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政策国会国会演説代表質問

第204回国会における渡辺猛之参議院自民党筆頭副幹事長代表質問

第204回国会における渡辺猛之参議院自民党筆頭副幹事長代表質問

自由民主党の渡辺 猛之です。

冒頭、羽田雄一郎先生のご逝去を悼み、謹んで哀悼の誠を捧げます。

それでは、私は自由民主党・国民の声を代表して、菅総理大臣の施政方針演説について質問いたします。
まず、新型コロナウイルス感染症対策のため、年末年始もなく、業務に当たっていただいた医療従事者や保健所等の皆様、エッセンシャルワーカーの方々に心より感謝と敬意を表したいと存じます。

新年早々、一都三県を対象に出された緊急事態宣言は、1月14日から、私の地元・岐阜県も含めた11都府県に拡大されました。岐阜県では当初から、自宅待機者ゼロ、徹底したPCR検査など岐阜モデルと呼ばれる先手先手の対応で懸命に感染爆発を抑えていますが、全国的に感染者数の増加傾向は収まりを見せず、病床数もひっ迫する中、緊急事態宣言の発出と経済活動の一定の自粛要請はやむを得ない措置です。
一方、新型コロナウイルス感染症の拡大自体はもちろん、拡大を抑えるための経済活動へのブレーキも私たちの不安を掻き立てます。社会や経済、雇用のみならず、生活や心までもが大きなダメージを受け、「今、どう暮らしていけばよいのか。」「将来、どうなるのか。」という不安が大きくなっています。
参議院自由民主党では、一昨年から、国民の皆様が感じておられる不安に寄り添い、その声を政策につなげていくために「不安に寄り添う政治のあり方勉強会」を立ち上げ、活動を進めてきました。今回の新型コロナウイルス感染症についても、不安を抱えておられる人を支援するNPOの方々などからお話を聞き、さらに、インターネットを通じて5千人を超える皆様から率直な思いを伺いました。
そこで、新型コロナウイルス感染症拡大により、雇用・経営難・収入減少、そして生活への不安を抱えている方々が、なんとか前を向いてやっていこうと思える環境をどのように届けていくのか、この点について総理のお考えを伺います。

二度目の緊急事態宣言に伴う、飲食店の夜8時以降の営業自粛、また年末年始を挟むGoToトラベルの一時休止などで、飲食サービス、宿泊、運輸、小売業などに大きな影響が出ています。これらの業種は中小・小規模事業者が多く、また、非正規雇用の割合が高いことも特徴で、経済的な影響を受けやすい構造となっています。
感染拡大防止のために、思い切りブレーキを踏めば効果的であることは、一度目の緊急事態宣言から学びました。しかし、強めのブレーキを長く踏み続ければ、経済や雇用への影響は甚大なものがあります。
経済のアクセルとブレーキをどう臨機応変に切り分けていくのか。知恵と戦略が必要です。宿泊・飲食サービス、小売などに関わる事業者の日々の生業をどう守り、さらに新たな生活様式へのマッチングをどう支援していくつもりでしょうか。総理のお考えをお聞かせください。

新型コロナウイルス感染症拡大の中で、大変悲しいことではありますが、女性や若者の自殺が急増しています。厚生労働省の調査では、昨年の自殺者数は7月以降5か月連続で去年より多くなり、学生などの若い世代や働く女性などで特に深刻になっていることが分かっています。
「失業やアルバイト収入の大幅な減少などにより暮らしに大きな変化があった。」「気分が落ち込む、憂うつになる」。そんな声が聞こえてきます。
オンライン授業やリモート勤務で人間関係が変わったり、井戸端会議もしづらかったり、感染症の拡大により、経済面だけでなく、心理的にも追い込まれてしまいがちです。また、地域的なつながりが弱くなることで、これまでの社会的なサポートも届きにくくなっているのが現状です。
相談機関の方々は、信頼できる人や専門機関にまずは話をすること。これが第一歩だと言います。そして、解決策は必ずあるとも言っています。まずは相談です。
「いのちの電話」0120-783-556・なやみこころ、
子どもたちには、24時間子供SOSダイヤル、0120-0-78310・なやみいおう。
政府には、関連するNPOの連絡先なども含めて、更なる周知を図っていただきたいと思います。
同時に、新たな生活様式に適合した社会的なサポート体制を早急に構築し、必要な人に必要な経済的・精神的な支援を届けていくことも重要です。
政府は、女性や若者の自殺急増をどのように認識した上で、どう自殺防止のための対策を速やかに講じていく考えでしょうか。総理にお尋ねいたします。

