政策国会国会演説代表質問

第217回国会における佐藤正久参議院議員代表質問

代表質問を行う佐藤正久参議院議員

自由民主党の佐藤 正久です。
会派を代表し、石破総理の帰朝報告に対して、質問します。

石破総理、初対面での日米首脳会談、内容的にも満点だったと思います。
ただ、これからが大事で、具体的成果を出して行かねばなりません。
そこで、今回の首脳会談で、構築された信頼関係をどのように評価した上で、経済面及び安全保障面等で日米関係の新たな黄金時代を構築していくお考えでしょうか。
北朝鮮の核問題についても、今回、核の軍備管理ではなく、完全なる非核化の堅持・継続を確認できた事は、韓国も歓迎しており、大きな成果です。また、拉致問題の即時解決に対する日本の決意に、大統領からの支持が確認されました。それらを踏まえて、どのように日米で北朝鮮に対応していくお考えでしょうか。総理にお伺いします。

今回、自衛隊と米軍の指揮・統制枠組みの向上、南西諸島における二国間プレゼンスの向上に加えて、台湾に関し、「中国の力又は威圧による一方的な現状変更の試みに反対」と、初めて明確に日米首脳共同声明に盛り込まれたことは、台湾海峡の平和と安定維持の観点から大きな成果です。
更に、「米国は、2027年度までの防衛予算増額及び2027年度より後も抜本的に防衛力を強化する日本のコミットメントを歓迎する」旨も明記されました。ただ、現在の防衛力整備計画は、1ドル108円ベースの積上げで、ここ数年の為替動向を踏まえると、防衛費総額約43兆円では、共同声明で評価・歓迎された防衛力整備計画達成は困難と推察できます。
防衛力整備計画の27年度までの達成には、GDP比2.5%或いはそれ以上の予算が必要で、26、27年度のわずか2年間の効率的な防衛予算の運用だけでは困難です。トランプ大統領は同盟ただ乗りには厳しい態度と言われます。総理、厳しく複雑な安全保障環境の中で、2027年度までに閣議決定された防衛力整備計画を達成するのか、それとも約43兆円の防衛費総額を守るのか、どちらを重視するのでしょうか。また2028年度以降の防衛力の抜本的強化とは何を指すのか、お答えください。

米国新政権において、対外援助の一時凍結やUSAIDの閉鎖など危惧すべき動きがあり、仮に、そうなれば、海外援助政策において、国際的な空白が発生し、中国の影響力が広がることが懸念されます。
自由で開かれたインド太平洋の実現のためには、我が国のODAやOSAの活用等を含めて、海外援助政策における国際的な空白が生じないよう、ODA等の増額を含め対応策を講じなければなりませんが、総理のお考えをお伺いします。

USスチール案件に関し、バイデン大統領の決定を覆せるのはトランプ大統領しかいません。今回、「買収ではなく投資ならOK」と今後の交渉環境を整えたのは大きな成果です。
日本製鉄の高い技術と出資によるUSスチールの再建は、トランプ大統領が望む製造業の米国回帰にも、アラスカの凍土上に建設するLNGパイプライン建設への技術貢献にも寄与します。
またトランプ大統領は約1000億ドルの対日貿易赤字に言及し、その対策として関税も否定しないとしますが、日本の投資により多くの雇用が生まれ、日本企業の従業員賃金は高いという事実もあります。対米交渉には、物品の貿易収支に加え、我が国が数百億ドル規模の赤字ともいわれるデジタル収支も考慮に入れて、臨むべきです。
トランプ大統領は、大統領令によって、各国との貿易赤字の調査が終わる4月以降に、国ごとに全品目を対象に関税を課すという考えを示しています。
今後の対米交渉では、関税の応酬ではなく、米国の雇用や経済の確保と我が国経済の発展の両立の視点、エネルギー輸入拡大や開発協力、デジタル収支の現状、半導体やAI等の先端技術や宇宙協力等多角的な観点から取り組むことが重要と考えますが、総理のご所見をお伺いします。

最後に、トランプ大統領の訪日ですが、大阪・関西万博は絶好の機会であると思います。トランプ大統領の万博訪問の感触について総理にお伺いして、私の質問を終わります。