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政策国会国会演説代表質問

第207回臨時国会における野上浩太郎参議院幹事長代行代表質問

第207回臨時国会における野上浩太郎参議院幹事長代行代表質問

自由民主党の野上 浩太郎です。
私は、自由民主党・国民の声を代表して、所信表明演説等に対して、質問いたします。

11月10日に第二次岸田政権が発足して、今日で丁度一か月。岸田総理は自民党総裁選の時から、「聞く力」をアピールし、首相就任後には全閣僚に「車座対話」を重ねるよう指示されました。総理ご自身も、10月以降14回目とハイスピードで、国民との直接の対話を重ねておられます。
我々参議院自民党でも、一昨年10月から始めた「不安に寄り添う政治のあり方勉強会」は、コロナ禍だからこそ、ますますその意味を持つと考え、今年初めから、コロナ禍で直接影響を受けたところに焦点を絞って、現場の第一線でご尽力されている方々から直接お話を伺うために再起動させました。

一昨年来続く、出口が見えないコロナ禍。足元では感染拡大が抑えられていますが、新たな変異株であるオミクロン株が確認されました。また感染が拡大するのではないか、いつまでこらえ続ければいいのか、今、国民の皆様、お一人お一人が、大きな不安に直面している中で、直接対話を重ねることは、極めて意義のあることであります。
加えて、重要なのは、「決断する力、実行する力」です。岸田総理が、オミクロン株確認後、直ちに、外国人の入国禁止などの水際対策の抜本的強化を決断したことを支持します。今後とも、与党として、政府と一致協力し、この国難を乗り越え、新たな時代を創り上げるため、全力で政策を実行していく決意であります。

オミクロン株への対応については水際対策の徹底等とともに、最悪の事態も想定して、国内における感染拡大への備えを加速することも重要です。
先月、岸田内閣は第5波と比べ「感染力が2倍となった場合にも対応できる」医療提供体制の強化を打ち出し、この夏に比べ3割増の3万7千人が入院できる体制が確保されました。しかし、この夏には病床使用率が50%から60%にもかかわらず、入院が困難な患者が多数出たという教訓を踏まえると、病床増と併せて、対応する医療人材の補充も不可欠です。あらかじめ派遣計画を決めておくなど、実行性のある対応が必要です。新たな変異株に備えるためにも、病床の確保と同時に、医療人材の確保をどのように図っていくのでしょうか。総理にお伺いします。

オミクロン株については、既存のワクチンの3回目接種後は高い効果が期待できるなどの情報が徐々に出てきている状況であり、既存のワクチンの効果等についてさらに見極めながら、感染拡大等に万全を期すためにも、三度目のワクチン接種の前倒しが必要です。
最初の接種に向けた準備時には、スケジュールが見えないなど、地方自治体から疑問や要望が相次いだため、参議院自民党では、すべての都道府県、1237市区町村・団体からの声を集めて、政府に届け、その回答を自治体にお返ししました。
これまでの経験でわかったことは、全国民を対象としたワクチン接種を成功させるには、前線で対処する地方自治体への正確かつ迅速な情報提供、明確なスケジュールの提示、現場での柔軟な対応、そしてデジタル化によるワクチン管理など、いくつか鍵となる点があります。
追加接種時期の前倒しに関する総理の決断は極めて適切と評価しますが、今後も、感染状況の変化等を踏まえた柔軟かつ機動的な対応が求められます。総理は、これまで蓄積された経験や反省等をどう活用しながら、どのように、円滑に3回目接種を進めていくつもりでしょうか、お伺いします。

新型コロナウイルスは、このオミクロン株が最後となる保証はどこにもなく、次なる変異株も覚悟しなければなりません。また、SARSや新型インフルエンザなど、近年、5年に一度ほどのペースで新たな感染症が発生している現状を踏まえれば、コロナウイルスに代わる新たなパンデミックも現実の脅威です。
そうした脅威に対して、国民の命をしっかり守りながら、同時に社会経済活動を可能とすることで、その暮らしも守り抜いていく。その切り札はワクチンであり、治療薬であります。
そうした意味で今回の経済対策で、国産ワクチンの開発・生産体制の強化に対し、5千億円規模の予算が措置されたことは、「国民の命と暮らしを必ずや守り抜く」との強い国家意志が示されたものと評価いたします。

