第91回の自由民主党「定期党大会」。今年も、北は北海道から南は九州・沖縄まで、全国各地から多くの皆様にお集まりいただき、ありがとうございます。
党情について、報告いたします。
今、政治資金問題を巡り、わが党に対し、国民の厳しい目、批判の声が寄せられています。我々は深い反省と危機意識に立ち、この党大会に臨んでいます。自民党は「立党の原点」に立ち返り、大きく変わっていかなければなりません。
抜本的な党改革、政治刷新により、全く新しい自民党を作り、その姿を示していく。これにより、国民の信頼を回復し、わが国が直面する内外の課題を克服し、日本を前に進める。わが党の再生、そして日本の再生は、この道しかありません。
(政治資金問題)
まず、政治資金問題について。1月に岸田総裁を本部長とする「政治刷新本部」を立ち上げ、議論を重ね、また、全国の青年局、女性局からも提言を頂き、その集大成として「中間とりまとめ」を決定しました。
この中で、これまでの「派閥」については、お金や人事から完全に訣別することとしました。今後、「資金と人事への影響力」「数の力」を背景とした「派閥」は作らせません。また、政治資金の透明性向上、責任体制の厳格化、党のガバナンス体制の抜本的強化を進めていきます。
現在、刷新本部の下に3つのワーキンググループを設置し、改革案の検討を進めています。全国各地の現場の声もしっかり伺いながら、改革案を取りまとめていきます。さらに、各党会派とも協議を進め、この国会で政治資金規正法などの改正案の成立を期したいと思います。
ワーキンググループでの検討を踏まえた党規律規約や「ガバナンスコード」の改訂については、この後、「党則改正案」の報告の中で、ご説明申し上げます。
また、これらの対応に加え、今回の問題を踏まえ、政治責任の在り方、けじめについて、早期に厳正な対応を取ってまいります。
(能登半島地震対策)
さて、「能登半島地震」では、240名を超える方々がお亡くなりになり、今なお多くの皆さんが、厳しい避難生活を送られています。あらためて、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りし、被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
自民党として、私が本部長を務める「対策本部」において、水道など生活インフラの本格的復旧から、中小企業の資金繰り支援、観光業・農林水産業の再生まで、第1弾の提言も取りまとめたところです。
今後の復興フェーズも見据え、様々な支援策を実行していくため、「令和6年度予算案」の予備費も1兆円に倍増しました。予算案を一日も早く成立させ、被災地の復旧・復興を加速していきます。
(選挙)
1年前、この党大会を総決起大会と位置付けて臨んだ4月の「統一地方選挙」では、道府県議選の議席占有率が過去30年で最高の51%に達するなど、堅調な結果を残すことができました。
昨年4月には衆参で5つという、これまでにない大型の補選が行われ、わが党は選挙前の勢力を上回る4議席を獲得しました。昨年の衆参補選全体でも、7選挙区で5議席を確保し、一昨年夏の参院選に続いて、確実に成果を挙げることができました。
来たるべき総選挙への準備も着実に進めています。衆議院の10増10減を受けた15都県134選挙区について、その全てで候補者調整を完了しました。次期総選挙、さらに来年夏の参院選の勝利に向け、党の総力を結集して準備を加速していきます。
(政策活動)
それでは、各部門の活動報告に入ります。
政務調査会では、新たな「総合経済対策」の策定、物価高対策、少子化対策、防衛力の抜本的強化など内外の政策課題について、76本の提言や決議を取りまとめました。また、新たな試みとして、「全国政調会長会議」をリモート形式で開催し、予算編成や税制改正に、地方組織の意見を積極的に取り入れました。
(組織運動本部・広報本部)
