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政策国会国会演説代表質問

第208回国会における松山政司参議院議員代表質問

第208回国会における松山政司参議院議員代表質問

自由民主党の松山政司です。
自由民主党・国民の声を代表して、岸田総理の施政方針演説等政府四演説について質問いたします。
冒頭、新型コロナウイルス感染症によりお亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げます。また、闘病されておられる皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
今、わが国は、これまでにない厳しい四つの国難に直面しております。
一つは、新型コロナウイルス感染症、
二つ目は、厳しさを増す安全保障環境、
三つ目は、成長力の低下、同時に社会の大胆な活力を失わせる格差拡大への懸念、
四つ目は、とまらない少子化や特に地方において深刻な人口減少、激甚化・頻発化する自然災害
岸田総理はその著書「岸田ビジョン」の中で、格差が少ない、多様性が重んじられる、やり直しの効く、そして平和で安心して暮らせる社会の実現を阻む壁をぶち壊すために政治を志したと語っております。
この総理が目指されている社会、そして国民がその実現を待っている社会を形にするためには、わが国の将来の姿を見据えながら、目の前に立ちはだかる、これらの国難を克服していかなければならないと考えています。
そのために、岸田内閣は、何を考え、何をしていくのか。本日は、この代表質問を通じて、国民の皆様に、わかりやすくお伝えいただきたいと思います。

まず、新型コロナ感染症についてお伺いします。
新型コロナ対策については、感染状況や医療体制等もその地方、地方で異なることから、都道府県それぞれが地域の医療機関等と連携し、工夫を凝らしてきました。
私の地元、福岡県でも、昨年夏の感染拡大時には、県医師会とタッグを組み、血中酸素飽和度を基準としたトリアージや全ての宿泊療養施設での医師・看護師の常駐など「福岡方式」という取組を進めて、医療提供体制のひっ迫を回避しました。
オミクロン株の感染拡大に対しても、各都道府県でこれはという取組があれば、共有すべきと考えます。
その前提として、政府において、変異株の特徴を把握し、的確かつ迅速に対応方針を示すことが肝要です。
オミクロン株については、感染力はデルタ株に比べて高く、その一方、重症化リスクは低いとの分析があります。
現在、政府は、昨年10月に決定した新型コロナ対策により「今夏の2倍程度の感染力を想定」して、医療提供体制を強化しています。病床や医療人材の確保、ワクチンの追加接種、経口治療薬の供給といった取組は、オミクロン株に対しても医療の逼迫をくいとめるのに効果を発揮するはずです。
ただ、最悪に備えるためには、オミクロン株の正体が判明するたびに、改めるべきは改めるという考え方に沿って、必要に応じて、よりよい方法へと躊躇なく見直すべきです。重症化リスクがさほど高くないとすれば、「新規感染者の数の動向をもって、一般病床をコロナ病床へと転換していくべきなのかどうか」などについて、政府として一定の方向を示すことで、都道府県知事も素早い判断ができるのではないかと考えます。
そこで、政府は、オミクロン株の感染力や重症化リスク等をどのようにとらえ、その上で、最悪の事態にどう備えていこうと考えているのでしょうか。総理のお考えをお聞かせください。

オミクロン株による新規感染者の急増に伴い、濃厚接触者もその数倍で膨らみ続けています。感染が急拡大している地域では、医療現場を担う医師や看護師らが感染者や濃厚接触者になったことで、勤務を外れざるを得ない状況となり、一般や救急の診療制限を余儀なくされています。企業や福祉施設、学校、行政機関でも自宅待機による欠勤者が続出し、業務に支障が生じています。
先週、政府は、エッセンシャルワーカーや医療従事者については、検査による陰性を条件に自宅待機の例外的な扱いとしましたが、社会や生活を支える基幹的な業務が止まってしまわないよう、政府として、絶えず実効性のある対策を講ずべきと考えます。総理のご見解を伺います。

