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ロシアによるウクライナ侵攻等についての岸田内閣総理大臣記者会見(全文)

ロシアによるウクライナ侵攻等についての岸田内閣総理大臣記者会見(全文)

昨24日、ロシアはウクライナへの侵攻を開始しました。これまで国際社会において緊張緩和に向け、様々な外交努力が行われる中、我が国としても様々なレベルでロシアに対し、外交による解決を働き掛けてきました。私自身も先週17日に日露首脳電話会談を行い、プーチン大統領に対し、力による一方的な現状変更ではなく、外交交渉により、関係国にとって受け入れられる解決方法を追求すべき旨、直接働き掛けを行うとともに、ウクライナなど各国との電話会談、G7テレビ首脳会談などを通じ、G7、EU(欧州連合)、そして国際社会の結束の強さを示してまいりました。

こうした国際社会の懸命の努力にもかかわらず行われた、今回のロシア軍によるウクライナへの侵攻は、力による一方的な現状変更の試みであり、ウクライナの主権と領土の一体性を侵害する明白な国際法違反です。国際秩序の根幹を揺るがす行為として、断じて許容できず、厳しく非難します。我が国の安全保障の観点からも決して看過できません。G7を始めとする国際社会と緊密に連携し、ロシアに対して軍の即時撤収、国際法の遵守を強く求めます。

この事態を受け、第1に、G7を始めとする国際社会と緊密に連携し、制裁措置を強化いたします。具体的には、23日に発表した制裁措置に加え、資産凍結と査証発給停止によるロシアの個人、団体などへの制裁。2つ目として、ロシアの金融機関を対象とする資産凍結といった金融分野での制裁。3つ目として、ロシアの軍事関連団体に対する輸出、国際的な合意に基づく規制リスト品目や半導体など汎用品のロシア向け輸出に関する制裁の3分野における措置を、速やかに実施いたします。

第2に、ウクライナ在留邦人の安全確保のため、全力を尽くします。ウクライナの在留邦人に対しては、これまで累次にわたり退避を呼び掛けてきた結果、2月23日時点でウクライナ人の御家族をお持ちの方など、自らウクライナ残留を希望される方が約120名となっております。状況が厳しさを増す中、引き続きこうした方々の安全にも最大限努力をしてまいります。具体的には、松田大使以下、現地の日本大使館ができる限りの手段を講じ、邦人保護に取り組みます。ウクライナの隣国であるポーランドに陸路で退避する場合の支援などを行うため、西部のリヴィウに臨時の連絡事務所を設けました。ポーランド政府からは、邦人の円滑な受入れについて御協力を頂ける予定であり、同国から他の国へと移動するためのチャーター機を既に手配済みです。

第3に、私自身、首脳外交を積極的に行い、また、様々なレベルでG7を始めとする国際社会と緊密に連携し、外交的な取組を進めてまいります。

第4に、今回の事態により、我が国経済社会に生じる様々な悪影響を最小限にとどめるよう取り組みます。まず、エネルギーの安定供給についてです。現時点では、世界の原油供給はロシアの侵攻によっても断絶しておらず、対ロシア経済制裁は、エネルギー供給を直接阻害するものではありません。また、国内には現在、原油については、国、民間合わせて約240日分の備蓄があり、LNG(液化天然ガス)についても、電力会社、ガス会社において2週間から3週間分の在庫を保有しています。このため、エネルギーの安定供給に直ちに大きな支障を来すことはないと認識しております。IEA(国際エネルギー機関)や関係国と協議を行っている国際協調での備蓄放出や、産油国・産ガス国への増産の働き掛けなど、関係国や国際機関とも連携をしながら、必要な対策を機動的に講じ、国際的なエネルギー市場の安定化と、我が国へのエネルギー安定供給の確保に万全を期していきます。

そして、原油など燃料価格高騰に対して、国民生活や企業活動への悪影響を最小限に抑えるようにいたします。具体的には、当面は燃油価格の激変緩和事業を大幅に拡充・強化し、小売価格の急騰を抑制します。本対策を中心とし、業種別対策や地方の取組支援、中小企業対策なども含む緊急対策を官房長官の下に設置した関係閣僚会合において、早急に取りまとめます。電力・ガスの料金についても、燃料費が上昇したとしても、急激な価格上昇が起こらないように取り組みます。

さらに、貿易保険の迅速な保険金支払など、輸出入などの事業活動に影響を受ける日本企業の支援も講じてまいります。

ロシアによるウクライナ侵攻は、国際秩序の根幹を揺るがす、深刻な事態です。G7を始めとする国際社会と緊密に連携して、対応してまいります。詳細は、この後、関係省庁から説明させます。

私からは以上です。