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お知らせ党大会

第90回党大会 岸田文雄総裁 演説

第90回党大会 岸田文雄総裁 演説

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自由民主党総裁、岸田文雄です。
本日、第90回の自由民主党 党大会にあたり、御挨拶を申し上げます。
今年も、党員・党友・各級議員の皆様に、全国からお集まりいただきました。
オンラインでも多くの方々に、ご参加いただいています。地域で我々の活動をお支えいただく皆様あっての自民党です。皆様の日頃からの御努力に、心より感謝を申し上げます。

また、先ほど、表彰させていただいた党員・団体・組織の皆様。また、この大会に先立ち、永年勤続表彰をさせていただいた、議員、秘書、県連、党本部の職員の皆様。今日の自民党があるのは皆様のお陰です。誠におめでとうございます。そして、ありがとうございます。

皆様のお力により、昨年の参議院選挙では、わが党単独で、63議席という改選過半数、友党公明党とともに、与党で改選前議席を上回る76議席という議席を確保し、一昨年の総選挙に続き、国政選挙に勝利することができました。党総裁として、改めて、全ての皆様に、深く感謝を申し上げます。

本日来賓としてお越しいただいている皆様にも、厚く御礼を申し上げます。友党公明党の山口代表、ご多忙のなか、本年もご出席賜りました。自民党と公明党が連立政権を発足させてから、四半世紀近い時間が経とうとしています。積み重ねてきた両党の絆が揺らぐことは決してありません。この自公連立の枠組みこそが、わが国の政治の安定の基盤です。私と、山口代表の下で、一致結束、益々強固な関係を築き、時代の難局に立ち向かってまいります。
そして、経団連の十倉会長。持続可能で、包摂的な経済社会を創っていく。そのために、何よりも大切なのは民間の活力であり、成長と分配の好循環です。経済界の皆様と共に、この国の経済を再生させ、再び成長軌道へと押し上げてまいります。

まもなく、統一地方選挙を迎えます。地域のどんな細かな課題も、どんな小さな声も逃さない、常に地域とともに歩んできた自民党にとって、国民に最も身近なところで行われる統一地方選挙は、最も大切な選挙です。候補者の皆さんは、既に寸暇を惜しみ、靴底を減らして地域を回っておられることと思います。自民党は、結党以来、「国民政党」であることを、大切にしてきました。国民と共に歩む自民党。その基盤を担っているのは、まさに、地域で、最前線において活動をして下さっている皆さんです。地域が元気になってはじめて、日本が元気になる。地方創生、そして日本の活性化に向けて、党員・党友、各級議員一丸となり、まなじりを決して、来る統一地方選挙を必ず勝ち抜こうではありませんか。
そして、統一地方選挙とともに、千葉、和歌山、山口で衆議院補欠選挙が予定されています。また、大分で参議院の補欠選挙の可能性も出てまいりました。いずれも今後の国政にも影響を与えるかもしれない、大変重要な選挙です。何としても、自民党の議席を皆で力を合わせて守り抜いていこうではありませんか。

本日、われわれは結党以来90回目の党大会を迎えました。また、今年は55年体制が終わりを告げてからちょうど30年です。前回の政権奪還から10年。そして、今、われわれは新たな歴史の転換点にいると感じています。

本日の党大会と昨年の党大会を比べるとき、失ったものの大きさを実感せざるを得ません。昨年7月、安倍晋三元総裁が、選挙期間中に銃撃され、お亡くなりになるという未曽有の事件が起こりました。一報を聞いて、ヘリコプターで総理官邸に戻ったときの、あの気持ちを今でも忘れることができません。
安倍元総裁の下、「日本を取り戻す」。そう固く誓って、当時の民主党政権から、政権の座を奪還したのは今から10年前のことです。そこから、この10年。安倍元総理の強力なリーダーシップの下、多くの仲間とともに、日本の未来を切り拓くために、死力を尽くしてきました。
かつて、6重苦とも呼ばれた経済状況は大きく改善し、雇用も企業収益も拡大し、「もはやデフレではない」ところまでもどってくることができました。
新型コロナによって水が差されてしまいましたが、地域の基幹産業である観光業は、インバウンドを中心に空前の盛り上がりを見せました。成長産業化を目指して取り組んできた農林水産品の海外への輸出は、この10年で3倍増、1.4兆円の規模まで増やすことができました。「福島の復興なくして、東北の復興なし。東北の復興なくして、日本の再生なし」。この覚悟で、東日本大震災からの復興も、着実に歩みを進めてきました。

