政策国会国会演説代表質問

第222回臨時国会における井上信治衆議院議員代表質問

代表質問を行う井上信治衆議院議員

自由民主党の、井上信治です。
自由民主党・無所属の会を代表し、高市総理の所信表明演説に対して質問いたします。

間もなく発足1年を迎える高市政権は、これまで内外の課題解決に向けて、「強い経済」の構築や外交力・防衛力の強化など、公約や政権合意で掲げた政策を着実に推進し、国民の大きな期待に「結果」で応えてきました。
引き続き今国会においても、我々は政権与党として、各党・各会派の皆様のご意見にも謙虚に耳を傾けながら、政策の更なる推進を 図り、「結果」を出してまいります。

今、我々を取り巻く環境は激的に変化しています。戦後培ってきた「自由で開かれた国際秩序」が大きく揺らぐ一方、気候変動によって災害は頻発化し、またAIをはじめ技術革新が加速度的に 進むなど、これまでにない新たな課題に直面しています。
未来が揺れ動く不確かな時代だからこそ、足元の対応にとどまらず、中長期的な展望に立ち、国家の進むべき方向を見定めながら政策を進めることが求められています。
こうした問題認識の下、以下質問いたします。

まず、経済政策について伺います。
日経平均株価は7万円を超え、また賃上げ率は3年連続で5%超、実質賃金も今年に入ってからプラス基調となるなど、日本経済は 新たな成長に向けて着実に動き始めています。
この流れを持続的かつ安定的なものにし、国民の皆様に実感いただけるよう、景気の体感温度を高めていかなければなりません。そのためには、過度な緊縮志向から脱却し、未来への投資を積極的に行なっていくことが必要です。

高市政権では、「責任ある積極財政」との考え方の下、わが国の成長や危機管理にとって重要な分野に大胆な財政出動を行い、「強い経済」の実現を目指しています。
世界各国が長期的な視点に立った産業政策を展開する中、わが国も、足元の課題に対症療法的に対応するのではなく、将来を見据えた明確な戦略の下で、必要な施策や投資を継続的に進めていかなければなりません。そしてその戦略を実行するためには、国が一歩前に出た、力強い財政政策も不可欠です。
こうした考え方の下、高市政権は、7月に「日本成長戦略」を取りまとめ、日本の将来の「勝ち筋」となる17の分野について、今後15年間で370兆円超の官民投資につなげる方針を掲げられました。これは、成長分野を明確に定め、予見可能性を高めながら積極投資を引き出すための国家戦略です。
さらに、こうした中長期の政策を着実に実行するためには、財政の仕組みそのものも変えていく必要があります。総理は、補正予算を前提とした予算編成から脱却し、恒常的な施策については当初予算に計上するとともに、複数年度での予算管理を進めるなど、予算編成の在り方を見直す方針を示されています。
「強い経済」は、場当たり的な政策の積み重ねでは実現できません。将来を見据えた明確な国家戦略と、それを実行するための「責任ある積極財政」、そして中長期の政策を可能とする予算編成によって 初めて築くことができるものです。改めて、総理が「強い経済」をどのような戦略と方策で実現していくのか、お考えをまず伺います。

「責任ある積極財政」を推進するにあたって不可欠なのは、財政の持続可能性です。財政支出を成長へと確実につなげるため、青天井に財政出動を行うのではなく、真に効果的な政策に絞り込み、財政の持続可能性との両立を図っていくことが重要です。
一部で「財政規律に緩みが生じるのではないか」との懸念も見られる中、「責任ある積極財政」に対し、市場の信認や国民の理解が得られるよう、丁寧な説明を行なっていかなければなりません。「責任ある積極財政」の必要性と、その中でも財政の持続可能性を具体的にどのように確保していくお考えか、財務大臣から分かりやすい形でご説明をお願いいたします。

中東情勢を巡るエネルギー価格の高騰や円安などに伴い、物価高が国民生活に大きな影響を及ぼしています。高市政権は、これまで様々な物価高対策を講じてきましたが、影響が長期化する中、必要な方に必要な支援が行き届く、より効果的で持続可能な仕組みが求められます。
政府は先般、給付付き税額控除の導入に向けた基本方針を決定しました。給付付き税額控除は、所得に応じてきめ細かな対応を行うことが可能であり、物価高の影響が特に大きい中・低所得者の負担軽減に加え、手取りの増加や働き控えの解消など、高い実効性が期待されます。他方、恒久的な制度の導入にあたっては、給付や控除を行うための恒久的な財源が必要となります。持続的かつ効果的な制度の構築に向け、財源の確保も含め、今後どのような制度設計を行なっていくのか、総理のお考えを伺います。

