ニュースのカテゴリを選択する

記者会見経済新しい資本主義エネルギー環境子供少子高齢外交安全保障デジタル

第2次岸田第2次改造内閣発足等について岸田内閣総理大臣記者会見(全文)

岸田内閣総理大臣

本日、内閣改造を行いました。
2021年10月4日に総理大臣に就任した際、私の内閣は、新しい時代を国民の皆様と共に創っていく「新時代共創内閣」であると申し上げました。この2年間は、正に国民の声を丁寧に聴き、国民の皆様と協力しながら新しい時代の扉を開いていく、そうした取組を進める毎日でした。
まずは新型コロナとの闘い。平時の日本を取り戻すため、段階的に政策の見直しを進めてきました。改めて、国民の皆様の御理解と御協力に感謝を申し上げます。

2022年2月には、ロシアがウクライナに侵攻し、国際的な物価高が進みました。政府として、物価高に対する総合的な対策を進めるとともに、民間企業の皆様には、物価高に負けない高い水準の賃上げをお願いしました。今年の春闘の賃上げ率は3.58パーセントと30年ぶりの高い水準となり、また、最低賃金についても過去最高の引上げとなり、全国加重平均で1,004円となりました。

経済政策では、官民が協力しながら、脱炭素化やデジタル化などの国内投資を拡大しながら、成長と分配の好循環を実現する新しい資本主義の取組を進めてきました。産業界の見通しによれば、今年は設備投資が100兆円を超え、過去最高になる見通しです。
エネルギー・環境政策も大きくかじを切りました。国際エネルギー危機とも言われる中で、エネルギーの安定供給と脱炭素を両立させて日本国民の生活を守り、同時に、経済成長のエンジンをつくる。カーボンプライシング制度や脱炭素電源のフル活用に向けた枠組みを整備しました。

外交面では、ロシアによるウクライナ侵略により、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序が危機に瀕(ひん)しています。東シナ海や南シナ海における力による一方的な現状変更の試みや、北朝鮮による核・ミサイルの脅威も増大しています。国民の安全とその生活を守り抜くため、防衛力の抜本的強化に踏み出す決断もいたしました。
さらに、これを背景に、我が国の外交力を一層高めるべく、首脳外交にも全力で取り組んでいます。例えば今年5月には、G7広島サミットを開催し、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けて、G7諸国が一致団結して取り組む方針を確認いたしました。また、8月には、キャンプ・デービッドで日米韓首脳会議を開催し、3か国のパートナーシップの新時代を拓いていくという決意を内外に示しました。
このように、この2年間を通じて、新しい時代の息吹が確実に生まれつつあります。経済でも外交でも、世界における日本の存在感を高めることができました。

しかしながら、まだ道は半ばです。なぜならば、我々の前に流れている変化の大河は、正に百年に一回とも言える、時代を画するものだからです。
グローバルサウスの発展を始め、国際社会のパワーバランスは劇的に変化しています。AI(人工知能)の進展など技術の変化は加速度を増しています。脱炭素経済への移行を始め、世界の経済を取り巻く状況も急速に変化しつつあります。この変化の大河を乗り越え、我が国の安心と豊かさを次の世代にバトンタッチする。目の前の変化を前にして立ち止まることは許されません。変化を力にする日本、目の前に広がる大きな変化を新しいチャンスに変えていく。雇用者のリ・スキリング、スタートアップ企業の支援、デジタルの力を活用した地方の成長、脱炭素技術をいかした新しい産業づくり、こども・子育て政策の充実。変化をチャンスとして力に変えていくため、政府は総力を挙げてまいります。

国際情勢の変動にもたじろいではいられません。我が国こそが、成長するインド太平洋の安定軸となり、そして世界をリードする。世界の多くの国は、そうした役割を日本に求めています。日本の存在感を世界に示し、平和と国際協調へのリーダーシップによって敬意を集めていきます。

この内閣は、「変化を力にする内閣」です。
明治維新、戦後復興など、我が国はこれまでも変化をチャンスとし、チャンスを力にしてきた、こうした歴史があります。大きな変化を前に、当時はとても実現不可能と思われた経済成長や豊かな社会づくりを実現した歴史が我々にはあります。変化を力として、閉塞感を打破し、所得であれ、暮らし・福祉であれ、外交関係であれ、明日は今日より良くなる、誰もがそう思える国づくりを一緒に行っていこうではありませんか。

こうした国づくりに向け、引き続き、経済、社会、外交・安全保障の3つを政策の柱として、強固な実行力を持った閣僚を起用することといたしました。
政府の大黒柱として、松野官房長官には留任いただきます。また、政権の最重要課題である拉致問題についても、引き続き担当してもらいます。

