へき地での医療体制維持に一役
少子高齢化の進展により、限界集落と言われるような地域では、体調が悪くなってもすぐに医療サービスを受けられない、受けられても遠くの病院まで行かなければならない等、医療提供に格差が生じてきています。
このようなへき地での医療体制の維持のため、デジタル技術と同じくユニバーサルサービスとして日本全国津々浦々に存在する郵便局が協力する実証実験が開始されました。
令和4年度より、総務省では、デジタル技術と全国2万4千局の郵便局ネットワークを活用し、郵便局と地方自治体等が連携して、地域の課題を解決するための実証事業を行ってきました。
例えば、三重県熊野市では、中山間地域が土砂崩れにより孤立した場合を想定して、郵便局のドローンを活用した物資の運搬や、ドローンのカメラを利用しての被災状況の把握等に関して実証実験を実施しました。このように、郵便局と地方自治体が連携して地域課題を解決する実証実験を各地で行ってきました。
他方、今年5月、厚生労働省より、へき地等において特例的に医師が常駐しないオンライン診療が受診可能な場所やその開設についての条件等が整理されて周知されました。
これを受けて、今回、石川県七尾市で郵便局の空きスペースを利用した、オンライン診療の実証実験が行われることになりました。
診察から薬の処方まで郵便局で完結
今回の実証実験では、石川県七尾市の市街地と、市街地から車で20分程度要する同市の南大吞(みなみおおのみ)地区で行われています(地図参照)。

七尾市の「ねがみみらいクリニック」と隣接する「アルプ薬局七尾万行店」を、南大吞地区の「南大吞郵便局」とオンラインで接続。
南大吞郵便局の空きスペースをオンライン診療用に改装し、利用者のプライバシーに配慮した作りとなっています。
さらに、オンライン診療の一番の障害となる、病院とのオンライン接続等、操作面の支援を郵便局員が行う仕組みを整えることで、高齢の利用者でも問題なくオンライン診療を受けられる形となっています。

この診療を受ける場合は、・・・
【お知らせ】 「新しい資本主義の扉」は今号で連載を終了します。機関紙「自由民主」では今後も、さまざまな形でわが国の未来を切り開く新技術を紹介していきます。1年間のご愛読ありがとうございました。