男女ともに仕事と育児や介護を両立できるようにするための育児・介護休業法等改正法案が、3月12日、国会に提出されました。この法案は、(1)子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充、(2)育児休業の取得状況の公表義務の対象拡大や次世代育成支援対策の推進・強化、(3)介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等、で構成されています。
改正法の主なポイント
1.子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充
- (1) 3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、柔軟な働き方を実現するための措置を講じ、労働者が選択して利用できるようにすることや当該措置の個別の周知・意向確認を義務付け。
- (2) 残業免除の対象となる労働者の範囲を、小学校修学前の子を養育する労働者に拡大。
- (3) 子の看護休暇を、入園式や卒園式等の子の行事参加等の場合も取得可能とし、 対象となる子の範囲を小学校3年生まで拡大。勤続6月未満の労働者も対象に(介護休暇も同様)。
- (4) 3歳になるまでの子を養育する労働者に関する事業主の努力義務の内容に、テレワークを追加(家族を介護する労働者に関する事業主の努力義務も同様)。
- (5) 妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向の聴取・配慮を事業主に義務付け。
2.育児休業の取得状況の公表義務の拡大や次世代育成支援対策の推進・強化
- (1) 育児休業の取得状況の公表義務の対象を、常時雇用する労働者数が1000人超から300人超の事業主へ拡大。
- (2) 次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定時に、育児休業の取得状況等に係る状況把握・数値目標の設定を事業主に義務付け。
3.介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化等
- (1) 労働者が家族の介護に直面した旨を申し出た時に、両立支援制度等について個別の周知・意向確認を行うことを事業主に義務付け。
- (2) 仕事と介護の両立支援制度等に関する早期の情報提供や、雇用環境の整備(労働者への研修等)を事業主に義務付け。
入園(入学)式や卒園式等も看護休暇対象に
今回の法案では、男女ともに仕事・キャリア形成と育児を両立できるようにするために、事業主に対して、3歳以上の小学校就学前の子を養育する労働者に関し、職場のニーズを把握した上で、テレワークや短時間勤務等の柔軟な働き方を実現するための措置を講じ、労働者が選択して利用できるようにすること、さらに当該措置を対象となる労働者へ周知し、利用の意向確認を行うことを義務付けています。
また、3歳になるまでの子を養育する労働者に関する事業主の努力義務の内容にテレワークが追加されますが、介護に関する両立支援制度でも同じく努力義務化されます。さらに、事業主には、妊娠・出産の申し出時や子が3歳になる前に、労働者の離職を防ぐ観点から、勤務時間帯や勤務地、仕事と育児の両立制度の利用期間の希望等を確認することも義務付けます。
看護休暇の名称を看護等休暇に変更し、感染症に伴う学級閉鎖等、また入園(入学)式や卒園式に出席する場合にも取得できるようにし、この看護等休暇は就業6カ月未満の労働者も取得できるようにします。
育休取得率の公表義務拡大
男性の育児休業取得率の公表義務の対象について、常時雇用する労働者数が現行の1千人超から300人超の事業主に拡大することによって、多くの事業主が男性の育児休業取得率を公表し、就職・転職活動等で育児支援に積極的な企業を選びやすくなります。さらに、常時100人を超える労働者を雇用する全ての事業主に、男性の育児休業等取得率の目標設定も義務付け、男性の育児休業取得を社会として支援する機運を高めていきます。
介護離職防止に全力
仕事と介護の両立に関しては、両立を支援する制度を十分利活用しないまま介護離職に至るケースが多くみられます。そのため、家族の介護が必要となった労働者に対しては、・・・