まず、第1の柱は経済です。成長と分配の好循環を実現するため、バブル崩壊以降30年間続いてきた減量経済、コストカット経済を脱却し、賃上げ、人への投資の促進、研究開発投資、これらを強化するといった攻めの経済への転換が少しずつ動き始めています。この動きを着実なものとするため、まずは足元の物価高に対応しなければなりません。
ガソリン補助金の継続を含め、国民生活を応援する大胆な経済政策を実行してまいります。若い世代の所得向上のため、年収の壁を打ち壊していきます。そのための支援強化策を早急に取りまとめ、時給1,000円超えの最低賃金が動き出す来月から早速実行いたします。
その上で、新しい資本主義に向けた取組を加速し、物価上昇率プラス数パーセントの賃上げを継続的に実現するための政策や、官民連携により150兆円規模の投資を誘引するための取組、さらにはAIやスタートアップなど、将来の成長基盤の整備を進め、デフレからの脱却を確実なものとしてまいります。これまでのデフレ下で税収が伸び悩む中での財政から、経済運営においてより中長期をにらむ、ダイナミックで積極的な役割を果たせる財政へと転換してまいります。
スタートダッシュが求められる経済対策をにらみ、鈴木俊一財務大臣と西村康稔経済産業大臣には引き続き重責を担っていただくこととしました。
経済対策全体の取りまとめは、ベテランで調整能力に定評のある新藤義孝大臣にお願いしました。
経済安全保障や科学技術など、明日の日本の将来を決する重要分野は、高市早苗大臣に引き続き担当いただきます。

第2の柱である社会については、2030年までが少子化トレンドを反転させるラストチャンスであり、まずは、先般閣議決定したこども未来戦略方針に基づき、次元の異なる少子化対策を早期に実施すべく、必要な制度改革の法案を次期通常国会に提出してまいります。
少子化以外にも、これ以上先送りができない、待ったなしの社会的課題があります。そうした課題への対応を強化してまいります。
例えば、高齢化によって認知症の患者が増える中で、認知症の方が尊厳、希望を持って暮らすことができる社会をつくることが喫緊の課題です。また、身寄りのない方も含めて、高齢者の方々がお一人でも安心して年を重ねることができる社会づくりを政府横断的な取組として進めてまいります。さらに、多くの国民の方々が身体的負担、通院負担で苦しまれている、国民病とも言える花粉症についても、抜本的な対策が必要です。厚生労働大臣には、厚生労働分野に長く関わり、国際人脈も豊富な武見敬三さんにお願いしました。
こども・子育て政策や女性活躍は、こども・子育ての当事者でもある加藤鮎子さんに担当してもらいます。
土屋品子復興大臣には、女性ならではの視点を最大限にいかし、被災地に寄り添った復興策に腕を振るってもらいます。
沖縄・北方対策、地方創生、消費者政策、万博(国際博覧会)担当では、自見はなこ大臣の活躍を期待しています。

コロナのときのデジタル敗戦は二度と繰り返さない。デジタルを力として地方経済の成長を図り、同時に、利用者目線を第一に据えて、国と地方の行財政の仕組みを変えていく。このために、デジタル田園都市、行革、規制改革などを束ねる司令塔として「デジタル行財政改革会議」を新たに設置いたします。この改革の司令塔は河野太郎大臣にお願いしました。持ち前の突破力に期待しています。

第3の柱である外交・安全保障に関しては、G7、QUAD(日米豪印4か国)、日米韓など様々な枠組みを活用しながら、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の強化に向けて取り組んでまいります。我が国自身の防衛力の抜本的強化について、着実に進めていきます。その上で、我が国の置かれた厳しい安全保障環境に対応するため、唯一の同盟国である米国との関係を一層強化するとともに、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、さらにはインドなどの同志国と連携強化を進めてまいります。特に韓国との間では、尹(ユン)大統領との個人的信頼関係をてこに、幅広い日韓の連携を進めるとともに、日米韓の連携も強化してまいります。そして、年末の日ASEAN(東南アジア諸国連合)特別首脳会談に向けて、我が国が、世界の成長セクターであるインド太平洋を牽引(けんいん)していきます。
外交の要には、国際人脈が豊富で、閣僚としても経験豊富な上川陽子さんに外務大臣をお願いしました。
防衛大臣には、この分野のエキスパートでもあり、政策全般に明るい木原稔さんを起用いたします。

今、申し上げたような三本柱の重点課題を内閣一体となって進めていくためにも、各分野における安定した行政運営が不可欠です。NTT(日本電信電話株式会社)の在り方の検討やマイナンバーカードに対する国民の信頼回復を始め、幅広い担当を持つ総務大臣には、この分野に精通している鈴木淳司さんを起用いたします。
法務大臣は、ベテランの小泉龍司さんにお願いすることとします。国民に身近で頼りがいのある司法の実現に向けて尽力してもらいます。
文部科学大臣には、行政経験豊富な盛山正仁さんを起用いたします。旧統一教会問題についても、関係大臣と協力して、被害者に寄り添い、法の厳正な適用に万全を尽くしてもらいます。
食料安全保障の強化に取り組む農林水産大臣は、農林水産行政に精通した宮下一郎さんにお願いいたします。
地球温暖化対策に取り組む環境大臣には、国会で環境問題に長く取り組んできた伊藤信太郎さんにお願いいたします。
国土交通大臣は、災害対応、物流問題、地域交通など地域社会の重要課題に、引き続き斉藤鉄夫大臣に取り組んでもらいます。
国家公安(委員会)委員長兼防災担当大臣は、産業の実態に詳しく、防災に知見の深い松村祥史さんを起用いたします。

最後に、旧統一教会について一言申し上げます。9月7日、旧統一教会に対する過料の通知を行いましたが、これまで7回にわたる報告徴収の実施とともに、全国弁護団、元信者の方々など、数多くの方々からの証拠収集も着実に進んでいます。この問題にしっかりとした結論を出すべく、最終の努力を進めてまいります。宗教法人審議会の意見も伺いながら、法に基づき、最終的に判断をしてまいります。政府・与党が力を合わせ、先送りできない課題に正面から取り組んでまいります。

国民の皆様の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。