私自身、かつては外務大臣として、深くコミットしてきた外交・安全保障分野。自由で開かれたインド太平洋の推進、日米同盟の深化や、平和安全法制の整備を実現してきました。
この10年は、民主党政権によって失われた「日本の誇り、自信、活力を取り戻す」ために、皆で力を合わせ、大きくこの国を前進させた「前進の10年」でありました。今こそ、安倍元総理、そして菅前総理が築いてこられた「前進の10年」の成果の礎の上に、「次の10年」を創るため、新たな一歩を踏み出すときです。共に、更なる挑戦を続けていこうではありませんか。

この10年で、日本が置かれている状況は大きく変化しました。新型コロナ後の日本経済再生、歴史上初のエネルギー危機の中でのエネルギー安定供給と脱炭素の両立、変化する国際秩序の中での外交安全保障、最大の未来への投資であるこども・子育て政策。いずれも先送りできない課題ばかりです。

責任政党として、これらに正面から挑戦をし、愚直に一つ一つ答えを見出すことで、国民の負託に応えていかなければなりません。
われわれならできる、いや、われわれにしかできない。皆さん、そう思いませんか?なぜなら、われわれ自由民主党には良き伝統があるからです。議論を尽くし、知恵を持ち寄り、そしていったん決めたなら、一致団結して成し遂げる。この良き伝統の下、難題に一つ一つ答えを出し、実行していこうではありませんか。

まず取り組まなければならないことは、わが国の領土・領海・領空を守り、国民の命を守り抜くことです。防衛力を抜本的に強化し、その裏付けも得て、積極的な外交を展開することで、戦後最も複雑で厳しい状況の中、いかなる事態が生じても、国家・国民を断固として守り抜いてまいります。
今年、わが国はG7の議長国を務めます。ロシアによるウクライナ侵略により、ポスト冷戦時代。グローバル化しさえすれば平和と繁栄が得られると信じていた時代―こうした時代は終わったとされています。法の支配の徹底、自由で開かれたインド太平洋の実現、経済安全保障の推進。G7広島サミットを成功させ、その成果を9月のG20につなげ、そして年末の日本・ASEAN特別首脳会談につなげることで、アジアから世界の平和と繁栄の新しい秩序を主導してまいります。 その中でも、深刻な人道問題であり、主権侵害である拉致問題は、解決に向け一刻の猶予も許されない最重要課題です。あらゆる機会を逃すことなく、引き続き、全力で取り組んでまいります。

そして、「物価高から、国民の生活や、企業活動を、守る」。何をおいても、「物価高に打ち勝つ賃上げ」が必要です。政権発足以来、賃上げを最優先にさまざまな施策を講じてきました。これから、春闘のピークに向けて、すでに「賃上げのうねり」が本格化しています。消費を喚起し、成長と分配の好循環を生み出すため、さらには激化する人材獲得競争の中で企業の競争力を高めるため、この「賃上げのうねり」を、さらに太いものとし、中小企業へ、そして地方へと、拡げていく。政労使が共通の認識をもって、それぞれの立場から、力を尽くし、そして、その先に、構造的な賃上げを実現してまいります。
同時に、きめ細かな物価高対策を講じていきます。これまで、物価高の主因であるエネルギー・食料品に的を絞り、ガソリンや灯油の激変緩和対策や、肥料高騰対策、経済的に厳しい世帯への5万円の給付金、さらには、電力・ガス料金の値引きなど、累次にわたり、きめ細かい対策を行ってきました。エネルギー・食料品価格を抑え込んでいくとの、国民の皆さんとの約束をこれからもしっかり守ってまいります。
そして、物価高を乗り越え、経済成長を実現するため、新しい資本主義の柱である、「投資と改革」にも全力を挙げます。GX、DX、科学技術・イノベーション、スタートアップ等の分野に、官の投資を呼び水に、民の投資を集めてまいります。
地域の未来を創る、地方創生の取り組みも加速化させていきます。デジタルの力で地域の社会課題を解決するデジタル田園都市国家構想を進めるとともに、地域の基幹産業である、農林水産業、観光業、中小企業への支援も強化してまいります。中でも、農林水産業は、国民の食を支え、自然・環境を守り、地域・伝統をつなぐ国の基(もとい)です。私自身、全国各地で、直接伺ってきた生産者の皆さんの想いを受け止め、農林水産業を、女性や若者を含めたさまざまな人材が、意欲と誇りをもって活躍できる、「稼げる産業」としてまいります。そのために、肥料・飼料の高騰対策で生産者の皆さんを支えながら、食料安全保障の抜本的強化や、農林水産品の市場拡大に取り組んでまいります。また、国土強靱化を進め、激甚化・頻発化する災害への対応にも力を入れます。
そして、皆さん。3年間にわたって大変なご協力をいただいてきた新型コロナ対応。いよいよ、新たな一歩を踏み出すときがきました。
5月8日から、新型コロナを、通常のインフルエンザなどと同じ「5類感染症等」へと移行させる決断をいたしました。それに先立ち、3月13日から、マスクの着用について、一人ひとりが、原則自由に判断できるよう、政府の方針を変更します。不安の声もあることは承知していますが、専門家の意見を丁寧に伺った上での決断です。日常を取り戻し、経済を、暮らしを前に進めていく、御理解をいただきたいと思います。

