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政策国会国会演説代表質問

第210回臨時国会における西田昌司政策審議会長代理 代表質問

第210回臨時国会における西田昌司政策審議会長代理 代表質問

自由民主党の西田昌司です。会派を代表して、令和4年度第2次補正予算案に対して、質問を致します。

まず、コロナ禍に加え、ウクライナ侵略に伴う大きな経済的混乱への対応を含めた新たな措置も盛り込み、昨年同様の大型補正予算を編成されたことに対して大きく評価致します。
その上で、今回の補正には、計上されていませんが、コロナ禍で苦しむ事業者の過剰債務の軽減を、我が党の参議院選挙の公約に掲げています。その背景には、そもそもゼロゼロ融資は、岸田総理が政調会長だったときに、緊急事態宣言等で経済活動抑制に協力してもらった事業者が営業を毀損し、倒産しかねないとして、営業補償の代替として始めたという経緯があります。融資という形態にしたのは、営業補償を行うとしても、当時は、その額もわからないという事情があったからです。
そして、今、ポストコロナに向けて経済を回復させないとならない時になりました。それに伴い、来年から、ゼロゼロ融資を借りた事業者の多くで返済が始まります。借り入れた事業者の中には、念のために借りたというところもあれば、この融資で実際命拾いしたところもあります。また、企業によっては依然、営業が回復しておらず、返済期限が来ると、倒産しかねない、というところも多くあります。
私は、具体的な債務減免の額については、コロナ禍で増えた累積赤字額、とコロナ融資を受けた金額のどちらか少ない方とすることを提案します。これにより実際に赤字になった企業だけが債務減免の対象になります。また、コロナ禍の中で、既に数年度税務申告がなされている為、確定申告書の添付を債務減免の申請要件にすれば、減免のための改竄は不可能になります。この様にすればモラルハザードも生じません。
しかも債務免除されれば、それにより企業は利益がでれば税金を払いますから、政府にお金が戻ってくることになります。逆に債務減免をしなければ、繰越損失が残っている限り利益は出ず、政府への納税もありません。また、過剰債務が原因で返済不能になり倒産して仕舞えば、債務そのものが返済されない上、失業者も増え経済全体に悪影響を与えます。
この様に、債務減免した方が企業にとっても政府にとっても得なのです。そもそも、政府のコロナ抑制策に従って生じた債務ですから、責任は政府がとるべきです。そこで、コロナ融資の債務減免は、コロナ禍の営業補償としてやるべきと考えますが、総理のご見解を伺います。

今後インバウンドが回復してくることに伴い航空会社などは、コロナ禍で減らした機材や人員を確保しなければなりませんが、コロナによる巨額の債務がのしかかっており、そうした投資ができません。そもそも米国では、日本と桁違いの数兆円規模の支援策を講じています。一方で日本の企業には巨額の債務が残ったままとなれば、国際競争力も減退し、インバウンドで経済をけん引することもできなくなります。そこで、中小企業だけではなく、ANAやJALなどの大企業についても、債務減免措置を講ずるべきと考えますが、総理のご見解を伺います。

今回の補正予算案は我が党の強い要望で、30兆円規模の大型補正予算案となりました。その一方で、その代わりに来年度当初予算はその分削減するという財政当局からの圧力があったとも言われています。そうであれば、来年度の当初予算がかなり低く抑えられることが懸念されます。コロナ禍もまだ収まっていませんし、今回の補正に計上されていないコロナ債務減免も必要となります。私は、来年度当初予算は額を抑えるのではなく、より一層、財政拡大しなければならないと思いますが、総理のご見解をお聞かせください。

大型の補正予算の編成には、国債発行が必要ですが、この国債発行について誤った認識をしている方がたくさんおられます。今回の補正により、いわば1年で2年分に近い財政措置をしたことになります。こうしたことを受け、「このままでは財政破綻する」と前の財務事務次官は喧伝をしていました。しかし、ハイパーインフレの発生も、金利の暴騰も、その兆候すらありません。また急激な円安も収まりつつあります。これらは如何ともし難い事実です。
そもそも国債発行は、予算執行を通じて、民間側の預金残高を増やします。これは理屈ではなく、事実としてそうなっています。そこで、政府の赤字は民間の貯蓄の増加になるということは、紛れない事実であるということについて、総理のご見解を伺います。