新型コロナは「人と動物の共通感染症」という特徴があり、ウイルスが人・家畜・動物の間を行き来し、変異することから、これらの健康を一体として守る必要があります。
2016年、日本医師会横倉会長と日本獣医師会蔵内会長のご尽力で世界獣医師会と世界医師会が北九州市小倉で「ワンヘルス国際会議」を開催し、人獣共通感染防止や薬剤耐性菌対策等を含むワンヘルスを実践していく決意として「福岡宣言」をとりまとめました。そののち、福岡県議会は、議員提案で「ワンヘルス推進基本条例」を議決し、福岡県知事もアジアの人獣共通感染症の中核施設づくりなど、ワンヘルスの推進に取組んでいます。今年11月には福岡市でアジア地区獣医師会連合会によるワンヘルス推進の大会が開催されます。
そこで、昨年のG7サミット・カービスベイ保健宣言にて推進が合意され、国連生物多様性条約CBDの第15回締約国会議でも言及されたワンヘルスについては、福岡県での取組への支援も含めて、人獣共通感染症という視点で感染症対策として取り組むべきと考えますが、岸田総理のご所見をお聞かせください。

少子化対策の担当大臣であった頃、子供たちの貧困対策に取り組むNPO、子ども食堂や学習支援を行っている方々と意見交換し、現場も見せていただき、政策に反映させてきました。
しかし、新型コロナの感染拡大は、苦しい環境に置かれている方々をさらに厳しい状況へと追い込んでいます。
この年末年始、わが会派では、それぞれの議員が地元等において、生活や事業に不安を抱えている方々、支援活動をしているNPOの皆様から生の声を伺ってきました。
これまでも、参議院自民党は、NPOから伺った「給食のない夏休みや冬休みに子供に食事をさせられない。進学・進級でお金がかかる春を乗り越えられない」という叫びを、官邸にお伝えし、岸田総理も経済対策で、子供のいる世帯への10万円相当の臨時特別給付金を決断していただきました。コロナ禍が経済的、社会的弱者に牙をむく構造を「新しい資本主義」の実現を通じて抜本的に変えていくとともに、今後も、必要とあらば迷わず支援の手を差し伸べるべきと、改めて総理に申し上げたいと思います。
同時に、現代社会における貧困や孤独、孤立という問題は、既存の行政ですべてをすくい上げることができないほど多様化しており、知見と経験、実行力を持つNPOの、現場の実態を踏まえた主体的な活動なしには対応できないと強く実感しています。コロナ禍においては、NPOの重要性が一層、増していると認識していますが、総理にNPOへの期待、そして支援の在り方についての考えをお尋ねしたいと思います。

日本経済を支えておられる事業者の皆様も依然として厳しい状況にあります。
統計等で昨年秋ころまでの状況をみれば、飲食サービスは極めて厳しく、百貨店もほぼすべてで業績が減少、回復も鈍く、結婚式場や写真業も苦しんでいます。劇場、遊園地、旅館、旅行業、そして航空、鉄道、タクシー、貸切バスや高速バス、観光船も落ち込みが続き、レンタカーやクリーニング業、土産物販売・製造にも影響が及んでいます。さらには織物・衣服・身の回り品などの卸売、小売、農林水産物も影響を受けています。
自粛等による直接的な影響だけではなく、間接的な影響もかなりの広がりを持って、しかも相当大きいことをしっかり認識しなければなりません。
年末年始の状況を伺っても、コロナ前の状況には程遠く、しかもオミクロン株の感染拡大で、またもや暗雲が垂れ込めています。
事業者の方々は、地域や業種を限定しない事業復活支援金の一日も早い実現を待ち望んでいます。金融マンとして、企業の支援に携わった経験のある岸田総理は、そのお気持ちがよくお分かりのことと存じます。
そこで、どのようなかたちで、中小・中堅・小規模事業者から期待の大きい事業復活支援金を動かしていくのか、総理のお考えをお伺いします。

わが国の成長を支えるデジタル化を推進するには、デジタル社会の安全安心のためのパスポートであるマイナンバーカードの活用促進が不可欠です。
その一環として、マイナンバーカードの健康保険証利用が始まり、公金受取口座の登録に向けた準備が進められていますが、活用促進そして消費需要喚起という観点からマイナポイント第二弾にも期待が高まっています。
マイナンバーカードの普及と活用、そしてマイナポイント第二弾についても、どのようなかたちで進めていくお考えでしょうか。総理にお伺いします。