組織運動本部は、衆参の補欠選挙、統一地方選に向け、地方組織、友好団体との連携強化を図ってきました。また、青年局による若者向けの「自民党マガジン」の創刊、女性局のオリジナルグッズ制作など、新しい取組みも展開しました。
広報本部は、昨年の統一地方選に向け、「地域の声で、新たな日本へ」をキャッチフレーズに掲げ、国民の声に向き合う党の姿勢を強く打ち出しました。今年は、一人ひとりに届く政策成果の浸透を図っていきます。
(国会)
国会では、昨年の通常国会において、過去最大114.4兆円の「令和5年度予算」を早期に成立させ、政府提出の60法案も「GX推進法」など重要法案を含め58本、97%が成立しました。
秋の臨時国会では、新たな「総合経済対策」を実行する「令和5年度補正予算」及び政府提出12法案の全てを成立させました。また、憲法審査会は、衆院で22回、参院で11回開催し、与野党の枠を超え、前向きな議論が進んでいます。
今年の通常国会は、「令和6年度予算案」が衆議院を通過し、「水素社会推進法案」など日本の未来のための法案の審議も進んでいます。会期末まで100日を切りました。「令和6年度予算案」を1日も早く成立させ、政府提出の全ての法案・条約の成立を期してまいります。
(党改革)
党改革について。一昨年、日本の政党として初めて「ガバナンスコード」を制定しましたが、これに基づき、「ガバナンス委員会」を設置し、「ガバナンスコード」の遵守状況をフォローアップしています。また、政治資金の問題に厳正に対応するため、今回、「ガバナンスコード」の大幅な改訂を行うこととしました。
党改革については、もう1つ、「女性議員の育成計画」を策定し、わが党女性国会議員の比率を現在の11%から、今後10年間で30%まで引き上げるという野心的数値目標を掲げました。そして、目標達成に向け、女性候補者への支援金制度、ハラスメント相談窓口の開設などの支援策を進めています。
(会計報告)
次に、党の「会計報告」です。「令和5年決算」は、お手元の資料の通りです。詳細は「政治資金規正法第12条」の規定に基づいて報告し、総務省において公表されますので、ご了承下さい。
「令和6年度予算」については、組織・広報活動や政策立案など政治活動全般にわたり、現在、関係各部門と鋭意協議を進めておりますので、執行部にご一任賜りますようお願い申し上げます。
(党人事)
党人事について。副総裁と党紀委員は、党則により党大会人事となっております。従来、副総裁を置く判断を含めて総裁にご一任いただいておりますが、昨年9月13日付けで、「麻生太郎副総裁」が指名されましたので、ご報告申し上げます。また、党紀委員の選任については、お手元の資料の通りです。
(まとめ)
長期化するロシアによるウクライナ侵略、深刻化するイスラエル・ガザ情勢など、世界は今、分断と対立の危機に直面しています。また、わが国を取り巻く安全保障環境も一段と厳しさを増しています。
昨年、わが国はG7議長国として、国際社会の結束に向け、主導的な役割を果たしました。流動化する世界において、日本は、これからも多くの国々から幅広い支援を得て、国際秩序と国益を維持・強化するため、包摂的、かつ毅然とした外交を推進していかなければなりません。
一方、日本経済は、日経平均が34年ぶりに史上最高値を更新するなど、デフレから脱却し、新たな成長段階にジャンプアップする大きなチャンスを迎えています。
GX、DX、半導体など、戦略分野への国内投資の促進によって、「成長志向型経済」への転換を図る。そして、賃上げ、所得向上によって消費が増え、市場も拡大し、そこに新たな投資が向かうという「経済の好循環」まで、あと一歩です。
「未来への投資」を加速し、「今日より明日が良くなる」日本を、もう一度、取り戻そうではありませんか。過去と自然は変えることはできませんが、未来と社会は、我々の取組みによって、大きく変えることができます。自民党は、必ず生まれ変わります。そして、日本の再生を成し遂げます。それが、責任政党の使命です。
この会場、そして全国の党員、党友の皆さんとともに、この決意を新たにして、私からの党務報告といたします。ありがとうございます。