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政策国会国会演説代表質問

第211回国会における茂木敏充幹事長代表質問

第211回国会における茂木敏充幹事長代表質問

自由民主党の茂木敏充です。会派を代表して岸田総理の施政方針演説について質問します。

コロナとの戦いも4年目を迎えました。新型コロナの世界的感染拡大は、各国の経済社会に大きな影響を与えています。特に保健・医療体制が脆弱な途上国の状況は深刻で、グローバル・サウスとも呼ばれる国際社会の分断にもつながりかねない状況となっています。

また、昨年2月のロシアによるウクライナ侵攻以降、ウクライナでは緊迫した情勢が続いています。そして、これは我々が永年にわたって構築してきた国際秩序を揺るがしかねない事態を招き、また、物価高、インフレの進行はじめ世界経済にも大きな影響を与えています。

一方、昨年末、岸田政権が打ち出したGXへの投資拡大や、デジタル、イノベーション、スタートアップ、そして「人への投資」は、新たな経済社会の構築に向けた第一歩とも言えると考えています。

いま、世界は、そして日本は、「希望と共感の世界」か「混迷と不信の時代」かの分岐点に立っている。そんな基本認識、危機意識を持って質問させていただきます。

1.外交の1年

まず、国際問題についてです。
今年は外交の年です。この1月から日本は国連安保理の非常任理事国となり、5月にはG7サミットが広島で開催されます。ロシアによるウクライナ侵略、東シナ海や南シナ海での力による一方的現状変更の試みなど、「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」を真っ向から否定する動きが一段と激しさを増し、我々は、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に、直面しています。

総理は、年明け早々にG7の5か国を訪問し、首脳同士の率直な意見交換を行い、G7議長国としての行動をスタートされました。

特に、日本の外交・安全保障政策の基軸である米国でのバイデン大統領との首脳会談は、昨年末の「安保関連3文書」の策定直後であり、両国の外交・安全保障戦略のすり合わせを行う上で非常に時宜を得たものであったと考えています。

そこで、まず、岸田総理にG7首脳との会談の意義と成果、特に米国訪問の手応えについてお尋ねします。また、5月のサミットではウクライナ情勢、ウクライナ支援が大きなテーマの1つになると思います。そこで、総理自らウクライナを訪問し、ゼレンスキー大統領との首脳会談や現地状況の視察等を行っておくことが望ましいのではないかと考えますが、総理のご意向をお聞かせ下さい。

G7の結束、国際社会の結束、そして国際秩序の維持・強化がかつてなく求められる状況で開催される今年のG7サミットは平時のサミットではありません。それだけに議長国として、日本が主導的役割を果たすことが期待されます。

また、今年のサミット、唯一アジアで開催されるG7サミットでもあり、パワーバランスの変化が激しいこの地域において、「自由で開かれたインド太平洋」を推進していく上でも極めて重要な機会だと考えています。

さらに、国際社会は対立の一方で、気候変動、保健、さらにグローバル・サウスといった地球規模の課題、人類共通の課題に協力して対応していかなければなりません。

そこで、5月の広島サミットでは何を主要テーマとして取り上げ、どのような成果を目指すのか、総理のお考え、決意を伺います。

もう1点、核軍縮について伺います。北朝鮮の核・ミサイル開発が進み、ウクライナでは、ロシアによる核の威嚇が行われる中で、広島での開催となる今年のG7サミット。これは核軍縮・不拡散の観点からも大きな意義があると考えます。

唯一の戦争被爆国である日本として、「核兵器のない世界」を目指すと明言されている広島出身の総理に、今後の取組方針や「核兵器のない世界」に向けた決意について、改めて伺います。

2.3つの政策決定

わが国が国難とも言うべき厳しい状況に直面する中、昨年末、岸田政権は、歴史の転換点とも言うべき3つの大きな政策決定を行いました。

まず、第1にわが国の防衛力の抜本的強化です。
「安保関連3文書」をまとめ、防衛予算を今後5年間で43兆円に増額するなど、加速度的に厳しさを増すわが国周辺の安全保障環境に対して、まず、わが国自身の防衛力を抜本的に強化する明確な方針を打ち出しました。

2つ目は今後の成長分野であり、地球環境との共存という新たな経済社会の構築に向けたGXへの投資拡大です。
政府は昨年末、GXに関する「基本方針」を決定し、今後10年間でGXの分野に150兆円を超える投資を目指すことにしました。現在の投資を倍増するという野心的な目標で、日本の経済社会構造を大きく変革していくという強い意思表明でもあります。

