党北朝鮮による拉致問題対策本部(本部長・山谷えり子参院議員)は5月16日、会議を開き、拉致された日本人被害者を救出するための国民運動を進めてきた「家族会・救う会」から、訪米したことについて報告を受け、議論した。
「家族会・救う会」は5月2日から7日にかけて、4年ぶりに訪米。米国家安全保障会議(NSC)や国務省等の関係者らと面会した。
同会は2月に策定した本年の運動方針に、「親の世代が存命のうちに全拉致被害者の一括帰国が実現するなら、わが国が人道支援を行うことに反対しない」と明記し、北朝鮮への「人道支援」に反対していたこれまでの立場を転換させた。拉致被害者家族の高齢化が深刻になる中、改めて、拉致問題が時間的制約のある人権問題であることを強調している。
面会した全ての人から賛同得た
家族会代表の横田拓也氏は、今回の訪米の目的は同方針のポイントを説明することだったとし、米側に同方針への理解と拉致被害者救出への支援を求めた。
北朝鮮を巡っては、拉致問題を含む「人権問題」の他にも「核問題」や「弾道ミサイル問題」がある。この中で、同方針が人権問題を切り離し、優先的に解決を図りたいとの方針を打ち出したことについて、米側から理解を得られない懸念もあったが、「面会した全ての人から賛同を得た」と、横田氏は訪米の成果を報告した。
特に、国務省を訪れた際は、「国連安保理の会合で取り上げることを目指す」考えが示されたことも、訪米に同行した救う会会長の西岡力氏が明らかにした。
加えて、西岡氏は、北朝鮮の深刻な食糧難の状況について説明。「わが国が行う人道支援に魅力を感じさせることが重要」と述べ、「ここで、勝負をかけていただきたい」と、政府に対して拉致問題の解決を前進させることを強く求めた。
報告を受けた出席議員からは、「国連安保理の会合で取り上げるため、米国と協力の下、各国へ働き掛けるべき」との意見が上がった。