給付付き税額控除について、政府は令和11年度の本格導入を 目指しています。これは、制度導入にあたって所得の把握など多くの課題があり、一定の時間が必要であるためと理解しています。
そうした中で総理は、本格導入までの「つなぎ」措置として、2年間に限定し、飲食料品を対象とした消費税の減税措置を実施する方針を掲げられました。
足元の国民生活の窮状を鑑みれば、物価高へのスピーディーな対応が求められる一方、今回の消費税減税は、あくまで「つなぎ」の措置であり、改革の「本丸」は給付付き税額控除です。社会保障や地方の重要な財源である消費税については、2年後に確実に税率を戻し、より効果的な負担軽減策である給付付き税額控除へと切れ目なく移行させなければなりません。今回の消費税減税措置の位置づけについて、総理に伺います。

次に外交について伺います。わが国は戦後一貫して平和国家としての道を歩んできました。しかし今、世界では対立と分断が深まり、これまで築いてきた国際秩序が厳しい挑戦を受けています。

高市総理は就任以来、米国をはじめとするG7各国や、韓国、豪州、ASEAN諸国など、多くの国々と積極的なコミュニケーションを図ってこられました。さらに、「パワーアジア」をはじめ、脱炭素やエネルギー、サプライチェーンといった様々な分野で各国の連携を強化し、国際枠組みを主導されたことは、高く評価致します。
国際情勢が厳しさを増す中で、平和と繁栄を将来にわたって築いていくためには、同盟国や同志国との連携強化に加え、自らの進路を決める「自律性」と、危機や威圧にさらされても社会経済の機能を維持する「強靱性」を各国が身につけていくことが重要です。
本年は、わが国が「自由で開かれたインド太平洋」を提唱して10年の節目の年です。この間、技術革新の加速や、グローバルサウスの台頭、地政学的な競争の激化など、国際環境は大きく変化しました。
エネルギーや気候変動、AIなど、我々が直面する課題は、もはや一国だけで解決できるものではありません。こうした時代だからこそ、自由、民主主義、法の支配といった価値を尊重し、様々な国や地域と対話を重ねながら、日本が先頭に立って、国際社会を協調へと導いていかなければなりません。
高市総理は5月にも「自由で開かれたインド太平洋」の進化を掲げられましたが、地域や国際社会の平和と安定を実現するため、進化したFOIPをどのように進めていくお考えか、総理の思いを伺います。

次に、安全保障政策について伺います。
技術革新や地政学的な対立の先鋭化などによって、安全保障を 巡る状況は目まぐるしく変化しています。国家国民を守り抜くためには、リスクが顕在化してから対処するのではなく、先手先手で対応していかなければなりません。

ロシアによるウクライナ侵略、北朝鮮による弾道ミサイルの発射、中国による一方的な現状変更の試みなど、わが国周辺の安全保障環境は戦後最も厳しい状況となっています。さらに、サイバーやドローンなど、これまでにない新しい戦い方も出てきており、戦略環境は急速に変化しています。
総理は、いわゆる安保関連三文書の改定を前倒しし、年内の改定を目指されています。直面するリスクから国民の生命と暮らしを守り抜くため、これまで以上にスピード感を持って、防衛力の抜本的強化を進めていかなければなりません。
特に、現下の複雑な安全保障環境に対応するためには、防衛力のみならず、外交力や技術力、情報力など、わが国が持てる力を総合的に強化し、あらゆる政策手段を組み合わせていくことが重要です。今回の三文書改定を通じ、総合的な国力の強化という観点から、わが国の安全保障をどのように確保していくのか、総理のお考えを伺います。