3つ目が、こども関連予算の倍増方針の決定です。
現在、日本が直面している深刻な課題の1つが、少子高齢化であることは、間違いありません。4月には「こども家庭庁」がスタートします。一方、結婚・出産の適齢期を迎える若者人口は2030年頃から大きく減少する見通しで、この10年が少子化を反転させる最後の勝負になります。そんな危機意識に立った決断だったと考えています。

そこで、これら3つの政策決定について、それぞれ、その背景、政策目標、そして具体策をお聞きします。

2-1.安全保障戦略

まず、安全保障問題について。
ロシアによるウクライナの侵略は、我々が永年にわたって構築してきた国際秩序を根本から揺るがしています。また、ウクライナに限らず、力による一方的現状変更の試みが増大しており、東シナ海、南シナ海の海洋秩序は大きな挑戦を受けています。

我々が築いてきた秩序とは何か、それは国境の不可侵、主権平等、紛争の平和的解決といった、政治体制の違いの如何にかかわらず、どの国も守らなければならない国際社会の基本的な原則です。

こうした原則が権威主義的国家からの挑戦、独自の歴史観や世界観を持つ指導者の野心により簡単に毀損された。これが今回のウクライナ問題の本質であり、ウクライナ情勢は決して対岸の火事ではありません。

冷戦構造の崩壊から30年、国際社会は新たなパラダイムシフトに直面しています。時代の流れを冷徹に分析し、それを先取りし、必要な総合的国力を備えること、これが国家安全保障の要諦です。

そうした意味で、今回、国家安全保障の最上位の政策文書と位置付けられた新たな「国家安全保障戦略」の採択は、歴史的意義を持つものです。総理は今回の「国家安全保障戦略」をどのように位置付け、今後、どのような安全保障政策を進めていくのか、お考えを伺います。

防衛力の抜本的強化をめぐっては、43兆円という数字に注目が集まり、これが唐突に出てきたとの指摘もなされています。しかし、事実関係から申し上げると、政府は一昨年末から18回のNSC(国家安全保障会議)を開催し、その中で岸田総理は、防衛力強化の内容、予算、財源の3つを一体的に議論し、明確な方向性を示すと明言されてきました。そして、その方針に基づき、与党内でも議論を重ね、昨年末の決定が行われたと理解しています。

わが国が直面する現実に目を向ける必要があります。中国は5年後、2027年に向けて「建軍100周年の奮闘目標」を掲げ、人民解放軍の現代化を図っています。北朝鮮も、ここ数年でミサイル・核開発能力を格段と向上させています。

今後5年間の取組みが死活的に重要で、グローバルスタンダードの防衛力を整備することが日本の将来を左右すると言っても過言ではありません。そこで、防衛力の抜本的強化に向けた総理の決意、そして防衛費の増額、その財源の在り方について、お考えを伺います。

2-2.GXへの投資

2つめにGXへの投資拡大について。
今、欧米各国は、新たな成長分野としてグリーン分野に狙いを定め、投資支援策を進めており、GXへの投資競争は激しさを増しています。

なぜ世界的にこのような動きが進んでいるのか。それはGXへの投資が、新たな文明、経済社会の創造に向けた取組みであるからではないでしょうか。人類は、これまで農耕社会から始まり、厳しい自然に打ち克ち、豊かさを手に入れるため、工業化社会、高度情報化社会へと進歩を重ねてきました。

しかし、これからは人類と自然が共存し、人類の進歩が地球環境を犠牲にしない新たな成長を実現する、そんな新しい経済社会を目指す必要があります。そのために進めるのが、GX、グリーン・トランスフォーメーションだと考えています。

GXに向けた取組が企業の競争力、国家の競争力に直結する時代、この分野での日本の潜在力を最大限引き出し、国際競争を勝ち抜くためには、大規模投資を実現する仕組み作りが不可欠です。

昨年12月22日に決定したGX投資の「基本方針」では、グリーン分野での巻き返しに向け、まず政府が「GX経済移行債」を発行して財源を確保し、20兆円の大胆な先行投資を行うこととしています。

政府が10年スパンの投資目標を掲げ、産業界の予見性を高め、単年度予算の弊害を克服しようとしていることは評価します。その上で、この分野の来年度予算は令和4年度補正と合わせても1.6兆円で、まだ産業界の投資を引き出す「呼び水」効果としては、インパクトに欠けるとの声も聞かれます。