地方自治法第99条は、地方公共団体の議会が国会に対して意見書を提出することができると定めています。昨年は、全国各地の地方議会から、6千件を超える意見書が参議院に提出されました。
参議院自民党には、私を含め地方議会出身の議員が多数所属しています。だからこそ届いた意見書が、地方の課題を解決するために議会内で懸命な調整が行われ議決されたものである、とよくわかっています。
そこで、われわれ参議院自民党は、「地方の院」と呼ばれる参議院においてこそ、地方議会からの意見書に敬意を払い、より活用されるべき、そんな思いを持って、議論を始めました。先月も全国地方三議長会の皆様から、意見書に対する考えをお伺いいたしました。
参議院議員は、院のイントラネットを通じて、提出された意見書を見ることができます。最近では、コロナ対策で地方財政も支出がかさんでいることから、コロナに係る臨時交付金の増額や財源措置確保、財政支援が目立ちます。また、義務教育の最前線で現場を見ている地方自治体であるからこそ、少人数学級の推進を求める意見書も多数寄せられています。
そこで、地方議会から提出された意見書の中から、まずは、新型コロナウイルス感染症に係る臨時交付金の増額や財源措置確保、財政支援がどのようなかたちで実現されているのかを坂本担当大臣に、次に、少人数学級の推進については、今後5年間で35人学級を実現するという方針が力強く打ち出されたところですが、どのような行程で実現化されていくのか、萩生田文部科学大臣に伺います。

地方議会からの意見書のうち、数多くあるものの一つが「防災・減災・国土強靱化」です。
毎年のように襲ってくる自然災害に、地方自治体は本当に苦慮しています。
昨年は、令和2年7月豪雨が、全国各地に大きな人的・物的な被害をもたらしました。岐阜県でも、多くの箇所で河川の氾濫や土砂災害が発生し、400棟を超える家屋が、全壊・半壊、床上・床下浸水などの被害に遭いました。道路寸断で孤立集落が発生したり、基幹道路の国道41号は崩落により一時通行止めとなりましたが、国土交通省はじめ国・県・市町村の見事な連携で着々と復旧が進んでいます。
令和2年7月豪雨では、全国アメダス地点における降水量の総和が「平成最悪の水害」といわれた平成30年7月豪雨を上回っています。また、昨年末は新潟県で、今年に入ってからも富山県や福井県で豪雪による交通寸断が発生しました。近年多発する、豪雨や豪雪は、いずれも地球温暖化による海水面温度の上昇が影響しているといわれています。
さらには、南海トラフ地震・首都直下地震などの大規模地震の発生も危惧される中、何よりも大切な国民の皆様の生命と生活を守り抜くためには、防災・減災・国土強靱化を迅速かつ強力に進めていかなければなりません。加えて、インフラの老朽化も進んでおり、地方では、経年劣化のために通行止めとなる橋梁なども現れています。計画的かつ効率的な対応が必要です。
昨年12月、政府は「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」を閣議決定しましたが、その着実な実行のためには、国の予算の確保のみならず、厳しい財政状況にある地方公共団体への財政的な後押し、さらには事業執行効率化のための技術の高度化に向けた支援などを確実に講じていかなければならないと考えます。この点について、総理の御所見を伺います。

