
代表質問を行う青木一彦参院幹事長
自由民主党の青木一彦です。
会派を代表し、高市総理の所信表明演説に対し、質問いたします。
高市総理は、年頭の記者会見で、「経済状況に明るい見通しが出てきている」と述べられました。
確かに、内閣府の指標等によれば、高水準の賃上げや株価の推移など、マクロ経済には好調な側面がうかがえます。
しかし、物価高、特に日々の食料品価格の上昇や、社会保険料の負担が、現役世代、とりわけ中低所得層に重くのしかかっており、好景気を実感できず、家計消費は力強さを欠いています。
1年前の参院選では、我が党は、即効性のある給付や的を絞った物価高対策を掲げましたが、他党が消費税減税を公約に掲げる中、国民の十分なご理解を得られず、参議院で少数与党となる厳しい結果を招きました。
加えて、物価高や社会保険料の負担感は、その後も特に中低所得層に重くのしかかっていました。
物価高や社会保険料負担等から、手取り収入の増加を実感することができないという声が聞こえる中、本年の衆院選において我が党は、高市総理を先頭に「日本列島を、強く豊かに」のスローガンを掲げました。そして、その下に、「手取り増のための給付付き税額控除」や「2年間に限り、消費税減税の検討加速」という公約を訴え、国民の皆様から「約束した政策を前に進めよ」との強いご支持をいただきました。
消費税は平成元年、竹下内閣により導入されて以来、少子高齢化が進む我が国の社会保障を支える、極めて重要な役割を果たしてきました。
衆院選後の超党派の「社会保障国民会議」でも、この認識は共有されています。
その上で、国民会議の中で、中低所得の現役勤労者に的を絞った「支援金」の導入と、それまでの2年間限定の「つなぎ」としての消費税減税という枠組みがまとまったことは、国民の負担感解消に向けた画期的な成果と評価します。
そこで、国民に約束した政策を着実に前に進めるため、消費税減税と「支援金」による負担感解消の実現について、高市総理の思いをまずはお伺いしたいと思います。
飲食料品に対する消費税率減税と、勤労者向けの「支援金」の先行導入を行うために必要な財源は、1年で5兆円、2年間限定であれば10兆円と見込まれます。
更に、2年後に「支援金」を本格導入した後は、その制度を支える財源が必要となります。
2月の衆院選後に設置された社会保障国民会議を含め、本件をめぐる様々な議論を拝見していると、減税や「支援金」の導入により財政状況が悪化すれば、債券市場での国債価格の下落、すなわち金利の上昇につながったり、為替への悪影響が生じることを懸念する声があったことも確かです。
しかし、政府は特例公債に頼らず、日本版DOGEをはじめとする租税特別措置や補助金の徹底見直し、特別会計や基金からの歳入確保、歳出の効率化などで財源を捻出するという方針を明らかにしています。
そして、総理ご自身も今後の予算編成プロセスにおいて、当初予算と補正予算を通じた「通年の国債発行額」を適切にコントロールしながら、時限的な消費税減税と「支援金」の導入をはじめとして、必要な財政需要に対応していくという考え方を明確にされています。
今後、補正予算依存の財政運営からの脱却など、いわゆる「予算編成改革」を進めるなかで、特例公債、つまり赤字国債に頼らなくても財源は確保する。市場の信認をつなぎとめるためには、このことが極めて重要です。
そこで、代替財源を確実に確保していく必要性と、そのための取組方針について、総理の所見をお伺いします。
その上で、片山財務大臣には、高市総理の命で財務当局には代替財源をきっちりと確保するよう指示していることを明らかにしていただきたいと思います。
「財政の持続可能性も実現し、市場の信認も確保するという観点から、2年後に税率をもとに戻す。現時点で総理総裁として決めたからには、最後まで責任を持って確実に対応する」と、高市総理は明確に語っておられます。
多くの皆様方にも、「国民会議」の議論を経た現役勤労者向けの「支援金」の2年後の本格導入について、方向性を共有いただけるものと思っております。
また、消費税が貴重な社会保障財源であることも、私どもと同じ認識を持っていただけていると考えております。
しかも、2年後に飲食料品に対する消費税率が8%に戻ったとしても、そこからは「就業者負担軽減支援金」が本格的に発動されます。
これによって、中低所得層において「支援金」として給付される金額が、飲食料品にかかる消費税率が元に戻ることによる影響分を上回ることが想定されるため、実質的な負担をより軽くします。
中低所得の現役勤労者向けの「支援金」により、大きな恩恵が及ぶ方々がおられることは、正しく評価されるべきだと考えます。
