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メディア短評 中井孔人(ジャーナリスト)

ロシアによるウクライナ侵略から2年が経過 節目の今、メディアに求められる役割とは何か

ロシアがウクライナに侵略して2月24日で2年、直前の8日に国民に人気の高いウクライナ軍のザルジニー総司令官が解任される等、内部のほころび等が大きく報道された。一方、抵抗の象徴だった東部アウデイーイウカをロシアが制圧する等、戦況は散発的に伝えられているが、詳しい戦況や実際の市民の生活等を目にする機会は最近徐々に減ってきた。侵略から2年という節目を迎えた今、メディアは現状や今後の見通しをどのように伝えていたか。
24日は、新聞各紙とも「ウクライナ守勢に」(読売新聞)「見えぬ出口」(毎日新聞)等1面トップでこの2年の経過等を大々的に報じていた。また直前から「ウクライナ侵略2年」と題した特集で、読売新聞はロシア兵から受けた性被害の女性の苦しみや、内向きになる米議会の支援の影響等を報道。また毎日新聞も同様に、ドローン攻撃が幸せな生活を一瞬にして失った祖母の悲しみや、戦場を劇的に変化させる兵器になったこと等を伝えていたが、どれも表層的かつ断片的で、2年が経過した現状や市民の心の奥底に宿る変化は読み取れない内容だった。
一方、テレビはどうだったか。21日午前放送のNHK「キャッチ!世界のトップニュース」は、「侵攻2年」として特集を組み専門家らが詳しく解説していたが、過去2年の振り返りが中心で、今の肌感覚の様子は伝わってこなかった。また、「ニュースウォッチ9」ではキャスターが、同様に民放各局も記者が現地から中継していたが特に目を引く内容のものはなかった。24日のTBS「報道特集」も中継を交えながら市民意識の変化や負傷兵の今等を取り上げていたが、総花的で突っ込み不足だった。
そうした中、21日のNHK「クローズアップ現代」は興味を引く内容だった。「"徴兵拒否"に揺れる社会」と題し、戦争の長期化による兵力不足が指摘される中...

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