岸田総理は目指す外交の在り方として、「自由や民主主義など普遍的な価値」、「気候変動など地球規模の課題」、「国民の命と暮らしを守る」を柱とする「新時代リアリズム外交」を進めていくと表明されておりますが、その推進のためには、日本の外交・安全保障政策の基軸である日米同盟の更なる強化はより重要になってきます。
私は、岸田総理が外務大臣だった際、外務副大臣として、日米同盟の強化を日本外交の第一の柱と位置付け、全力で取り組んでおられた外相にお仕えし、また、日米関係の底上げを図るべく、日ハワイや日カリフォルニア議員連盟の会長として、議員外交を通じた関係強化に尽力してきたところです。
総理は、年頭の記者会見で、内外の新型コロナ感染拡大状況などに照らし、国内のコロナ対策に万全を期すため、通常国会前の訪米は行わないと表明されましたが、中国による尖閣諸島周辺での領海侵入や台湾の防空識別圏への進入、人権問題、北朝鮮の相次ぐ弾道ミサイル発射など、対処すべき外交上の課題は山積しています。
日米が緊密に連携・協力し、様々な課題に対処していくためにも、首脳間の強固な信頼関係がいかに必要不可欠なものであるかということは、外務大臣として日本外交を背負ってきた岸田総理に申し上げるまでもありませんが、できるだけ早期の総理とバイデン大統領との対面での首脳会談実現が期待されるところであります。そこで、1月21日に予定されている日米首脳テレビ会談で期待される成果について、総理のお考えをお伺いいたします。

厳しさを増す安全保障環境を考えるに当たって、日露関係も重要です。
総理は、昨年10月にプーチン大統領との間で電話会談を行い、2018年のシンガポールでの合意など、これまでの両国間の諸合意を踏まえて、しっかりと平和条約交渉に取り組んでいくことを確認しました。また、政治、経済、文化等幅広い分野で日露関係全体を互恵的に発展させていくこと、貿易経済日露政府間委員会や日露地域交流年開会式の実現についても協力していくことで一致しています。
昨年9月、プーチン大統領はウラジオストクの東方経済フォーラムにて、北方領土に企業誘致のため特区を設けると発表するなど、揺さぶりとも思われる動きがみられます。しかし、この行動に対して、積み上げてきた対露外交路線を打ち切れば、ロシア側は一層、中国との関係を深めて、自由、民主主義、人権、法の支配を共通の基盤と考える陣営とは逆の陣営が強固となり、安全保障環境はより厳しくなります。
岸田総理の外相時代からの蓄積、森総理から安倍総理・菅総理とバトンをつないできたプーチン大統領との個人的な信頼関係の上に、私自身、世耕幹事長が代表を務める「参議院自民党・日露議員懇話会」の会長代理として積極的に取り組んでいる日露間の国会議員交流等を強化することができれば、より重層的な日露関係が構築でき、戦略的な外交が展開できます。
そこで、総理は、「新時代リアリズム外交」の下、わが国首脳とこれまで幾度となく会談を重ね、醸成されてきたプーチン大統領との信頼関係に加え、議員外交や経済交流の中で培われた友好関係をどういかして、日露平和条約締結へ向けた歩みを前に進めていくおつもりでしょうか。

OECDの統計によれば、日本の平均年間賃金は、米ドル購買力平均換算で、順位も額面も20年間でほとんど変わっていません。
デジタルトランスフォーメーション、さらには人工知能や量子コンピュータなど、社会や経済、産業を一変させる大変革の波が来ている中、日本が生き残るためには、人への投資はますます重要な戦略となります。「人への投資はコストではない」、「分配戦略による人への投資こそが成長戦略」という岸田総理の考え方が不可欠となる時代です。
看護、介護、保育・幼児教育などの現場で働く方々の収入の引上げは、賃金上昇の好循環の創出に資する施策にあたりますが、「新しい資本主義」に向けた「成長と分配の好循環」を現実のものとするためには、生産性向上の訓練の充実、高い雇用の流動性についても実現を図るべきと考えます。
資本主義の構造的な欠陥を問題視し、わが国と地域の未来を考えて行動している若者の経営者の団体である「日本青年会議所」JCも全国各地で車座対話を企画し、「新しい資本主義」についての考えを深めようとしています。是非とも、岸田総理の強みである「聞く力」を発揮し、JCや商工会青年部のような若い世代の経営者からも意見を聞いていただいて、経済団体をも巻き込んだ実効性のある施策を展開していただきたいと存じます。そこで、市場や競争に依存しすぎた弊害が顕在化・深刻化してきた今、新しい資本主義とこれまでの資本主義はどう違うのか、その上で、今後、「分配戦略による人への投資こそが成長戦略」という考え方を、どのようなかたちで実現していくつもりなのか、総理ご自身の思いをお聞かせください。