そこで、2年後には確実に消費税率を戻すと同時に、「支援金」が導入されます。そのことで、多くの国民の皆様に、より恩恵が及ぶものであるということを、わかりやすく、そして力強くご説明いただけないでしょうか。総理、お願いいたします。
我が国の持続的な経済発展と財政安定の鍵は、経済成長にほかなりません。
高市内閣が掲げる「責任ある積極財政」の下、必要な分野へ大胆に投資し、強い経済を構築する方針は、今や世界のスタンダードです。
先月、米国のベッセント財務長官は「アベノミクスが成果を上げ、これからは『タカイチノミクス』の時が来た」との趣旨の発言をしました。
高市内閣の政策がリフレ政策とは異なることが、世界に発信された瞬間です。
総理が掲げる「責任ある積極財政」とは、効果の薄い政策を見直す一方で、時限的減税と新支援金制度の創設、AIや半導体など戦略17分野への投資、そして地域未来戦略の展開を進めるものです。
この成長戦略を通じて経済成長を実現し、政府債務残高対GDP比を安定的に引き下げていく。
これこそが積極的な投資と持続可能な財政に向けた戦略であり、本質です。
「『タカイチノミクス』の日本は買いだ」という強力なメッセージを、総理自らがトップセールスとして国際金融市場へ発信してはどうかと考えますが、総理のご所見を伺います。
日々の生活や産業活動に直結する物価高への適切な対策は、国民の皆様が今直ちにやってほしいと思い、最も政治に求めておられる政策の一つではないでしょうか。
昨年末には、燃油価格に対する激変緩和対策などを盛り込んだ総合経済対策を決定し、令和7年度補正予算を成立させました。
さらに、本年2月以降の中東情勢の深刻化に伴うエネルギー価格の上昇に対しても、政府与党は一体となって価格抑制策を進めています。
緊急的激変緩和措置により、欧州で300円を超えるガソリン価格を日本では全国平均170円程度に抑制し、電気・ガス料金についても夏場の支援を実施して家計負担を抑えてきました。
さらに、中東情勢が依然不透明な中、9月1日には中東情勢等対応予備費の使用を決定し、ガソリン価格の抑制措置を継続しております。
これらの施策により、我が国の物価上昇率はG7で最も低い水準に抑えられ、実質賃金の上昇率は高い水準を維持しています。
自動車依存度が高い地方において、燃油価格への支援策は生活や経済活動を守る上で大変重要です。
また、これまで酷暑期や厳冬期に講じてきた電気・ガス料金への支援策も、国民生活を守るために重要な政策だったと評価します。
他方で、これらの対策には、多額の財源を要することも事実であり、支援の持続可能性ということも、頭に入れておく必要があります。
また、今後、飲食料品等に係る消費税率の引き下げや、勤労者向けの「支援金」の導入についても考慮する必要があると思います。
こうしたことも踏まえながら、今後、政府として、中東情勢と原油価格の推移等を見極めつつ、物価高から国民生活や経済活動を守り抜くための施策を、適切に講じていただきたいと存じます。高市総理のご所見をお伺いします。
台湾やフィンランドフィリピンなど海外の多くの地域では、地方の特性を生かした産学官連携により、特定の産業分野に集中した競争力のある産業拠点を形成しています。
我が国においても、豊かな自然資源や伝統的な技術を活かした産業クラスターが各地で展開されています。
地方に投資を呼び込み、戦略的に産業クラスターを形成することは、地域経済を持続的にさらに大きく、さらに前へと進めていく「成長の好循環」であると考えます。
一方で、我が国は静かなる国難ともいえる人口減少に直面しております。私の地元である鳥取県・島根県でも加速度的な人口減少に見舞われており、極めて深刻な問題です。
人材不足により、産業クラスターの潜在力がありながらも将来展望が描けない地域も少なくありません。
人口減少に苦しむ地方で、将来に繋がる産業クラスターの灯を絶やさないためには、バックオフィス業務の共同化支援など、それぞれの地域特有の課題に対し国による柔軟かつ適切な支援が不可欠です。
そこで、「地方の力なくして日本の成長はない」という覚悟の下、産学官連携による「人材の地産地消・早期育成」など従来の枠を超えた大胆な支援策を地方において講じることで、産業クラスターを後押ししていただき、その底力を開花させてほしいと考えます。総理のご所見を伺います。
人口も経済も教育も東京圏へ集中する流れに対して、これまでも多極分散型の国土を形成すべく様々な政策が展開されてきました。しかし、国土構造を変えるまでには至りませんでした。