今後、「GX経済移行債」による資金調達と投資支援、また、これを裏打ちする「成長志向型カーボンプライシング」など新たな仕組みの導入、どのような基本方針とスケジュール感で進めるのか。西村経済産業大臣にお伺いします。

次に、GXの推進と表裏の関係にあるエネルギー政策について、お伺いします。
エネルギー政策については、まず、省エネを進め、太陽光など再エネの導入を拡大することが重要であり、全国規模での系統整備の加速や洋上風力の導入拡大などに最優先で取り組む必要があります。また、将来のエネルギー源として期待される水素分野で世界をリードするためには、水素・アンモニア製造のサプライチェーン構築などを大胆に進めなければなりません。

その上で、それぞれのエネルギー源の特性に注目すると、残念ながら、今、問題となっているエネルギーの安定供給や価格の問題、さらに安全性、地球環境に優しい、これら4つの条件を全て満たす完璧なエネルギー源は存在しません。

さらに、ロシアによるガスパイプラインの供給停止のように資源・エネルギー供給が国家戦略化し、地政学上のリスクが、国際市場の不安定化、エネルギー価格の高騰をもたらしています。

そのような中で、脱炭素電源の一つであり、かつ、準国産エネルギーでもある原子力について、今回、安全性は大前提という基本方針は堅持しつつ、運転期間の取り扱いの見直し、次世代型原子炉への建て替えなど、一定の方向性が出されたことは率直に評価したいと思います。

他方で、東日本大震災と福島第一原発事故の経験から、原子力の活用に慎重な声が根強いことも事実です。また、再処理・最終処分といった、いわゆる「バックエンド」の問題も残されたままです。

原子力が、今、世界が直面する課題、エネルギーの安定供給と地球温暖化対策の両立の観点から重要な電源であることは確かです。その上で、今回の方針決定は、ここ10年のわが国の原子力政策の転換との受け止めもあります。

そこで岸田総理に、今回、原子力について安全性を確保した上で、更に活用する方針を打ち出した背景や今後の取組み方針について、国民に対して丁寧なご説明をお願いします。

2-3.少子化対策

最後に、子育て支援についてです。人口減少はデフレの大きな要因であり、日本がコロナの次に乗り越えなければならない大きな壁、それが「少子化という壁」であることは間違いありません。

こども、若者の力は、まさに国力です。昨年の新生児は、初めて80万人を下回る見込みです。戦後のベビーブームでは毎年260万人、1970年前後の第2次ベビーブームでは200万人の子供が生まれており、新生児の数はおよそ3分の1になっています。そして、結婚・出産の適齢期を迎える若者人口は2030年頃から大きく減少する見通しです。つまり、この10年が少子化を反転させる最後の勝負になります。

総理は年頭の記者会見で、「異次元の少子化対策に挑戦する」と表明されました。4月には、こども政策の司令塔となる「こども家庭庁」が発足します。

私も若者や子育て世代が、将来に希望をもって安心して子育てできる社会の実現に向け、今こそ、大胆で前向きな政策を打ち出すべきだと考えています。

そこでまず、少子化問題に最優先で取り組む総理の決意を改めてお伺いします。

政府はこれまでも保育の受け皿整備、出産費用の支援など様々な取組を進めてきましたが、課題も残されています。今後、どのような政策を進めるべきか。1つの参考事例として、先進国の中で2000年以降も高い出生率を維持しているフランスの政策を見てみたいと思います。

第2次世界大戦後のフランスでは、少子化による国力の低下がドイツの侵略を許してしまったという反省から、ド・ゴール大統領が、家族の人数が増えれば増えるほど減税につながる「N分N乗方式」という画期的な税制を導入しました。

また、国や企業が財源を拠出する「家族手当金庫」を創設しました。今では、この金庫、7兆円の財源規模に達し、様々なこども政策、子育て世代を支援しています。

こうした基盤に加えて、90年代以降、いわゆる「シラク3原則」、すなわち(1)子供をもつことが経済的にマイナスにならない、(2)いつでも子供を預けられる場所がある、(3)子供を持ってもキャリアでマイナスにならない、という「3原則」のもとで様々な支援策を充実させました。

