2025年5月12日(月) 17:49~18:10
於:党本部平河クラブ会見場

記者会見を行う森山裕幹事長
【冒頭発言】
本日の役員会の概要を報告いたします。
石破総裁からは、本日の衆・予算委で申し上げた通り、6年度補正予算、7年度予算に盛り込んでいる様々な物価高対策を速やかに執行していかなければならない。
コメについては、備蓄米が可能な限り早く、手に取りやすい価格で消費者の手に渡るよう、更にスピード感と危機感をもって取り組む。党と政府で協力してやって欲しい旨、政調会長にお願いした。党とも連携しつつ対応していく。
米国の関税措置に関しては、2回目の閣僚級協議を行った。米英合意、米中協議が進んでいるが、国益を確保し、きちんと成果を残せるように臨んで参りたい。
国内では産業界の皆様方、海外では欧州、豪州、ベトナム、フィリピン等各国首脳との間で対話を行ってきている。
幹事長・政調会長をはじめとする党本部での指摘も踏まえ、5月中旬以降の次回閣僚間協議での具体的進捗に向け、貿易の拡大、非関税措置、経済安全保障面での協力、の3点を中心に準備を加速して参りたい。
引き続き、米国に対しては、一連の関税措置の見直しを強く求めていくとともに、関連する中小企業、さらには国民生活への影響をよく注視し、自動車のみならず、産業等のサプライチェーンを守るため、躊躇なく追加的に必要な対応を行っていく。
先月末、第二次世界大戦終戦から80年という節目の年であり、同時に、ベトナム戦争終結から50年という節目の年である観点から、ベトナム、フィリピンを訪問した。力による一方的な現状変更の試みが南シナ海、東シナ海で行われる中、安全保障に関する協力強化について進展を得た。
万博のナショナルデーは外交的に極めて重要な機会。昨日は、ナショナルデーに際して訪日されたチリ大統領と、本日は、ギニアビサウ大統領と首脳会談を行った。これからも積極的に万博外交に臨んでいきたいという発言が総裁からございました。
私(森山幹事長)からは、米国の関税措置について、今月はじめ、関税措置に関する2回目の日米 協議が行われた。いくつかの分野では、協力に向けた具体的な議論が深まるなど、日米双方にとって利益となるよう、率直かつ建設的な議論が進められたことは、良かったと思っている。
米国の関税措置を巡っては、イギリスとの合意や中国との協議など、様々な動きがあるが、政府には、日米両国の互恵的な関係強化に向け、冷静かつ毅然とした姿勢で交渉を進めていただきたいと思う。
わが党としても、政府との緊密な連携の下、現場の声を丁寧に伺いながら、万全の対応を行なって参りたいと考えている。
参議院議員選挙対策 期別打合せについて、GWも終わり、夏の参議院選挙まで2カ月を切ったので、参院選必勝に向けた衆議院議員の期別打合せ会を行うこととした。今日は1期生と2期生の皆さんに、選挙に向けた具体的な取組みのお願いをさせていただいた。
今後、5期生の先生方までを対象に打合せをさせていただき、圧倒的な活動量をもって参議院選挙に臨みたいと考えている。
新人議員研修について、昨年11月、中央政治大学院が、先の総選挙で初当選した新人議員を対象に、研修会を実施した。この取組みが参加者に好評であったことに加え、党ガバナンス委員会からの提言において、「若手国会議員の人材育成」の検討が提起されていることも踏まえ、引き続き中央政治大学院において、衆議院1期生を対象としたフォローアップ研修を進めていただきたいと思っている。
また、将来にわたる新人議員研修のマニュアル化やプログラム化についても進めていただきたいと考えている。今後、各部署のご協力をお願いすることがあるかと思うので、役員各位におかれては、ご理解の程、よろしくお願い申し上げますと発言しました。
《坂本国対委員長と石井参議院国対委員長からは、今週の委員会の日程や本会議の予定等について、ご報告がありました。
山本参議院副会長と松山参議院幹事長からは、参議院としても選挙に向けた動きをより一層加速させるとのご発言がありました。
木原選対委員長からは、今週告示される和歌山県知事選挙について発言がありました。
小野寺政調会長 からは、今週の政審の予定などについて、ご報告がありました。
鈴木総務会長からは、総務会は、明日11時より開催するとのご報告がありました。
役員会の概要は以上です。
質疑応答