そして、「この国の子供たちの未来を創る」。少子化に打ち勝ち、持続可能で、包摂的な経済社会を創り上げていくために、「こども・子育て政策」を最優先で取り組んでいきます。
先日、福井県や石川県、また岡山県にもお伺いをし、経済的な観点や、将来のキャリアの面から、結婚や子育てに対し不安をもっておられる、若い世代の皆さんとお話しをいたしました。また、「産休後に現場に戻れるか不安だ」。また、「子供が泣き止まずドキドキする。ベビーカーが邪魔ではないか、いつも気になる」、お父さん、お母さんの、そんな切実な声もたびたび伺ってきました。こうした様々な不安を取り除き、誰もが、ストレスを感じることなく、子育てをできる社会をつくるため、政治は力を発揮しなければなりません。従来とは次元の異なるこども・子育て政策を実現し、社会全体の意識を変える。そのことにより、普通の方が普通に働くことで、経済的な不安なく、子供を育てられる社会。
女性も、男性も、子育てによってキャリアをあきらめる必要等ない、そうした社会を創っていこうではありませんか。

そして、子供たちに、日本を着実に引き継ぐため、憲法改正にも取り組んでまいります。自衛隊の明記、緊急事態対応、合区解消、教育の充実。いずれも先送りのできない課題ばかりです。時代は、憲法の早期改正を求めていると感じています。野党の皆さんの力もお借りしながら、国会の場における議論を、一層積極的に行ってまいります。
また、日本国民の統合の象徴である皇室における安定的な皇位継承を確保するための方策への対応も先送りの許されない課題であり、国会における検討を進めてまいります。

今、我々は、明治維新や、先の大戦に匹敵する歴史の転換点を迎えています。経済、エネルギー、外交安全保障、少子化対策。この歴史の転換点に臨み、今一度、10年前の政権奪還の原点、野党転落のどん底から毅然と立ち上がった原点に立ち戻りたいと思います。
それは、おごりを捨て、虚心坦懐に、徹底的に国民の声に向き合うことです。改めて、「政治は国民のもの」―この立党の精神に立ち返り、真摯に、地域の声、国民の声に耳を澄ませていこうではありませんか。

自民党には多様な人材がいます。
本日も、会場に、多くの若い方、女性の方々にもお集まりいただいております。青年部・青年局では、党本部と地方組織が、日常的に議論し、政策を練り上げています。
女性局中心に「いどばたキャラバン」や、「女性未来塾特別講座」といった取り組みも進めていただいています。
自民党の強みである、老壮青、多様な人材の力を結集し、共にこの難局を乗り越えていく。国民政党として、責任政党として、一致結束して、この春の闘いを勝ち抜いていくことを、改めて皆さんと誓い合い、私のごあいさつとさせていただきます。

本日は、誠にありがとうございました。

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