日本の少子化対策、この「シラク3原則」の観点から改めて整理してみると、進めるべき政策が大きく3つあると思います。

第1に子育てに対する経済的支援の抜本的拡充です。その要となる児童手当については、「すべての子供の育ちを支える」という観点から、所得制限を撤廃するべきと考えます。また、多子世帯への加算などについても、前向きに検討を進めるべきだと思います。

第2に質の高い子育てサービスの充実です。これまでの取組みの結果、例えば、待機児童は、2017年の2万6千人から直近では3千人まで減少するなど大きな成果がありました。一方で、サービスの質という点では、現場での人手不足もあり、様々な課題が残されています。

まず、公定価格となる保育人材の更なる処遇改善が必要です。また、3歳未満の子供の約6割が「未就園児」であり、子育てに悩んでいる家庭も少なくありません。保育所など地域の子育て資源をフル活用して、全ての子育て家庭が気軽に相談できる場所や一時預かりなど子育てサービスを拡充していくべきと考えます。

第3は、働き方改革と女性活躍です。これまでも、育児休業給付金の段階的引上げなどの取組みが進められてきました。しかし、仕事と子育ての両立、さらに女性の職場復帰を含め「子供を持ってもキャリアでマイナスにならない」という観点からは、更なる政策推進が必要だと思います。

私は、こども・子育て支援策については、全体の事業規模の議論の前に、今お話ししたような主要政策の整理が必要だと思います。

そして、日本の未来を担うこども達にとって、また子育て世代にとって、どんな政策が本当に求められているのか、また、それをどのようなスケジュールで具体化していくのか、そして社会全体でどう安定的に支えていくのか。こういった順序立てたアプローチが必要だと思います。

政府では、小倉少子化担当大臣の下に省庁横断の会議を新設し、具体策の検討をスタートしました。自民党においても、私が本部長を務める「『こども・若者』輝く未来創造本部」を中心に、活発な議論を進めていくことにしました。

そこで、小倉大臣に、6月の骨太方針に向けて、重点課題は何か、またどのように議論を進めていくのか、お伺いします。

3.旧統一教会の問題

次に、旧統一教会について。この問題をめぐっては、現在、2つの問題、1つは旧統一教会の活動実態の解明、そして、もう1つ、被害救済・再発防止への取組みが喫緊の課題となっています。

まず、実態解明について、政府は宗教法人法上、初めてのケースとなる質問権を行使し、回答の精査を進めています。今後、悪質性、組織性、継続性の観点から、法令違反が確認されれば、旧統一教会に対して、速やかに宗教法人としての解散命令の請求を行うべきだと考えます。政府に厳正かつ迅速な対応を求めます。

被害救済・再発防止については、昨年の臨時国会で、悪質な献金を規制する法案を成立させました。今回の新法は、不当な寄附の勧誘を禁止し、違反した場合には刑事罰を科すなど、現行の法体系上、最大限の規定を盛り込みました。

さらに、私も各党の幹事長・書記局長と協議を重ね、法案に、法人側の配慮義務を盛り込み、また、実質上の上限規制を設けるなど、野党の意見も可能な限り反映しました。

この法案については、「与野党の枠を超えて協力し、早期の成立を目指したい」と各党に呼び掛け、ギリギリの交渉の結果、臨時国会の最終日に、多くの政党の賛同を得て成立させることができました。

新法の成立を受け、早急かつ幅広い被害救済、再発防止にどう取り組むのか。また、宗教2世の家庭における子供への信仰強制はじめ、児童虐待などの問題も指摘されています。こうした課題への対応も含め、今後の取組み方針について、総理のお考えを伺います。

4.経済対策、地方創生

4-1.物価高対策と賃上げの実現

ウクライナ情勢が緊迫化した昨年の2月以降、世界的に物価が高騰し、日本でも直近、4%の上昇となっています。

ただし、日本の場合、欧米のような経済全体で需要が供給を上回る全面的インフレではなく、物価高の原因の8割はエネルギーと食料品価格の上昇です。そこで、ガソリン価格の激変緩和措置、輸入小麦の政府売渡価格の据え置きなど、エネルギー、食料品をターゲットとした対策を取ってきました。

特にガソリン価格の抑制、英国やドイツなど欧州各国が1リットル250円以上まで行っているのを見ても、一定の成果を上げていると思います。

昨年10月には、事業規模71.6兆円の「総合経済対策」を取りまとめました。この中で、この冬以降の電気・ガス料金の負担軽減策、ガソリン代も含めて、一般家庭で月平均5000円、総額では4万5000円という手厚い対策となっています。