- 時事通信です。消費税に関してお伺いします。幹事長は昨日の講演で参院選の争点の一つとして消費税を挙げました。物価高対策についても各党が重点を置くとみられますが、それぞれ自民党としてどのように対応していくのか、お考えをお聞かせください。
- わが国の消費税は、急速な高齢化等に伴い、社会保障給付費が大きく増加する中において、全世代型社会保障制度を支える重要な財源と位置付けられていると理解しております。
消費税収は全て社会保障財源に充てることとされており、一部地方財源となっていることもその通りではございますが、持続可能な社会保障制度を守っていくためにも、その安定的な財源の重要性については、十分に理解を求めていく必要があると思っていますし、地方財源であることも忘れてはならないと思います。
消費税を減税すれば、働く現役世代に負担がかたより、日本の将来を担う世代にさらに大きな負担を強いることになりますので、責任政党として、その税率を引き下げることは適当ではないと考えております。
- 時事通信です。続いて選択的夫婦別姓についてお伺いします。自民党では氏制度のあり方についての議論が続いています。通常国会会期中における、党内議論の集約についてどのようにお考えかお聞かせください。
- 皆さん、ご承知の通り、氏制度は、歴史的な経過や「家族の形」にも関わる重要なテーマであると認識しております。現在、党のワーキングチームでは有識者から幅広い意見を伺いながら議論を進めておりますが、経済社会活動の中で生じている不便をどう解消するかも重要な視点ではないかと思っております。
また、旧姓の通称使用については、まだ十分に周知されていない面も見受けられますし、現場での対応が追いついていない面もあるのではないかと考えております。
引き続き、ワーキングチームにおいて主な論点を整理し、運用状況について関係省庁にも確認しながら、丁寧に議論を進めていくことが重要なことではないかというふうに考えております。
- NHKです。コメの価格について質問します。先ほど速報で、18週ぶりにコメの価格が値下がりという報道もありましたが、現状では、まだ高止まりしていると思います。その受け止めをお願いしたいのと、また対策として備蓄米と同じ量を「原則1年以内」に政府が買い戻すとした要件を緩和することなどが検討されていると一部報道もありますが、どういった対応が必要とお考えでしょうか。
- 先週、農林水産省が発表した4月21日の週の販売価格は、5キログラム当たり4233円と、前週と比べて12円、0.3%の上昇となったと承知をしております。
コメについては、これまで合計31万トンの政府備蓄米の売り渡しを行っておりますが、全農から卸売業者等に対する出荷量は、5月8日時点で6.3万トンに留まっている状況であります。政府においては、全農に対して取引先との速やかな調整や前倒しで供給の拡大を行う事などを要請し、5月以降も毎月備蓄米の売り渡しを実施し、切れ目ない供給に取り組むと承知しております。
私も地元でAコープのコメの価格も見てまいりましたし、またスーパーのコメの価格も見てまいりましたが、Aコープは備蓄米が鹿児島までも届いておりまして、5キロあたり3,680円ぐらいの価格で販売されています。そのことを受けて、全農にも伺って色々な意見交換をさせていただきました。全農自体は大変な努力をしていただいているところでありますが、どちらかというと東北の方に備蓄米がたくさん貯蔵されているということもあり、どう配送するのか、どう精米をするのかという課題もありましたけれども、段々そういう目詰まりも解消されつつありますので、適正な価格で販売されるようになるのではないかと思っておりますし、また制度を見直すこと等によって、それが加速度的に変わっていくとすれば、そういうことも考えていくことが大事な事ではないかと思います。
党としても、備蓄米の売り渡しの状況を注視し、結果分析なども適切に行いながら、更なる対応策について適宜適切に検討していくことが大事ではないかなというふうに思っております。
- NHKです。補正予算についてお伺いします。昨日、鹿児島市での講演で「しかるべきタイミングで補正予算をやらせていただく」と言及されましたが、現時点で想定している内容やタイミングについて教えてください。
- まずは、物価の上昇に向き合ってきた国民の皆様の声に真摯に耳を傾け、コメの価格対策も含めてどのような対応ができるのか、しっかりと検討を進めて参りたいというふうに考えております。
