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お知らせ「自由民主」先出し

メディア短評 日暮高則(アジアジャーナリスト)

香港基本法に基づき国家安全維持条例が制定 日本の新聞各紙は社説で批判的な論評を展開

1984年、記者として約3年駐在した北京から日本に帰任する際、南方広東省経由のルートを取った。この期間、西側の空気は一度も吸っていない。夜、広州発の直通列車で深圳から香港に入ったのだが、羅湖口岸を越えた時の印象は今でも鮮明に覚えている。深圳側は解放軍が立つ薄明りの駅ホーム、周辺も殺伐とした街の光景であったのに対し、香港側上水のアパート群から漏れる部屋の明かりはカラフルで、妙に温かく、優しく映ったからだ。その対比に驚き、「ああ、これが自由の灯なのか」と安堵(あんど)感を覚え、涙があふれた。
それから10年後、主権移行時に今度は香港にいた。返還直後に、「香港はそのうち中国人だけになる。恐らく英国人は去っていく」との記事を書いた。一国二制度、50年不変と言っても安心できない、恐らく中国の同化が急速に進むと見たからだ。すると、特別区政府の英国人役人に呼び出され、激怒されたが、今振り返れば、その通りになっている。
香港基本法23条に基づく「国家安全維持条例」の制定は、中国当局にとって反共産党勢力を抑える上で絶対に必要だった。2003年に一度条例制定の動きがあったが、50万人市民がデモ行進を行い、頓挫した。その後も、「雨傘革命」等で若者が中国当局の動きを跳ね返そうとしたが、「香港国家安全維持法」が制定され、香港への関与は一段と強まった。今回の特別区での条例制定は中央の法律を補完するもので、予想された流れなのである。
この動きについて、各紙は社説を出したが...

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