
日本停滞の本質論
日本は1990年代以降、経済成長が停滞しており、その原因の1つはホワイトカラーの生産性の低さにある。現場のブルーカラーは依然として強い競争力を持つが、ホワイトカラーは社内の調整業務に多くの時間を費やし、顧客価値を生まない非効率な構造が続いている▼加えて、働き方改革により労働時間の管理が厳格化されたが、業務プロセスの見直しやDXが不十分なまま進められたことで、生産性向上にはつながっていない。その結果、日本の国内総生産(GDP)の名目成長率は他国と比べ著しく低く、国民1人当たりGDPも大幅に順位を落としている。このような状況は、働き方改革を生産性革命とセットで行わなければ国力の低下を招くことを示しており、デジタルの利活用による業務効率化とDXの徹底を柱とする抜本的な見直しが必要である▼減税の議論が活発だが、重要なのは日本がどう成長していくかという視点である。税制は手段にすぎず、本質的には生産性向上と成長戦略こそが国力回復の鍵を握っていると確信している。