
柔道と私 〜武道の教えと志〜
よく驚かれるが、学生時代は柔道に熱中していた。柔道の精神、『柔よく剛を制す』『心技体』『守破離(しゅはり)』は、私の支柱だ▼子供の頃に見た、五輪で小さな日本選手が海外の大きな選手に大技を決める光景は、まさに『柔よく剛を制す』。憧れて柔道を始めた。稽古は、夏冬なく厳しかったが、集中力や忍耐力が鍛えられた。師匠からは礼節を重んじた厳しくも親身な指導を頂いた。私の得意技は「体落とし」で、技が決まった時は感無量だった▼高校の時、友人が稽古で大けがし療養生活を余儀なくされた。友人の姿から「医師になろう」と一念発起。柔道で培った『心技体』、精神力・技術力・体力を、今度は勉強に生かすべく必死に机に向かった。奇跡的に医学部合格が決まった時、友人は泣いて喜んでくれた▼医師として働く中で、病の背景にある国を癒やせる政治家になりたいと志を立て、師匠に相談した。師匠は「柔道の教えで『守破離』がある。まず伝統の型を極め、徐々にその型を破り、独自の新たな型を生み出す。医療から新たに政治の道を志すことは、機が熟したということで、君の使命ではないか」。師匠の言葉に押され、政治の道への決意を新たにした。武道で養った精神を心に、政治の道で今日も精進する。