進めていく。
(2)昨年2千万円問題で多くの仲間を失ったが、結果が出なかったら責任を取るのがトップとしてのあるべき姿。また候補者を選定するにあたって、透明化・プロセスの見える化を図っていく。
(3)子育て世代への支援策としてまず一番は所得が上がっていく対策を取る。毎年の税収も3兆から5兆円上振れしている。4千億円で済む小学校の給食費をまず無償化する。地域ニーズに応じた交付金も1都道府県あたり300億円程度あるから、それをしっかりと使って支援していく。
(4)党の国会議員の女性比率を3割にすると決めた党改革本部長は私で、地方組織においても必ず執行部に女性を入れていくことが必要。子育てのサポート体制や資金の支援を今後も続けていく。

林 芳正候補
(1)自身も40代で防衛大臣として入閣をしたが、今後はさらに経験と若さを両方持ち合わせているかという能力を見極め、次の世代に経験してもらうという意味で若手の起用を行っていく。
(2)広報と政調を連携させ、議論を見せて、国民の意識と乖離(かいり)しないようにする。デジタル国民対話プラットフォームを通して国民の声を聴く。保守とは何なのか議論をし、綱領の改正が必要ならやる。
(3)昨年から始まった児童手当の抜本的拡充やこども誰でも通園制度、手取り10割相当の育児休業に加えて、負担感の強い低所得や中所得、子育て世代に重点的に色々な給付を行う「ユニバーサルクレジット」を実行する。不本意で非正規の人を正規にし、不本意未婚の人を減らしていく。
(4)環境整備はまず大前提としてやる。農林水産業の6次産業化では買い物する目線が入るため、女性がリーダーだと収益率が高い。こういった結果を出し、もっと女性を入れないと負けてしまうという環境を作っていく。

高市 早苗候補
(1)全世代総力結集という人事を目指す。今自民党は若い層からの支持を失ったため、若い力、知恵が必要。若い人たちの声を届けてもらい、一緒に政策も考えていきたい。
(2)国民の気持ちと党の政策のずれに対する党員の声が厳しかった。地方議員と党本部をつなぐシステムはすでにあるが、党員と党友の声を党本部に届けるシステムを作り、共有し、政策を考える。
(3)家政士の国家資格化を前提に家事代行やベビーシッター代金の一部を税額控除する制度や企業主導型の学童保育の事業を創設する。企業内保育所で病児保育を実施した場合法人税の減税を実施していく。中低所得者層の税と社会保険の負担軽減のため給付付き税額控除を実現する。
(4)私の政策構築は女性局の声を参考にしている。政治活動をするとなると、出産と政治活動の両立、ハラスメント対策が必要。女性の閣僚や党執行部が多く、過去最も明るい組織を組み立てていきたい。

小泉 進次郎候補
(1)自民党が衆参で多数を失った原因は国民の思いを感じ取る力が弱かったからだ。誰よりも現場で汗をかいている青年局や女性局の多くの知恵に役割を与えて、組織の活性化に努める。
(2)信頼回復の万能薬はないため、党総出で現場に行って、一人一人の声を聴き、谷垣禎一元総裁がやった「なまごえプロジェクト」を再スタートさせる。政治資金の問題を二度と起こさないためにも公開を強化する。
(3)岸田政権が抜本的に強化した児童手当の抜本的拡充、こども誰でも通園制度、育児休業給付の拡充の継続とともに、インフレに対応した経済運営をやり、物価高を上回る国民所得の上昇を必ず実現するという未来が待っていることを示すことによって、明るい展望が描けるようにする。
(4)衆院選で選挙対策委員長を務めた際、合計56人と過去最多の女性候補の擁立をした。しっかりと責任を持って10年間で女性議員の割合を30パーセントに引き上げるという目標を達成できるよう全力を尽くす。