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お知らせ「自由民主」先出し安全保障

どうなっている?
わが国のミサイル防衛体制

最近、北朝鮮がかつてない高い頻度で弾道ミサイルを発射し、挑発を繰り返しています。4日には、弾道ミサイルがわが国の上空を通過し、太平洋へと落下する事案も発生しました。防衛省・自衛隊では、万が一わが国の領域へミサイルが飛んできた場合でも国民の命と安全を守れるよう、24時間365日、警戒監視に当たっており、いつでもミサイルを迎撃できる体制を構築しています。

ミサイルが落ちれば深刻な被害

ミサイルとは、ロケットエンジンやジェットエンジンを推進力として使用し、目標に向かって飛ぶ無人飛行兵器の総称です。このうち「弾道ミサイル」は、主にロケットエンジンで推進し、放物線を描いて目標地点に到達します。
航空機のようにジェットエンジンで推進し、大気中を飛行する「巡航ミサイル」と違い、弾道ミサイルは大気圏の高層や宇宙空間といった空気抵抗の少ない高い高度を飛行します。そのため、航空機や巡航ミサイルよりはるかに速度が速く、より遠距離へ到達することが可能です。また、強い推進力で重い弾頭を運ぶことができるため、核、生物、化学兵器等の大量破壊兵器を弾頭に組み合わされたミサイルが着弾すれば、深刻な被害がもたらされることになります。
そのため、国連安全保障理事会は北朝鮮に対し、弾道ミサイルの発射と核実験を禁止する決議を行っていますが、北朝鮮はこれをほごにしています。
防衛省の分析によると、北朝鮮は、少なくともわが国を射程に収める弾道ミサイルについては、必要な核兵器の小型化・弾頭化を既に実現しているとみられ、また、わが国を射程におさめる弾道ミサイルを数百発保有しています。
弾道ミサイル防衛においては、その特性上、極めて精度の高い迎撃システムが必要とされます。

段階に応じてミサイルを迎撃

わが国の弾道ミサイル防衛(BMD)システムは、海上自衛隊のイージス艦や航空自衛隊のペトリオット(PAC―3)が、それぞれの段階に応じてミサイルを撃墜する、多層防衛で構成されています。もしわが国の領域に対しミサイルが発射された場合、海上に配備されているイージス艦は弾道ミサイルが大気圏外を飛行している段階で迎撃する一方、陸地に配備されたPAC―3は大気圏に再突入した後の最終段階で迎撃し、ミサイルを破壊します。
わが国に飛来する弾道ミサイルに遅滞なく対応するためには、一秒でも早く、発射を検知し伝達する必要があります。そのため自衛隊では、レーダー等によって、24時間365日切れ目なく、わが国周辺の警戒監視にあたっています。
これらミサイル防衛に係る設備は、日本各地に配備されており、自動警戒管制システム(JADGE・ジャッジ)によって一体的に運用する体制が確立されています。これにより、全国各地のレーダーが弾道ミサイルの発射を検知した場合、その情報を集約・処理し、着弾地点の計算等が自動で行われることから、瞬時に、指揮系を通じて海上のイージス艦等へ迎撃を命令でき、効果的な迎撃を行えるようになっています。
ミサイルの破壊措置に当たっては、発射されてから総理の判断を仰いでいては間に合わない場合に備え、防衛大臣があらかじめ命令を発している際には、現場指揮官が躊躇なく迎撃できる仕組みが、自衛隊法等で整備されています。
ただし、10月4日の北朝鮮による弾道ミサイル発射事案のように、発射された弾道ミサイルが、日本列島の上空を通過し、わが国領域に落下する恐れがないと防衛省・自衛隊が判断した場合は、ミサイルの破壊措置を取らないことがあります。

どうなっている?わが国のミサイル防衛体制

ミサイル防衛システムの運用イメージ ※令和4年版防衛白書より引用

防空システム向上へわが党が主導

北朝鮮が、国連安保理決議に違反して弾道ミサイルの発射を繰り返すのは、単に周辺国を挑発しているだけではなく、ミサイルの発射技術や攻撃能力の向上を図るための実験でもあります。
近年のミサイル発射から見ても、その射程距離が伸びているだけでなく、低高度を変則的な軌道で飛翔することが可能な弾道ミサイル等が確認されています。また、多数のミサイルを同時に発射する能力、正確に目標を狙う能力、鉄道車両や潜水艦等から奇襲的に発射する能力等も身に付けていると見られ、北朝鮮のミサイル技術と攻撃能力は向上していると分析されています。
こうしたミサイルは、早期探知を困難にし、ミサイル防衛網の突破を目的としていることは明白です。これに対応すべく、防衛省・自衛隊では、イージス艦の能力向上のほか、より防護範囲の広いPAC―3の導入を進める等、さらなるミサイル防衛体制の強化に取り組んでいます。
わが党の国防部会(部会長・國場幸之助衆院議員)や安全保障調査会(会長・小野寺五典衆議員)の合同会議においても、こうしたミサイル防衛能力向上も含め、政府が進める防衛力の抜本的強化に向けた議論を主導しています。

その一方、合同会議では、どれだけわが国がミサイル防衛力を強化しても、相手が大量のミサイルを同時に打ってきた場合、それらを完全に迎撃するのは難しいとして、相手国の基地を直接たたく「反撃能力」をわが国も持つべきではないかとの議論もなされています。

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