まずは、開発です。本年、英国で開催されたG7サミットでは、「公衆衛生上の非常事態が宣言されてから100日以内に安全で有効なワクチン、診断及び治療を利用可能とする」との、いわゆる「100日目標」を掲げたカービスベイ保健宣言が取りまとめられました。今回のオミクロン株についても、ファイザー社は、すでに新しいワクチンの開発に着手しており、100日以内に出荷が可能と述べています。
わが国でも、こうした開発能力を持つことは、国民の命に直結する重要な課題です。ただ、「100日以内」というスピード感でワクチンや治療薬を開発・実用化するためには、研究開発投資の規模もさることながら、薬事承認などの規制・制度のあり方も大きな変革が欠かせません。
米国のような緊急使用承認制度の創設も急ぐべきです。安全性の確保が大前提ですが、有事においては、平時の発想にとらわれることなく、例えば「100日以内」といった明確な目標の下、薬事承認プロセスの運用改善、規制改革に取り組むべきと考えますが、総理の決意をお伺いします。

国内で十分な生産能力の確保も重要です。今回、ファイザーとモデルナのワクチンについては、海外で開発され、生産も海外のため、全量を輸入に頼ることとなりました。仮に海外で開発されたワクチンであっても、国内にしっかりとした生産能力があれば、安定的に供給することが可能となります。
昨年、米国は医療用マスクなどの輸出を規制しました。ワクチンについてもEUが域外への輸出を承認制とし、イタリアからオーストラリアへのワクチン輸出がストップしました。 国民の命に関わる事態にあっては、どの国も自国を優先する。これが一年余りの教訓です。国内でのワクチン生産、これは、まさに安全保障そのものです。
今後、大きな成長が見込まれるバイオ医薬品を巡っては、今回、モデルナのワクチン製造を請け負ったスイスのロンザや、韓国のサムスンバイオロジックスなど、半導体における台湾の半導体製造企業TSMCのような受託製造企業が、国際的な投資競争を繰り広げています。補正予算案において、2300億円規模で、ワクチンもバイオ医薬品も製造できるデュアルユース設備支援を行うに当たっては、こうした世界的な視野を持って、国内のワクチン製造能力確保に取り組んでもらいたいと思いますが、総理の見解をお伺いします。

第六波への備えから、ワクチン・治療薬、更には、次なるパンデミックも視野に入れた体制整備。与党として岸田内閣とともに、国民の命を守る対策を全力で進めてまいります。
社会経済活動の再開を見据えてお伺いします。
水際対策の厳格化は、社会経済活動に大きな影響を与えます。今後、変異株の特性が明らかになり、感染状況が落ち着いてきた時点で、緩和の再開等も適切に行われなければなりません。
現在、外国では入国時対応のデジタル化が進んでいる中で、日本では、入国時のワクチン接種、陰性証明の確認等に時間を要するという声を聴きます。利用者本位のスムーズで、ストレスのない入国手続き措置となるよう徹底的なデジタル化等を図るべきと考えます。この点について総理のお考えをお伺いします。

また、参議院自民党では、6月にワクチンパスポート検討チームを立ち上げましたが、事業者からは、QRコードがついていない接種証明書等を提示されると正確な内容確認に長時間を要するという声や、なりすましへの対応を懸念する声が寄せられました。その声を政府に伝え、政府も12月20日から、マイナンバーカードを使い、スマートフォンによって国内外で利用できるワクチン接種証明書が入手できるようになりました。
一方、マイナンバーカードの普及率は現在4割であり、更なる普及に取り組まなければなりません。また、スマホアプリにアクセスできない高齢者等の方々に対しては、QRコード付きの紙証明書の交付等も必要です。
社会経済活動の再開に実効性のあるワクチン・検査パッケージの社会実装に向けて、QRコード付きのワクチン証明を積極的に活用し、安心・安全に暮らすための社会インフラとなるようにすべきと考えますが、総理のご所見をお伺いします。

