
まちの書店を守ろう
読書離れが憂慮され久しい。生活のデジタル化が進み、スマートフォンで読書・新聞の時代となった。今や全国の書店は次々と閉店している。瞬時に情報を入手できるデジタル社会は一見便利だが、真に豊かな時代だと言えるだろうか▼そもそも簡単に知的好奇心を満たすことが、人間にとって幸せなのだろうか。アルゴリズムというシステムにより、消費者に知らず知らずのうちに、興味を持つ分野の情報が送りつけられている▼「セレンディピティ」という言葉は「偶然の幸せな出会い」という意味である。私たちの人生もセレンディピティの連続だ。実際に書店に足を運び、先入観なしに本を手に取ることでさまざまな出会いがある▼経済産業省が進める、地域の書店活性化策に大いに賛同する。若者が、人工知能(AI)には分からない、その人にとっての良書に出会うことを願う。もちろん私たち大人も、長い人生を豊かに生きるためには、古典をはじめ本は欠かせない。