
松本尚デジタル大臣(中央右)にタブレットで提言を手渡す平井卓也党デジタル社会推進本部長(中央左)や同本部の役員ら
党デジタル社会推進本部(本部長・平井卓也衆院議員)は新たな日本型統治モデルを提唱する提言「デジタル・ニッポン2026―責任あるアジャイル・ガバナンス―」を取りまとめ、5月21日、松本尚デジタル大臣と林芳正総務大臣に申し入れた。
家族の体調に合わせ食材を自動発注する冷蔵庫等の「エージェンティックAI」、専門業務を効率化する「バーティカルAI」、現場で動く「フィジカルAI」―。各種人工知能(AI)が既存の製品に実装され、かつてない速さで技術革新が進んでいる。
提言では、日本の統治モデルをアップデートしなければ時代に適合できないと指摘。過剰規制による停滞と無秩序な導入による安全性の喪失を回避するため、社会実装しながら改善を重ねハードローとソフトローを柔軟に組み合わせる「責任あるアジャイル・ガバナンス」の確立を打ち出した。
体制面ではデジタル大臣が行政改革、国家公務員制度、サイバー安全保障に加え、規制改革も担当するよう要望し、司令塔機能のさらなる充実を提言。補正予算頼みを排した当初予算の在り方の見直しや、複数年度でデジタル関係予算を一括管理し、柔軟に対応できる新たな予算体系の創出を要望した。罰則なしでマイナンバーカードの取得や公的給付受取口座の登録の義務化に向けた検討も求めた。
先端技術の実装を見据えた各プロジェクトチーム(PT)等の提言も集約。AI・web3小委員会は、一律の国産化(ソブリンAI)から、世界との分業の中で日本固有の強みを握り主導権を確保する「AI主権」への転換を提唱。AIの頭脳となる半導体やデータセンターを動かす電力を国の最重要インフラとして政府が整備するよう要請した。デジタル基盤小委員会は、AIを「相棒」として使いこなし、人間にしかできない対面ケア等に注力できる「アドバンスド・エッセンシャルワーカー」の育成を要求。災害関連死ゼロを掲げる防災DXPTは、防災庁設置を見据え、平時・有事の垣根なく官民の情報が継ぎ目なくつながる連携体制の構築を提案。ドローン等の活用を通じた災害対応の省人化・無人化を訴えた。
今年新設した次世代AI・オンチェーン金融構想PTは、経済活動が「24時間365日化」する未来像を描き、AIが自律決済を行う「エージェンティック・コマース」の到来を見据えた。トークン化預金等の普及やアジア諸国との対話を通じたルール形成主導により、産業競争力と経済安全保障の強化を求めた。

林芳正総務大臣(中央右)に提言を申し入れる平井卓也卓(右3人目)ら同本部の役員