ワクチンのみならず、先進的な薬を創出していく能力、すなわち「創薬力」全般を高めていくことは、命と健康を守る上でも、また、日本の成長力を強めていく上でも極めて重要です。
ファイザーやモデルナの例にも見られるように、大手企業とベンチャー企業の連携や産学の協働等の強化は世界の流れです。人工知能などデジタルのフル活用についても後れを取ってはなりません。
医薬品に対する国民の多様なニーズにしっかりと応えていくことも大切です。最先端の医薬品開発に加え、わが国の強みである、幅広く厚みのある医薬品産業の存在を最大限活かすべきです。和漢薬の開発や研究、ジェネリック医薬品産業の振興、更には配置薬産業の担う役割の重要性もしっかりと認識しなければなりません。

政府においては、本年9月「医薬品産業ビジョン2021」を取りまとめています。最先端の創薬力を伸ばし、国民の健康を支える医薬品産業を活性化していくためには、このビジョンを踏まえて、取り組むべき課題を明確にしつつ、戦略的に政策を展開していくべきと考えています。この点についての総理の考えをお聞かせください。

岸田総理は、「新しい資本主義」の実現に向けたスタートダッシュとして、経済界に対して、来年の春闘において3%を超える賃上げを期待する旨を表明され、来年度の税制改正において、賃上げに取り組んだ企業への法人税減税措置も盛り込まれる方針を示されています。
その上で、雇用の7割を占める中小企業・小規模事業者での賃上げを実現するには、適正価格での取引を実現し、下請けとなることが多い中小企業・小規模事業者の利益を確保することが重要です。

私が官房副長官の時、発注企業からの買いたたきなどで下請け企業の負担が大きいという声があり、平成29年1月より、「下請けGメン」の取り組みを始めました。年間4000件以上の訪問調査を実施し、その情報を活かし、取引適正化に取り組んでいますが、総理から、倍増するという方針が示されており、更なる強化に取り組んで頂きたいと思います。
また、企業規模の大小に関わらず、企業が「発注者」の立場で自社の取引方針をコミットする「パートナーシップ構築宣言」への登録企業数は4000社を超えました。 しかし、まだ、大企業のパートナーシップ宣言登録は1割に止まっております。関係大臣から登録を働きかけて欲しいと存じますが、その点も含めて、総理は、どのような思いで、下請け企業における適正な取引価格の実現を成し遂げるおつもりでしょうか。総理の決意を伺います。

今回提出された補正予算案では、看護や介護、保育や幼児教育などの現場で働く方々の収入を引き上げるための措置が盛り込まれていますがそれぞれの現場で、この賃上げの予算を確実に現場の皆様に行き渡らせなければなりません。
また、看護については、まずは地域でコロナ医療など一定の役割を担う医療機関に勤務する看護職員を対象に、段階的に収入を3%程度引き上げていくこととした上で、収入を1%程度引き上げるための措置を来年2月から前倒しで実施するとされています。この前倒しとなる補正予算での賃上げを確実に実施するとともに、来年10月以降の更なる引き上げを図らなければなりません。そして、全ての職員を対象に公的価格の在り方を抜本的に見直す方針が示されています。

是非とも、賃上げの予算が看護・介護・保育・幼児教育等の現場の方々に確実に行き渡るような効果的な仕組み、工夫を講ずるべきです。また、すべての看護職員などを対象に公的価格の在り方を抜本的に見直し、継続的に賃上げされていくことで、より力強い成長と分配による好循環がつくりあげられることになると考えます。これらの点について、総理はどのようにお考えでしょうか。

「新しい資本主義」は地方から始まる。
高齢化・人口減少が進む中、地域社会をどのように守り、活性化するのかは、待ったなしの課題です。また、地球温暖化、感染症のまん延、自然災害など、大都市、とくに東京への一極集中の脆弱性は明らかです。
そして、政府や民間の調査では、新型コロナの影響で、東京から地方への移住に関心が高まっているという傾向が出ています。特に20代でこの傾向が強くなっています。コロナ禍の中で、地方の魅力や美しく豊かな農山漁村の価値が再認識されています。

こうした中、岸田総理は「デジタル田園都市国家構想」を打ち出しました。
デジタル化は、交通、医療、教育、防災、農林水産業など地域の抱える課題を解決するための大変有効なツールです。また、グローバル企業の中にも、本社機能を東京から地方に移す企業も現れています。
デジタルの潜在力を最大限活かすには、インフラの整備、人材の育成、規制・制度の見直しなど幅広い取組が必要です。また、地域のアイディア・発想を掘り起こしながら、全国の自治体関係者ともしっかりと議題を積み上げていっていただきたいと考えています。
先月、「デジタル田園都市国家構想実現会議」が立ち上がり、有識者も交えた議論がスタートしましたが、本構想をどのように具体化していくのか、今後のスケジュール感も含めて、総理のお考えをお聞かせください。