同時に、今後の対応策としては、物価上昇に負けない、インフレ率を上回る継続的な賃上げが極めて重要です。これが経済の好循環を実現し、日本経済を新たな成長軌道に乗せる鍵を握ると言っても過言ではありません。

日本はこの20年、デフレからの脱却を目指してきましたが、エネルギー価格や円安を発端とする今回のようなコストプッシュ型の物価上昇を望んでいたわけではありません。本来は需要が増え、マーケットや企業収益が改善し、それに対応して賃金も上がるという「能動的なインフレ」を目指してきたと理解しています。

そこで、本来目指してきた「賃金上昇を伴う能動的なインフレ」を実現するために、「人への投資」が何より重要となります。令和5年度予算にはこの「人への投資」について、どのような施策を盛り込み、それによって持続的な賃上げの実現はじめどのような成果を期待しているのか、総理の見解をお聞かせ下さい。

4-2.地方創生

もう1点、現在、コロナの影響で地方経済が疲弊し、地方は厳しい状況に置かれています。こうした中、4月に行われる統一地方選では、物価高対策、地域経済の再生、地域医療、地方の公共交通ネットワーク、さらに災害対策など、暮らしに密着した政策が争点になると考えています。

過去最大114.4兆円となる「令和5年度予算案」には、物価対策や中小企業対策などに加え、地方自治体のデジタル実装の加速化、デジタルの活用による観光・農林水産業の振興など、様々な施策が盛り込まれています。そこで、総理に「デジタル田園都市国家構想」を含め、改めて地方創生に向けた政策実現への決意をお伺いします。

また、この地方創生、そして「食料安全保障」とも密接に関連した地方の基幹産業が農林水産業です。若者にとって勤労意欲の湧く魅力ある農業、夏祭りの笛や太鼓の音が響き渡る活力あふれる農村作り。野村農林水産大臣に、わが国農政の今後の在り方について、見解をお聞きします。

5.新型コロナへの対応

次に新型コロナへの対応について。この3年間のコロナとの戦い、厳しい状況が続く中、国民の皆さんのご協力、そして現場の医療関係者の献身的取組みなどにより、感染の波を1つ1つ乗り越え、ウィズコロナの社会への移行が進んできました。

新型コロナ感染症への科学的知見も蓄積し、ワクチンの接種や医療提供体制の強化も図られてきました。海外では、今、屋外でも屋内でもマスクを着用している姿はほとんど見かけません。日本も、そろそろ本当の日常を取り戻す新たなステージに移行すべきタイミングではないでしょうか。

政府でも、5類感染症への見直しの本格的検討に入ったと承知していますが、移行のタイミング、また、その際の公費支援やマスク着用はどうしていくのか。総理から国民の皆さんに対し、明確かつわかりやすい説明をお願いします。

6.憲法改正

昨年、衆院の憲法審査会は、年間24回と過去最高のペースで開催されました。そして、緊急事態条項に関する論点整理を示すなど、議論を大きく進めることができました。今年はこれ以外の改正項目についても、具体的な議論が進展することを期待したいと思います。

今年で日本国憲法は公布から77年を迎えます。安全保障環境はじめ、時代環境が大きく変化しているのは間違いない事実です。さらに社会構造や国民意識も大きく変化しています。

こうした時代の転換点にあって、新しい時代にふさわしい憲法のあり方について、できる限り早期に国民の皆様に選択肢を提示し、憲法改正を実現すべきと考えますが、総理のご見解を伺います。

厳しさを増す安全保障環境に対応した防衛力の抜本的強化、日本の経済社会を変革するGX投資、さらに少子化という最大の壁を乗り越える大胆なこども・子育て支援策。

いずれも国難とも言えるわが国の現状を打破し、明るい未来を切り拓くために必要不可欠な政策方針だと考えます。しかし、これらの政策を実現するには、様々な困難が伴い、そして何より国民の皆様の理解と支持が不可欠です。

まさに、総理が就任以来、強調してきた「信頼と共感の政治」が、いま求められています。岸田総理には、「日本には、どんな困難も乗り越えていく人材力、さらに意志と底力」があることを、力強く国民に語り、その実現の先頭に立っていただくことを期待して、私の代表質問とします。

「意志あるところに道は開ける」エブラハム・リンカーンの言葉です。