国土強靱化〝最後の砦〟として、取引の適正化と業界のCN化を推進
原油精製時に発生するブタンやプロパンの総称、LPガス(LPG=液化石油ガス)は、災害に強い分散型エネルギーの〝最後の砦〟として評価されています。平成21年にLPガスの小売と卸、スタンドの流通3団体が統合されて発足した社団法人「全国LPガス協会」(JLSA)は、同24年に一般社団法人へ移行。自主的な保安運動や取引の適正化・料金の透明化を推進するとともに、国土強靱化計画への対応と業界CN(カーボンニュートラル)化促進に努めています。わが党の「LPG対策議員連盟」(会長・森山裕衆院議員)と連携し、喫緊の課題に取り組んでいる同協会と政治連盟の活動を紹介します。
約4割の家庭が使用する分散型エネルギー
LPガスは電気や都市ガス等の「系統供給」と異なり、特定の容器に充填(じゅうてん)したガスを各戸に配送する分散型エネルギーで、全国の約4割、2300万世帯に供給され、各種工業や化学原料用等、多岐にわたる産業界の需要にも応えています。また、排ガス中の二酸化炭素(CO2)がガソリン車より少なく、クリーンで低コストの「LPG車」はタクシーの約9割を占め、宅配便や生協の配送車、清掃車やバス等でも使われています。
全国に約1300カ所あるLPガススタンドは、大地震にも耐えられる頑丈な構造で自家発電装置を持つ施設が多く、東日本大震災の時も翌日から稼働しました。そのため、平成26年から進められている「国土強靱化基本計画」でLPガスの有用性が高く評価され、エネルギー基本計画において災害時のエネルギー供給の〝最後の砦〟と位置付けられ、その後の熊本地震においても、その重要性と存在感が実証されています。
一方で、高効率のガス機器による消費量減少と少子高齢化、他のエネルギーとの競争による需要減が課題であり、同協会ではLPガスの販売促進や、公共施設へのバルク供給システムの常設等に努め、配送の合理化を進めるとともに、業界の自主的なルールである「LPガス販売指針」を再徹底。約1万7千の事業者間で長年、慣行化していた取引の適正化と料金透明化に取り組んでいます。