わが国の経済と雇用を支え、活力を与えてきたのは、中小・小規模事業者の努力、技術そして知恵です。小惑星リュウグウから土壌サンプルを持ち帰った「はやぶさ2」のプロジェクトでも、従業員二、三十人規模の町工場で作られた部品が採用されています。中小企業が作る電子部品や素材などが、大企業の製品を支えています。今は大企業ですが、はじめは中小・小規模事業者だったところもたくさんあります。ポストコロナを見据え、日本経済の体質を改革していくためには、中小・小規模事業者の「数」だけで今後の政策を語るのではなく、それぞれが抱える悩みに耳を傾け、どうすれば今のコロナ禍の苦境を乗り切り生産性を高めていくことができるのか、という視点からの政策が必要ではないでしょうか。
これまでも、商工会や商工会議所などの支援機関は、伴走型の支援で地域の中小・小規模事業者を支えてきました。特に、新型コロナ感染症の影響が大きくなってからは、給付金や補助金の相談、申請など、中小・小規模事業者に寄り添った支援を続けてくれています。
ポストコロナを見据え、中小・小規模事業者は、デジタル化への対応、コロナ禍での新たな販路拡大、事業承継など直面する様々な課題を乗り越えていかなければなりません。
そこで、このような悩みに直面している中小・小規模事業者に寄り添い、必要なデジタル化を進め、あるいは事業承継を手助けすることによって、生産性の向上を図り、ひいては従業員の賃金引上げにつなげていく。そのために、政府として何ができるのか。総理の御所見をお尋ねいたします。

人口減少社会に入っているわが国では、中小・小規模事業者においても成長著しい海外へと販路を広げることが大切です。
日本はTPP11、日EU・EPA、さらには日米、日英間で高いレベルの自由化を実現する経済連携協定を締結し、次いで、日中韓やASEAN各国など15の国からなる包括的経済連携協定・RCEPを合意させています。成長力の高い地域に生産活動や販路を伸ばしていくチャンスが広がっています。
一方、現時点で、そのメリットを生かし切れていない企業からは、そもそもどのような仕組みなのか十分理解してない、販路の開拓の仕方がわからない、事務的な負担が大きいといった声が聞こえており、まだまだ経済連携協定がもたらす成長のきっかけを掴みきれていないところもあります。
政府の努力で締結にこぎつけた経済連携協定を、わが国の中小・小規模事業者の成長につなげるためには、海外展開支援や対内直接投資を後押しする政策をきめ細やかに講ずる必要があると考えますが、総理のお考えをお聞かせください。

安全・安心で、質の高い農林水産品もわが国の輸出戦略の一翼を担っています。新型コロナウイルス感染症拡大前は、三千万人もの訪日外国人が、日本の農林水産品を買い求め、レストランの前には行列ができていました。令和元年の訪日外国人旅行者の食関連の消費額は1兆4千億円、一人当たりの飲食費は3万5千円と経済的に大きなものです。
来日の目的の上位に「日本食を食べること」があるように、海外での日本食需要、それに伴う日本の農林水産物へのニーズが高まっており、昨年の農林水産物・食品の輸出額は11月時点で、9千億円を超えた令和元年のペースに迫るほどです。
各地方とも、農林水産物や食品の輸出促進など外国人の消費拡大への期待は高く、これまで熱心に取り組んでまいりました。岐阜県では、古田はじめ知事が先頭に立ちJAの皆さんと連携し、地域の特産である飛騨牛や鮎、富有柿を中心に県産農産物の輸出促進に精力的に取り組んでいます。オーストラリアやフランスのレストランで岐阜県食材が提供され、タイや香港での販売フェア、またハラール認証を受けた飛騨牛の需要開拓に向けたセミナーなども開催しています。
新型コロナウイルスで、農林水産物や食品の輸出を巡る環境は大きな影響を受けていますが、わが国の産品が持つ魅力は変わっていません。コロナ禍に負けず、政府は「農林水産物・食品・輸出5兆円目標の実現」という旗を降ろすことなく、より魅力的な産品を生産していくための体制強化、生産段階での⾷品安全規制への対応など輸出障壁の解消、そして海外での販路拡大と、各種施策を戦略的に推進していくべきと考えますが、野上農林水産大臣の御所見を伺います。