わが国の高度経済成長の原動力は「未来への分配」ともいえる子供たちの教育に力を入れ、質の高い分厚い中間層を形成できたことにあります。そして、成長の果実をその時代だけで分配するのではなく、生産基盤への投資という「明日への分配」に振り向けてきたことにあります。
しかし、初等教育から高等教育の公的支出がGDPに占める割合をみれば、日本は米仏独を下回り、民間企業の設備投資額もここ20年ほどで日本はこれらの国より低い伸びとなっています。研究開発投資額の伸びもこの三か国を下回っています。
総理は、「新しい資本主義は市場任せでは実現しない、市場機能の活用を基本としつつ不十分な部分については政府が補完すべき」と語っておられますが、どのように成長の果実を「明日や未来のための分配」として教育投資や設備投資に振り向けて、成長と分配の持続的な好循環を実現しようとしているのでしょうか。総理のお考えをお聞かせください。その上で、教育投資の充実をどう図っていくおつもりか、末松文部科学大臣にお伺いします。

新しい資本主義を実現するための「成長」のエンジンは科学技術イノベーションです。
岸田総理は、私も務めていた科学技術政策担当大臣の先輩大臣でもあります。まさに総理も、私も、担当大臣として、統合イノベーション戦略を策定し、先端技術の研究開発や、スタートアップ・ベンチャー企業の創出、若手研究者の育成・確保、大学改革等に積極的に取り組み、科学技術予算の大幅な拡充にも注力してきました。
にもかかわらず、研究開発費や博士号取得者数、引用論文数等の数字は米中と差が開いています。わが国も力を入れてきたものの、世界各国が、覇権をかけて科学技術開発競争に参入する中、その取組が見劣りしていたことも否定できません。
わが国の未来のためには、この事実を直視しつつ、コロナ禍で顕在化した経済安全保障、成長制約ではなく成長分野ととらえるべき脱炭素社会の実現を意識して、科学技術競争を勝ち抜かなければなりません。
岸田内閣では、科学技術イノベーション政策をさらに積極的に推進し、産業競争力の強化や、経済安全保障の確立、脱炭素目標の達成、さらには新しい資本主義の実現につなげていくべきと考えますが、総理のご所見をお伺いします。

わが国では「静かなる有事」というべき少子化の状況が続いています。
このことから、私は、これまで少子化対策に力を入れてきました。少子化対策担当大臣の時には、「少子化克服戦略会議」を立上げ、提言をとりまとめ、その後も参議院自民党政策審議会長として緊急提言を官邸にも提出しました。これらの提言の中で打ち出した、男性の育児を促進するための育児休業の分割取得や不妊治療への充実は、来年度からの改正育児・介護休業法の施行や不妊治療の保険適用につながっていると考えています。
このように様々な取組が着実に進められてきているものの、出生数の減少は予測を上回る速度で進行し、令和元年には出生数は90万人を下回り、令和3年は新型コロナウイルス感染拡大が結婚や妊娠にも少なからず影響を及ぼしたことで、80万人を下回ると見られています。
結婚や出産をするかしないかは個人に選ぶ権利があるとの大前提の下で、若い世代が結婚や子育てに夢や希望、喜びを見出すことができるよう、少子化対策を早急に進めていく必要があると考えますが、総理のお考えをお伺いします。

こどもまんなか社会の実現のための新たな行政組織として、こども家庭庁を創設するとの方針が政府から示されています。こどもは社会の宝であり、参議院自民党としても、政府の動きをしっかりと後押ししていきたいと考えております。
少子化対策担当大臣としての経験を申し上げれば、喫緊の課題である少子化対策を含むこども政策を強力に進めていくためには、こども家庭庁が強い司令塔機能を持ち、厚生労働省や文部科学省など関連する府省が権限の垣根を超えて、こども政策の担当大臣が集中して取り組むことの重要性を感じています。そこで、こども政策の強い司令塔機能についての総理のお考えをお伺いします。