農林水産業は国の基であり、地方活性化にも直結するものです。
一方で、近年、食料・農林水産業を取り巻く状況は、生産者の減少、高齢化などの生産基盤の脆弱化が進み、また、地球温暖化に伴う農産物の品質低下や大規模災害の激甚化に加え、新型コロナを契機としたサプライチェーンの混乱等で大変厳しくなっています。
こうした中、様々な産業でSDGs・持続可能な開発や環境への対応が重視されており、農林水産分野でも、わが国として、将来を見据えた、新たな持続可能な食料システムを構築することが急務です。
そこで、私は、農林水産大臣を拝命していた本年5月、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるための「みどりの食料システム戦略」を策定しました。
この戦略では、農林水産業のCO2ゼロエミッション化の実現、化学農薬の使用量をリスク換算で50%低減、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%に拡大、などの意欲的な目標を掲げています。

その後、9月には国連食料システムサミットにおいて、この戦略をアジアモンスーン地域の食料システムのモデルとして打ち出しました。世界の国々が温室効果ガスの削減や持続的な食料システムの構築に向けて舵を切る中で、わが国も「みどりの食料システム戦略」を実現せねばなりません。
生産者の方々からも、経営に無理なく環境負荷を低減できるような、グリーンな栽培技術を早く導入したいという要望や有機農業を拡大するために、地方自治体も参加し、積極的に地域のモデルをつくっていくことが必要との意見などが寄せられています。農林水産業のグリーン化に前向きに取り組む生産者の方々を強力に支援していく必要があります。

この11月に、「新しい資本主義実現会議」において、取りまとめられた緊急提言の中では、持続性や「人」を重視し、グリーン分野の成長を推進することや、イノベーションを社会課題の解決に活用すること、そして、幅広い産業の生産性を向上し、豊かな中間層を生み出していくことなどが掲げられております。
そこで、この「みどりの食料システム戦略」を、コロナ後の新たな社会の開拓を目指す「新しい資本主義」の考え方にしっかりと位置付けた上で、この戦略の実現に向けて、今後具体的に、どのように取り組むのか、総理のお考えを伺います。

先日、公表された統計では、10月までの集計で、農林水産物・食品の輸出額は前年同期比28%増の9734億円です。長年の目標である年間1兆円の突破は確実です。 私は、大臣在任中、新たな輸出額目標の達成に向けて、「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」の取りまとめを行いました。日本の農林水産物・食品や和食は、高品質で美味しく、海外での評価も大変高くなっています。人口が減少し、国内市場が縮小していく中で、拡大する海外市場をしっかりと取り込んでいくことが重要です。

一方で、放射性物質に係る日本産食品の輸入規制について、粘り強く働きかけを行い、米国においては規制が全面撤廃となり、福島県産のコメをはじめ、14県で生産されたのべ100品目の食品を米国向けに輸出できるようになりました。また、EUも規制を大幅に緩和するに至りました。引き続き、中国や台湾、韓国など、今も規制を続けている14か国・地域に対し、政府一体となって交渉を進めていかなければなりません。
その上で、2025年2兆円、2030年5兆円という新たな輸出額目標の達成に向けては、マーケットインの発想に立って、海外市場が求める産品の生産・販売を行っていく必要があります。
2030年輸出額5兆円を達成するには、輸出産地・事業者の育成やリスクを取って輸出に取り組む事業者への支援、品目団体の組織化や輸出先国での専門的・継続的な支援などによる海外での販売力の強化等が必要と考えますが、総理のお考えを伺います。

地方創生を進める基盤となるのは、地域の安心・安全です。
明治39年、1906年に富山県はカルデラでの砂防工事を開始し、そこから「立山砂防」は、100年にも渡り、砂防事業が行われ、富山県民の命を守ってきました。先人たちから続く防災のための努力に敬意を払い、その努力により土石流などから守られている地域の安全に感謝するからこそ、富山県民は「日本の20世紀遺産」にも選ばれている「立山砂防」を、誇りを持って語ります。

