「一番苦しむ方の声を聞かずに制度を決めていいとは思わない」
石破総理、高額療養費制度で「多数回該当」の見直し凍結を表明

17日の衆院予算委員会で高額療養費制度の見直しについて一部凍結を表明した石破茂総理
石破茂総理は2月17日の衆院予算委員会で高額療養費制度について、当初の方針を見直し「年4回以上該当される方の自己負担額の見直しを凍結し、据え置くことを政府として決断した」と表明しました。
同制度は入院や手術により医療費が高額となった場合に患者の自己負担を抑制する仕組みで、平成27年から見直しは行われてきませんでした。政府与党では現役世代の保険料が過度に増大することを防ぐため、同制度の見直しに着手し、一定の所得に応じて抑制される負担額を見直す方針を示していました。
しかし、がん患者団体等から自己負担が大幅に増大することへの懸念の声が上がり、石破総理は1月31日の衆院予算委員会で「一番苦しんでおられる方々の声を聞かずに、このような制度を決めていいとは思いません」と述べ、福岡資麿厚生労働大臣に当事者からの意見を踏まえた制度の在り方について検討するよう指示しました。
これを受けて政府では長期にわたる治療を継続している患者の負担が過度に増えないよう、直近12カ月間で3回以上治療を受け、制度の対象となる場合、4回目以降は自己負担の上限額が引き下がる「多数回該当」については、見直しを凍結する方針を示す一方、高額療養費制度全体の見直し凍結は行わないこととしました。
これについて石破総理は17日の衆院予算委員会で「高額療養費の総額が医療費全体の倍のスピードで伸びている。仮に見直しを全て凍結した場合には、後期高齢者で年額平均約千円、現役世代では年額3千円から4200円の保険料負担増となる」と説明。高額な薬剤等が登場した影響で、健康保険組合では月1千万円以上の医療費を要する事例が令和5年度で2千件以上あった現状を踏まえ、「後期高齢者や現役世代の負担を減らさなければ制度として持続が困難だ」として、理解を求めました。