そのような中、東京圏が災害に見舞われた時のバックアップ機能の強化と、我が国の行政・経済システムの分散を目指す副首都構想は、地方へ人と投資を呼び込む契機となるものと期待しています。
同時に、東京一極集中の流れを変え、多極分散型の国土を形成するためには、地方に産業をつくることはもちろん、人を地方に呼び込むことも大切です。
お米の収穫期に農作業に携わる人がいない。昔から続くお祭りに参加する人がいない。こうした悩みを抱えている地方は多いのですが、そこに人を呼び込むことができれば、呼び水となって、地方創生の歯車が回りだします。
本年度から、新しい地方創生施策として「ふるさと住民登録制度」が始まりました。
この制度により、地域と継続的な関わりを持つ「関係人口」を増やすことができれば、地域イベントや、産業活動に参加するためにやってくる人が増え、それが地域の賑わいとなり将来的には「定住人口」となることも期待できます。
そこで、地方創生を図るためにはその足掛かりとなる「関係人口」の増加が重要と考えますが、総理のご所見を伺います。
また、そのためには「ふるさと納税」や「ふるさと住民登録制度」の、更なる連携といったソフト政策や、高速交通網の整備などハード政策の強力な推進が不可欠と考えますが、この点もお伺いします。
我が国の離島や半島、中山間地域は、領土・領海といった、国家主権や食料・経済活動の基盤を支える極めて重要な国土であり、絶対に守り抜くべきものです。
その一方、これらの地域は地形的・地理的・気候的な制約によって、経済活動や日常生活を営む上で厳しい条件を抱えており、人口減少に悩まされています。
このため10年前、議員立法により有人国境離島法が制定され、その支援策で人口の社会減は一定程度、抑制されました。
しかし、我が国を取り巻く安全保障環境が一段と厳しさを増している中、離島の無人化は、国境保全にとって重大な支障となります。
先の特別国会では、有人国境離島等の状況の変化を踏まえた改正法が成立し、有効期限の10年延長や、対象地域の追加、滞在型観光の促進に関する規定などが盛り込まれました。
これからも、航空・航路運賃の低廉化や、島外に住む親族の介護交通費の負担軽減など、現場の切実な要望に応えるきめ細かな対策や、国による強力な財政的支援が欠かせません。
そして、老朽化が進む船舶の戦略的な新造船計画の策定や、我が国が誇る造船技術の継承といった航路・空路を維持するための支援など、戦略的な産業政策に結びつく施策こそが、最も有効な保全策であると考えます。
そこで、我が国の離島や半島、海岸や中山間地域などの条件不利地域、その中でも特に厳しい人口減少に直面している、有人国境離島の振興と、保全に向けた今後の取り組みについて、財政支援も含め総理のご所見をお伺いします。
本年8月、ヒマラヤの町で突如発生した巨大な土石流の映像に、言葉を失いました。
巻き込まれたとされる、5名の邦人の方々の、一日も早い発見を願っております。
また我が国においても、7月の熊本地震での強烈な揺れや施設崩壊、8月の千葉県や北陸地方を襲った線状降水帯による豪雨、さらに9月の台風25号などにより、多くの尊い命が失われ、甚大な被害が発生しました。
お亡くなりになられた方々に深く哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての皆様に心よりお見舞い申し上げます。
我が党は政府と一体となり、被災地の復旧・復興の加速化に邁進してまいります。
ネパールでの大規模な土石流や、我が国で相次ぐ線状降水帯の発生は、地球温暖化の影響が指摘されています。
温暖化の進行により、極端な大雨の発生頻度は将来的に数倍になるとも予測されています。
私が事務総局長を務める、国際NGO・地球環境行動会議GEAにおいても、気候変動を考慮した防災・減災や、適応策の強化は待ったなしの課題であると強く訴えています。
昨年には「第1次国土強靱化実施中期計画」が閣議決定されましたが、これまでにない集中的な豪雨が短期間に断続的に襲来する事態を想定したさらなる治山・治水の強化が必要です。
また、近年の相次ぐ自然災害からの復旧・復興状況を見ますと、迅速な対応の鍵を握るのは「多層的な道路ネットワーク」の存在です。
被災地へ向かう道路が一本のみの場合、そこが寸断されれば、救命活動も物資の搬入もインフラ復旧も滞り、災害関連死など、助かった命が失われることにもなりかねません。しかし、道路網が多層化されていればそのリスクは大きく下がります。