急峻な地形を特徴とする日本では、河川氾濫や土石流等の発生に細心の注意を払う必要があります。農林水産大臣在任中、本年7月に静岡県熱海市で発生した大規模土石流の起点付近を現地調査し、被害を拡大させたとされる盛土の崩落を踏まえて、国土交通省と連携して全国の盛土を点検、調査することと致しました。大切なのは、危険性の高い盛土を直ちに撤去するなど、安全策を講じ、同時に、危険性の高い盛土がなされることがないように対策を講ずることです。この課題は、宅地の安全確保や、林地機能の確保、農地の保全、建設現場で発生する土の処理など、国土交通省、農林水産省をはじめとした広範な所管にまたがるものとなります。そこで、現時点で、盛土点検と調査はどのような状況なのか、それを踏まえ、法整備など、いつまでに盛土に対する抜本的な対応策を講じていくつもりでしょうか。総理にお伺いします。

昨今、地震の発生も相次いでおります。気候変動の影響を受け、大雪や大雨による被害も後を絶ちません。本年1月には、新潟県での大雪被害の状況を、8月にも福岡県、佐賀県の大雨被害状況の調査を行いました。現地の状況をこの目で見て、地域の声を聞くたびに、被災者への支援、被災地の復旧・復興、そして防災・減災、国土強靱化の重要性を改めて認識し、その加速化は国家の使命と胸に刻んでまいりました。
今回の補正予算案では、5か年加速化対応に1.5兆円に近い予算が計上され、さらに財政単年度主義の是正につながる事業加速円滑化国債1千億円の活用も盛り込まれています。
そこで、災害は準備が終わることを待ってはくれないことを肝に銘じながら、防災・減災、国土強靱化対策を加速化していく決意を、総理に伺います。

米中関係が厳しさを増す中で、先月、オンラインで米中首脳会談が開催されました。偶発的な軍事衝突など不測の事態が起きないように対話を継続することで一致しましたが、中国の一方的な現状変更を図る行為などについても応酬があったと報じられています。
欧州も中国への姿勢を変えつつあります。本年9月にはEUは「インド太平洋戦略に関する共同コミュニケーション」を発表、10月には、岸田総理と英国ジョンソン首相との間で「自由で開かれたインド太平洋」の実現に向けて緊密に連携することで一致しています。
また、9月には、米英豪3か国の新たな安全保障枠組みである「AUKUS(オーカス)」が創設されました。

2016年、安倍総理が第6回アフリカ開発会議で表明した「自由で開かれたインド太平洋構想」。日本が提唱した自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値やルールに基づくこのイニシアティブが新たな国際的な流れを作ったことは、大きな成果です。
本年9月には、菅総理が米国を訪問し、対面では初となる日米豪印首脳会合に参加し、4か国によるクワッドの協力推進や自由で開かれたインド太平洋の実現に向け、結束することを確認し、11月には英国で、岸田総理とバイデン大統領との間で、この実現に向けて緊密に連携していくことが確認されました。「インド太平洋構想」は菅総理、岸田総理の下、着実に広がりを見せています。
そこで、わが国として、クワッドやオーカス、更にはASEAN諸国との連携も含めて、「自由で開かれたインド太平洋構想」をどのように実現していくのか、その総合的な戦略について、総理にお伺いいたします。

日本を取り巻く安全保障環境は、一段と厳しさを増しています。北朝鮮は、衆院選公示日にもミサイルを発射するなど、安保理決議違反を繰り返しています。中国は、今なお軍事費を急速に増大させるとともに、台湾情勢も緊迫化しています。こうした環境のもと、国民の命と平和な暮らしを必ずや守り抜いていく。これは、私たち政治家の最も重い責任であります。
今般の補正予算では、7700億円を超える防衛費が計上され、ミサイル防衛能力や南西地域の島嶼部防衛などに必要な防衛力強化が前倒しで進められることは、わが国が直面している現実に速やかに対応していくための「緊要性の高い事業」であると考えます。
厳しさを増す安全保障環境を踏まえ、補正予算等も柔軟に活用しつつ、現実に対応した真に必要な防衛力強化を加速することが不可欠ですが、どのように取り組んでいくつもりでしょうか。領土・領海・領空、国民の命と暮らし、国家としての独立を毅然として守り抜くという総理の決意と併せてお伺いし、私の質問を終わります。ありがとうございました。