岸田内閣は、新しい資本主義実現のための重要なキーワードの一つとして「地方」を掲げ、デジタル田園都市国家構想を、地方を重視する成長戦略の柱に据えています。
公共インフラとして高速大容量のデジタル基盤を整備し、全国津々浦々でデジタル技術が活用できるようにすることで、地方の課題を解決しながら、地方の個性を最大限に生かし切り、地方創生と持続可能な経済社会を実現する構想であり、各地域、大いに期待しています。
特に都市部に比べて、人口の減少や高齢化が深刻な状況にある地方でこそ、遠隔医療、遠隔教育、ICTオフィス、さらには公共交通機関を補う自動運転、配送を受け持つドローンなど、5G、次世代の通信インフラである6Gを活用した取組がいきてくることとなります。
日本の食を支える農業は人口減少、高齢化という課題に直面しています。2020年の時点で農業に従事している人は152万人と5年前から23%減、平均年齢は67.8歳と担い手不足が深刻です。
こうした状況の中、日本の食と農業を守り抜くには、デジタル技術や5Gあるいはローカル5G等を活用した農業分野での省力化や生産性向上、すなわちスマート農業の推進が絶対的な条件です。
そこで、デジタル田園都市国家構想の具体化は、デジタル化で活路が広がる地方、そして農林水産業から始めるべきであると考えますが、農林水産省としては、関係府省庁とどのように連携を取りながら、進めていくつもりでしょうか。金子農林水産大臣の決意とお考えを伺います。

先週15日、南太平洋・トンガ沖での大規模噴火により、奄美群島・トカラ列島や岩手県に津波警報が発表されました。前例のない噴火による特異な潮位変化でしたが、情報を迅速に伝達することを重視した判断であり、「最悪に備える」という趣旨から評価される対応であったと考えております。
合わせて、岸田内閣においても、「災害は準備ができるまで待ってくれない」という考えの下、激甚化・頻発化する豪雨や豪雪、発生の恐れが高まる巨大地震から国民の命と生活、経済を守り抜くために、河川整備や道路網整備等を着実に進めていかなければなりませんし、高度経済成長期に整備されたインフラの老朽化対策にもしっかりと対応していかなければなりません。また、これらの対策を担う国・地方公共団体の職員や現場の担い手の確保、デジタル化による防災・減災・国土強靱化の推進等も極めて大切です。
そこで、総理には、自然災害から国民の命と生活を守り抜くために、「最悪に備える」という考えの下、災害に強い国土づくり、そしてインフラの老朽化対策等に全力で取り組んでいくという決意を、さらに、二之湯国土強靱化担当大臣には、どのように防災・減災・国土強靱化の計画的な加速化を図っていくのかという点についてのご所見をお伺いいたします。

国土交通省の建設工事受注統計調査において、不適切な集計方法が採られていたことは大変遺憾なことだと考えております。
総理の指示を受けて国土交通大臣の下に立ち上げられた第三者委員会で経緯や原因の検証が徹底的に行われた結果として報告書が、先週取りまとめられましたが、この中で、書き換えについて、開始時期は明確ではないとしながらも、統計調査が始まった2000年以前から継続して行われていたと認定されています。しかも、2013年に推計方法が改められてから暫くは、事業者から提出された数字が二重計上になるという認識はなく、さらには、二重計上になると担当部署内で気が付いてからも、会計検査院から指摘を受けるまで改善に取り組もうとすらしていませんでした。表沙汰とならない形で収束させ、責任追及の回避に走ってしまったとしかいえません。
「しっかりしろ」と申し上げたいところですが、ここは、叱責だけではなく、冷静に問題を分析して、統計への信頼回復に取り組むべきところです。
これまでも統計をめぐる問題については、統計部門の人材不足などが指摘されてきましたが、今回も、報告書には、量的に定員上十分な職員数にみえても、実態としては慢性的な人員不足にあったという趣旨の記載があります。
そこで、実質的な統計部門の体制整備や人材の能力向上に向けた取組、さらには問題を指摘することが現職職員の不利益にならないような対応などが必要と考えますが、どのように、再発防止を図り、統計への信頼を取り戻していくつもりでしょうか。この点について総理のご見解をお伺いします。

岸田総理の政治姿勢について申し上げます。
総理は常々「聞く力」の大切さを語られます。
そして、この「聞く力」を大切にする姿勢は、熟議の院といわれる参議院の姿に通じるものがあると受け止めております。関口議員会長を先頭にわが会派、参議院自民党も当事者からの声を聞くことを大切にしており、岸田総理と同じ視座を持っていると感じております。
最後に、わが会派として、「聞く力」の大切さを共有できる岸田総理を引き続き、全力で支えていくということをお伝え申し上げて、私の質問を終えたいと思います。ありがとうございました。