令和3年8月、日本海側を京都から下関まで結ぶ大動脈、国道9号の私の地元である出雲市多伎町において、大雨による地滑りが発生し、その区間が通行止めとなりました。
その2年半前に開通していた、山陰自動車道の多伎・朝山道路が、迂回路として機能し、地域の生活や物流等の経済活動を支えました。
国道9号と並行して整備した山陰道が、地域にとって不可欠であるということを、改めて実感いたしました。
想定外の自然災害が頻発する今こそ、命を守るための多重的な高速道路ネットワークの整備を強力に推進すべきです。
そこで、地球温暖化がもたらす想定外の自然災害から、いかにして国民の命と生活、なりわいを守り抜いていくお考えでしょうか。
高速道路網の多重化など、迅速な救命・救急、災害復旧・復興に必要なインフラ対策への決意も含め、高市総理のご所見をお伺いします。
AIの急速な普及を巡っては様々な課題がありますが、中でも急増する電力需要への対応は急務です。
国際機関等の試算によれば、AIやデータセンターの増加に伴い世界の電力需要は数年で倍増するとされ、我が国でも半導体製造なども加わり、全体の電力需要が5割増になると言われています。
ペロブスカイト太陽電池や洋上風力発電など、再生可能エネルギーの活用は当然ですが、一定量を安定供給しやすい電源の確保を考えると、太陽光や風力、水力、地熱、バイオマスだけでは不十分です。
島根県では、島根原発2号機が再稼働し、3号機も審査が進んでいますが、安定的な電力確保と脱炭素化の推進には、世界一厳しい基準で安全が確認された、原発の再稼働と、新たな稼働が絶対に必要です。
さらに、米国やフランスが開発を進める次世代革新炉、特に小型モジュール炉・SMRは、安全性が高く分散型の設置が可能であるため、AI時代の重要なエネルギーインフラとして、我が国もさらに力を入れて開発に取り組むべきです。
そこで、急増する電力需要を見据えた、AI時代における原子力政策の今後のあり方について、総理のご所見をお伺いします。
1989年のマルタ会談にて米ソ首脳によって冷戦の終結が宣言されてから、安定的な国際秩序が世界に拡大するという、希望的な観測が広がりました。
しかし、今やそのような希望的観測は消え、特に分断や対立構造が存在する東アジアでは、一時的には緩和の兆しはあったものの、地政学的環境は、極めて流動的かつ緊張感を増しています。
そのような混沌とした状況の中、高市総理は、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序は日本の安全保障にとって死活的に重要であり、我が国がより主体的に役割を果たしていくべき、との考えをたびたび示してきました。
そこで高市総理は、現在の日本が置かれた特殊な地政学的状況を踏まえ、外交・安全保障上、我が国はどのような立ち位置や、存在感を示すべきとお考えでしょうか。
そのために、どのような外交・安全保障戦略を展開すべきとお考えでしょうか。総理にお伺いいたします。
本年7月、私が委員長を務めておりました参議院議院運営委員会の理事会において、国際会議や議員の海外派遣など対外的な活動における参議院の英語表記を従来の「ハウス・オヴ・カウンセラーズ」から「セナト」に、議員の呼称を「セネター」に順次変更することを決定いたしました。
これまで海外の上院議員に対し、我々が選挙で選ばれた代表であることを、説明せざるを得ない場面が多く、参議院の外交活動上の不都合を解消するために、変更を決断した次第です。
昨今の複雑かつ厳しい国際環境の中においては、政府による外交だけでなく、立法府や多様な主体が代替・補完的な回路として機能する、複層的な外交の役割がますます重要になっています。
今回の英語表記の変更を機に、参議院としての外交活動にさらに力を入れ、そのための環境整備に努めてまいります。
私は8月末から9月にかけ、議会間交流のため新表記決定後初となる海外派遣として、デンマークとイタリアを訪問しました。
ローマでイタリア上院を訪問した際、古代ローマからの建物に「セナト」の語源である「セナトゥス」と刻まれているのを目の当たりにし、関口参議院議長からの要請で名称変更の議論に関わった者として大変感慨深いものがありました。
古代ローマと、今の日本では、政治体制そのものは異なりますが、引き続き参議院は、「良識の府」として、行政へのチェック機能を、果たしていくべき存在であると、痛感した次第です。
そこで最後に、今回英語表記を改め、来年には創設80年を迎え、新たな時代に向けた歩みを進めようとしている参議院に対し、政府としてどのような議員外交活動の役割を期待されるのか、高市総理にお伺いして私の質問を終わります。