
石破茂総理(右から4人目)に緊急提言を申し入れる高市早苗党治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会長(同5人目)ら
令和6年の財産犯の被害額は前年比59.6パーセント増の約4021億円で、刑法犯認知件数が戦後最悪だった平成14年の被害額を上回りました。こうした状況を踏まえ、党治安・テロ・サイバー犯罪対策調査会は情報通信戦略調査会と金融調査会の連携の下、「組織的な詐欺から国民の財産を守るための対策に関する緊急提言」を取りまとめ、3月3日、石破茂総理に申し入れました。
緊急提言は犯行グループが利用している金融と通信に関して当面行うべき対策をまとめたものです。
金融関係では、最近の被害事例においてインターネットバンキングを利用した犯行が確認されていることから、政府から金融機関に対し、インターネットバンキングの申し込みがあった際の審査強化や注意喚起等を求めたほか、犯行グループによる被害金の出金を防ぐため、預金取扱金融機関間で取引情報を共有しつつ、不正取引を検知し速やかに口座凍結を行うことが可能となる枠組みの創設を提案しました。
さらに、他人名義の口座等が犯行に利用されていることを踏まえ、金融機関と捜査機関が管理する「架空名義口座」を利用した捜査の有効性を強調。その上で関係法令の改正に向けた検討を早急に行うべきとしました。
通信関係では、データ通信専用SIMについて、音声通話SIMと同様に通話等をすることができるにも関わらず、音声通話SIMと異なり、契約時の本人確認が法令で義務付けられていないことから、その悪用実態を踏まえ、契約時の本人確認の義務付けを検討するよう求めました。
また、犯罪に悪用される通信アプリ等について被疑者の通信内容や登録者情報等を迅速に把握することは、犯行グループの壊滅に必須です。そこで犯罪に悪用される通信アプリ等の通信内容等を迅速に把握する効果的な手法を、諸外国の取り組みを参考にしつつ、技術的アプローチや新たな法制度の導入の可能性を含め検討すべきとしました。