さらに、財務大臣に質問したことがありますが、国債の償還は税金ではなく、新たな国債を発行して得たお金で借り換えています。このことも事実であるということにつき、総理のご見解をお聞かせください。

国債の利払い費は政府の負担でありますが、現在、国債残高の半分近くは日本銀行が保有していますから、利払い費の半分は、日銀に支払われることになります。日銀法により、経費を差し引いた残りは国庫に納入することになっています。このことから、少なくとも日銀が保有する国債については、国債の償還も利払いも事実上、国庫に影響を与えていないということになります。この点について、財務大臣も認めたところでもありますが、総理のご見解を求めます。

以上のことを踏まえると、国債の残高が増えてもその償還や利払いで国家が破綻するということは到底考えられないということになります。それよりも、問題であるのは、国債の増加によって政府の負債は増え、片や民間の貯蓄が増えますが、この民間側に回ったお金が使われていないことです。経済を活性化させるには、国が財政出動をして予算を膨らませることで、民間にお金を回すことも必要ですが、民間にはそのお金を使ってもらわなければなりません。そのためにはデフレ状況、先行き不安状況を払しょくして、お金を投資できる環境をつくることが大切です。
その為に重要なことの一つは、日本の長期の投資計画を国が示すことです。残念ながら、この国の長期計画は、バブル崩壊後、財政再建を理由に廃止されました。新幹線や高速道路などのインフラ整備の長期計画が示されて、これを10年で完成させるという事業が実行されれば、間違いなく民間投資は政府の計画に沿って拡大されることとなります。政府が予算措置した以上に、民間がお金を使い、経済の好循環、そして経済成長へと向かいだします。
問題は、国が、長期の投資計画を示せなくなったのは何故かということです。本来、インフラ整備は財政法で認められている建設国債の発行でできるはずです。しかし、プライマリーバランスの黒字化が閣議決定されて以降、赤字国債だけではなく、建設国債も抑制されてしまい、結果的に長期の投資計画はできず、なかなかデフレから脱却できない状況に陥りました。
私は、亡くなった安倍元総理と一緒に、自民党に財政政策検討本部を作って、様々な議論をしてきました。その結論は、プライマリーバランスの黒字化目標が日本の経済を縛っていった根本的な問題であったということです。
安倍元総理がご存命ならば、必ず、プライマリーバランス黒字化目標の撤廃を岸田総理に要求していたはずであります。早晩、2025年のプライマリーバランス目標が大きな問題となります。そこで、日本をデフレに引っ張っている一番の問題であるプライマリーバランス黒字化目標は直ちに廃止、若しくは、最低でも5年から10年は黒字化目標は先送りすべきだと私は考えます。総理のご見解を伺います。

昨年の衆議院選挙に続き、今年の参議院議員選挙でも勝利し、岸田内閣は上上の滑り出しでした。しかし、大臣の連続辞任など、様々なことが原因で内閣支持率は急降下しています。一昨日もまた、大臣の辞任がありました。これは異常事態と言わざるを得ません。
一方で大型補正予算の編成など、岸田内閣は政策的には大きな間違いは無いと私は考えています。総理はこの間の急激な支持率の低下の原因は何と考えておられるのか、また、支持率を上げるにはどうすべきと考えているのかお伺い致します。

高い支持率で始まった第一次安倍内閣は消えた年金問題などによる言われなき安倍バッシングで短命に終わりました。しかし、第二次安倍内閣はその失敗を糧に鬼となって政権復帰を果たしました。この危機を乗り越えるには、岸田総理も鬼になる覚悟が必要です。特にコロナやウクライナ、急激な円安など財務省主導の財政政策ではこの危機は突破できません。安倍総理の遺言であるプライマリーバランス黒字化目標の撤廃がこの危機を突破する最善策である事を訴えて、私の質問を終わります。