わが国の国土は、国民の生命・財産、地域社会の安全、さらには国家の主権や安全保障にも関わる重要な基盤です。近年、土地取引を巡り、外国人による土地取得等への国民からの懸念や不安の声が大きくなっています。国土を適切に利用・管理することは国の責務であり、特に離島、重要施設周辺の土地や、わが国の資源等の取得については、安全保障や主権に直結する極めて重要な課題です。
令和4年に「重要土地等調査法」が策定されましたが、新たな安全保障環境に直面する中で、より実効性ある制度を早急に整備しなければなりません。不適切な土地利用に迅速かつ厳格に対応し、リスクの顕在化を防ぐため、どのように取り組んでいくお考えか、小野田大臣に伺います。

経済安全保障において最も重要なものの一つが、資源やエネルギーです。わが国は厳しい資源制約を抱えていることに加え、中東情勢の不安定化や中国による輸出規制など、資源・エネルギーの安定供給がこれまで以上に大きな課題となっています。
政府はこれまでガソリン価格の抑制や代替調達など対応を進めてきました。国民生活や経済活動を支える資源やエネルギーを将来にわたって安定的に確保するためには、調達先の更なる多角化や国産エネルギーの導入、資源開発の強化など、より自律的で強靭なエネルギー供給構造を確立することが不可欠です。

高市政権では、資源・エネルギー安全保障を戦略分野の一つに位置づけ、ペロブスカイト太陽電池、フュージョンエネルギーといった国産エネルギーや、南鳥島周辺海域の資源開発など、エネルギー供給体制の構築に戦略的に取り組んでいます。
今後、官民連携の下、こうした取組みを一層加速させ、資源・エネルギーの安定供給を実現するとともに、日本の新たな「勝ち筋」へと繋げていくべきです。資源・エネルギー戦略について、総理のお考えを伺います。

本年も、令和8年熊本地震の発生や、千葉豪雨をはじめ北陸や東海地方での大雨被害など、全国各地で自然災害が相次ぎました。近年は気候変動の影響もあり、災害自体が激甚化・頻発化しています。
自然災害のリスクから国民の命や暮らしを守り抜くためには、インフラ整備をはじめ被害を最小限に食い止めるための取組みを進めると同時に、二次避難の在り方や二次災害対策など、災害が発生した時に的確で迅速な対応ができるよう備えておくことが重要です。
今年度から、国土強靭化実施中期計画に基づく5年間の新たな 取組みがスタートしました。また本年は、防災庁の設置や、新たな防災気象情報の運用など、防災・減災を進める上で節目となる重要な年でもあります。更なる大規模自然災害の発生も懸念される中、国民の安全・安心を確保するため、必要な施策に集中的に投資し、災害に強い国づくりを速やかに進めていかなければなりません。 今後総理は防災・減災、国土強靭化をどのように推進していくお考えか伺います。

今年8月は、世界の平均気温が観測史上最高となり、最も暑い夏となりました。わが国でも記録的な猛暑や風水害が全国各地で発生するなど、地球温暖化は国民生活に大きな影響を及ぼしており、2050年までに約950兆円の経済損失が生じるとの試算もあります。
温暖化は、もはや将来の脅威ではなく、差し迫った危機です。我々は、温暖化の進行を抑えるとともに、避けられない気候変動に適応し、その影響を軽減回避するための方策にも取り組んでいかなければ なりません。
総理は国連総会で、日本の技術力を活かしたGXの取組みや、AZECなどの国際枠組みを通じて、気候変動対策と経済成長の両立を実現していく考えを示されました。
日本は自然災害の多い「災害大国」ですが、そうした厳しい自然条件の中で培ったノウハウを持つ「防災・減災大国」でもあります。温暖化という「ピンチ」を「チャンス」と捉え、わが国の優位性を活かして、新たな成長の機会に繋げていくべきです。温暖化とどう向き合い、この危機をどのように乗り越えていくお考えか、総理に伺います。