また、補正予算、当初予算の執行状況もしっかり見ていかなければなりませんし、補正予算でも物価対応への予算もかなり計上されておりますし、それぞれの基礎自治体で、また県でもその対応が行われつつありますので、こういう動きも注視していかなければならないと思っておりますが、物価の変動や、不確実性の高い米国の関税措置の動向も十分に注視していかなければなりませんし、政府とも相談しながら、特に関税措置の問題がどう影響してくるのかということをしっかりわきまえて、景気対応のための予算等を考えなければならないのではないかと思います。
- 共同通信です。西田昌司参院議員の「ひめゆりの塔」を巡る発言について、西田氏は2度目の会見で発言を撤回・謝罪されましたけれども、一連の西田氏の言動に対する幹事長のご見解を伺います。
- 既に西田議員ご本人が発言を訂正され、謝罪されておられると承知しておりますが、沖縄県民の皆さまの心を傷つける、配慮を欠いた発言であったと思っております。また、沖縄県連としても一つの考え方を整理されて発表をしておられるところであります。
皆様ご承知の通り、沖縄では、さきの大戦において、住民も巻き込んだ大変過酷な地上戦が行われ、20万人をこえる尊い命が奪われたと認識しております。大変悲惨なことであったと思っています。
終戦から80年を迎える中で、沖縄が経験した苦難の歴史を心に刻み、県民の皆様のお気持ちにしっかりと寄り添いながら、引き続き、基地負担の軽減や沖縄の振興に取り組んで参りたいと考えております。
私の政治の師である山中貞則先生は沖縄のことに心を砕いてこられました。「沖縄のことはどんなことをして差し上げても、やりすぎることはない」。私は、この山中先生の言葉に、全てのことが包括されていると思っています。
- 共同通信です。派閥政治資金の不記載を巡り、野党は下村博文氏の参考人招致を求めておりますけれども、招致の必要性について幹事長のお考えを伺います。
- 既に国会対策委員長間や予算委員会理事会において、やり取りがなされていると承知しておりますが、下村前衆議院議員への参考人招致要求につきまして、わが党としては「反対」の意向をお伝えしております。 なお、野党から引き続き要求があるのであれば、国対間や予算委員会理事会等において、引き続き協議がなされるものと承知しております。
- 朝日新聞です。先週、積極財政派の方々の署名提出の際に、党税制調査会の中で消費税の勉強会を開くというお話がありました。これについて勉強会のねらいと初回の予定について教えてください。
- 消費税は所得の有無にかかわらず、消費に応じて全世帯が負担する税制であります。これは全世代で支え合い、全世代が必要な時に社会保障給付を受けられる全世代型社会保障の構築に適したものであると考えておりまして、これが党派を超えて合意した社会保障と税の一体改革の本質だというふうに私は考えています。
働く現役世代がお年寄りを支えている印象を持っておられる方もおられますが、若い皆さんもいずれ年を取り、社会保障の世話になることが現実であります。
将来、若い方々がお年寄りになっても、安心して暮らしていけるよう、日本の素晴らしい社会保障制度を守っていくことが大変大事なことだと考えております。
平成24年の「社会保障と税の一体改革」の後に当選された先生方も増えて参りましたので、消費税を巡る制度の現状やこれまでの経過について、一度しっかりと確認する事が重要だと考えておりまして勉強会を始めさせていただくことといたしました。日程は、決まり次第ご案内します。
- 朝日新聞です。関税に件についてお伺いします。先ほど、米中の交渉について税率を115%引き下げることで双方が合意したというニュースがありまして、これの受け止めをお願いいたします。
- 私は、そのニュースを今は把握しておりませんので、政府からもしっかりと報告を受けたいと思います。
- 読売新聞です。冒頭で仰られた、参議院選に向けて期別の打ち合わせを行ったということですけれども、1期生、2期生に対して、幹事長からどういったことをお伝えになったのか教えていただけますか。
- 参議院で逆転現象が多きますと、非常に国会運営が難しくなりますし、我々が与党としての立場をしっかり果たせなくなるという問題をはらんでいるということを申し上げました。また、私自身が参議院選挙を戦った経験を持っていますから、参議院の場合はやはり、衆議院が一生懸命お手伝いをするということが大事なことだという話を致しました。衆議院、参議院一体となって選挙を戦うことが大事なことだと思っております。