賃上げの裾野を中小・小規模事業者に広げるためには、適正な価格転嫁の輪を広げることが重要です。企業が取引先との共存共栄の関係を築くことを宣言する「パートナーシップ構築宣言」を行った企業が7月19日時点で5万963社となりました。取引先と適正な取引を通じて、賃上げの原資となる中小企業の価格転嫁を進める取り組みが広がっています。

加点措置の対象となる補助金を拡大
パートナーシップ構築宣言とは、「サプライチェーン全体の共存共栄と規模・系列等を越えた新たな連携」や「親事業者と下請事業者の望ましい取引慣行の順守」等を企業の代表者が自ら宣言するもの。親会社・発注者が自ら望ましい取引慣行を進めることを宣言し、下請け・受注者からの価格転嫁の要望を受けやすくする環境整備等を行うものです。
望ましい取引慣行として、下請中小企業振興法に基づく振興基準があります。同基準では令和5年度の改正で、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を踏まえた取引価格の決定や、原材料費・エネルギーコストの適切な価格転嫁が盛り込まれました。
政府は岸田内閣が発足した直後の同3年12月に「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」が取りまとめ、「パートナーシップ構築宣言の拡大・実効性強化」が盛り込まれました。
パッケージでは宣言企業の取り組みについて、好事例の周知や、宣言を行った企業の申請に対する補助金の在り方を見直し。それまで5つの補助事業に限られていた加点措置について、全省庁に呼び掛け、対象の補助金を拡大しました。