我々の社会では、これまでにないスピードで技術革新が進んで います。特に著しい発展を遂げているのが、AIです。近年は世界各国が開発競争を激化させており、わが国は一刻も早く「AI主権」の確立を目指さなければなりません。
AIを最大限に活用するためには、やみくもに高い技術を求めるのではなく、リスクとイノベーションの両立を図り、安全かつ適切に利用するためのルール整備を進めていくことも重要です。特にAIの高度化に伴い、偽情報や誤情報の拡散といったリスクや、AIが予期せぬ動きをする事例も相次いでおり、安全性や信頼性のための環境整備は急務です。
わが国はこれまで、「広島AIプロセス」の取りまとめなど、AIを巡る国際規範の策定を主導してきました。先の国連総会においても、高市総理が、わが国の姿勢を発信されたことは、大変大きな意義がありました。
これからはAIが国力に直結する時代です。特に米中の技術覇権争いが激しさを増す中、わが国が後れを取ることの無いよう、AIの技術開発や社会実装を加速させるとともに、日本が世界に伍して競争できるよう、自ら先頭に立って国際ルール形成を主導していくべきです。今後、安全・安心で信頼できるAIの実現にどのように取り組んでいくお考えか、総理に伺います。

いわゆる非上場株の評価について、企業実態を反映した、より公平で適正な評価を実現する観点から、政府において評価方法の 見直しが検討されています。
これについては、租税回避を防ぎ、規模の異なる会社間で公平な評価となるよう見直すべきとの声がある一方、過大な税負担が円滑な事業承継や企業の成長を阻害することになりかねないとの懸念もあり、見直しにあたっては、様々な意見に耳を傾けながら議論を進めていかなければなりません。政府が掲げる政策との整合性にも 留意しつつ、どのように見直していくべきとお考えか、財務大臣に伺います。

わが国では、出生数が10年連続で過去最少となり、日本人の人口が42年ぶりに1億2000万人を下回るなど、深刻な人口減少が続いています。人口は国の活力に直結する重要な資本ですが、減少トレンドをすぐに反転させることは容易ではありません。人口減少という構造的な課題を乗り越えるためには、減少に歯止めをかけつつ、わが国の底力を最大限発揮し、人口規模に左右されない、真に強く豊かな社会の構築を進めていく必要があります。

わが国が持続的な成長を実現するためには、地方の活力を最大限に引き出すことが不可欠です。高市政権では、日本成長戦略とともに「地域未来戦略」を策定し、それぞれの地域が持つ産業や技術、人材などの伸び代を活かし、戦略的な投資によって産業の集積を 促すことで、地域経済の発展と日本全体の成長を実現する取組みを進めています。
まさに地方こそが日本の成長を牽引するメインエンジンです。だからこそ、単に地方へ予算をばら撒くということではなく、明確な戦略に基づき、自治体とも意思疎通を図りながら、予見可能性を持って進めていくことが重要です。「地域未来戦略」を通じ、地方のエネルギーを成長の原動力へとどのように繋げていくか、総理のお考えを伺います。

わが国が今後も人口減少が見込まれる状況の中で、現行の衆議院議員の選挙制度の在り方については、しっかりと議論していく必要があります。
他方、選挙制度や議員定数は民主主義の根幹に関わるものであり、与党として、より多くの皆さまの幅広いご理解がいただけるよう 丁寧に進めながら、具体的な結論を得る努力をしていかなければ なりません。
わが党と日本維新の会の連立政権合意に掲げ、先の衆議院選挙でも国民の皆様にお約束した重要な政策課題である衆議院議員の定数 削減について、実現に向けた総理のご決意を伺います。

憲法は、あるべき国の姿を示す国家の基本法であり、国民一人ひとりに密接に関わるものです。取り巻く環境や国民意識が大きく変化する今こそ、主権者たる国民自らの手で、時代にふさわしい形へと改めていかなければなりません。
高市総理は、来年春までに憲法改正の発議へ道筋をつける目標を掲げられています。改正の早期実現に向けて、国会での議論と国民の理解を車の両輪としながら、議論のための議論ではなく、前進するための議論を行なっていくべきです。改正実現に向けた総理のご決意を伺います。

「挑戦しない国に未来はない」。「守るだけの政治に希望は生まれない」。この1年、高市総理は、この強い信念を持って政策を進め、課題解決に果敢に挑戦されてきました。
これまで当たり前だと思ってきた秩序や価値観が揺らぎ、不確実性が高まる今の時代にこそ、自ら決断し、挑戦し、実行することにより、結果を出していくという揺るぎない意志が必要なのです。
我々も与党として、高市総理を先頭に、政策の成果を国民の皆様に実感いただけるよう、全力で取り組んでまいる決意です。このことを申し上げ、質問を終わります。ありがとうございました。