木材も、海外での需要拡大に熱い目を向けています。わが国では、戦後造成された人工林資源が本格的な利用期を迎えていることから、国内での需要拡大はもちろん、木材製品の輸出拡大を進め、林業・木材産業の成長産業化を図っていくことが重要です。
東アジアを中心に日本周辺では経済成長、人口増加に伴う建設関連の木材需要が盛んとなっており、現在、輸出額も増加傾向にあります。木材輸出には、大きく分けて、加工していない丸太を出荷する原木輸出と、丸太に何らかの加工をして製品化した上で出荷する製材品輸出という二通りがありますが、日本では単価の低い原木輸出が全体の4割を占めています。しかし、急峻な山が多いわが国では、伐採や搬出にかかるコストが高く、価格競争となることが多い原木輸出は、わが国林業の高付加価値化につながりません。将来に成長力の高い林業を伝えていくためには、より付加価値の高い、ブランド力のある製材品の輸出を増やしていくことが不可欠です。
例えば、高温多湿な気候のため、カビやシロアリに弱い木造住宅が普及してこなかった国や地域に、現地の条件に合った加工を施した部材を開発し、その部材を使用した健康志向の高い木造住宅を売り込む。あるいは、その国や地域になじみのない建築技術いわゆる「日本の匠の技」も併せて輸出することで、木材そのものだけではなく、生活文化やスタイル、そして技術も含めて総合的に売り込むことが、日本の林業の成長力を高め、ふるさとの緑を将来へとつなげていくことに役立つと考えます。
ちなみに、この議場に新たに設置されたスロープ。ここにも、静岡、長野と並んで岐阜県産の木材が利用されています。そこで、国産材の輸出拡大と高付加価値化をどのように進めていくつもりなのか、この点を農林水産大臣に伺います。

新型コロナウイルス感染症拡大の中、テレワークやインターネット通販などはさらに需要を増しており、次世代通信技術やそれを活用した市場開拓に向けた投資も活発化しています。
一方、今回の感染症の拡大で、日本のデジタル化の遅れが明らかになりました。技術やシステムの進化に合わせた政府のデジタル化ができておらず、特別定額給付金の配布では、その多くが12年近く前のリーマン・ショックのときと同じように、地方自治体職員の手作業で処理されました。同様の給付金を数日で配布できた先進国と比べると、大変残念な状況です。また、民間企業でもテレワークなどへの移行がスムーズにできず、5Gネットワーク普及率も先行する中国やEUなどに後れを取っています。
総理は、デジタル庁を創設し、政府全体のデジタル化を一気呵成に進めるとの方針を明らかにしていますが、例えばデジタル分野に詳しく且つ世界トップクラスのデジタル関係のリーダーとネットワークを持つような人材を引っ張ってくるなど、これまでの常識を打ち破る思い切った策を講ずるべきと考えています。でなければ世界と肩を並べるデジタル社会を構築することはできません。
同時に、政府のデジタル化のみならず、日本社会全体のデジタル化を進めるには、5Gやその先の次世代通信技術開発の支援措置や電波の割当優先措置などにより、先進的な通信インフラを早急に構築していくべきと考えています。そこで、総理に、デジタル社会構築に向けた強い決意、そしてその実現のための戦略をお伺いします。

「環境対応はもはや経済成長の制約ではない。」
総理は、「2050年カーボンニュートラルの実現」を大胆に打ち出した時、こう語りました。
かつてオイルショック後、日本は省エネ性能の優れた技術を開発し、効率の良い優れた製品を世界に売り込んでいきました。
制約が生まれても、それを乗り越える技術やシステムが発達すれば、新たな成長の起爆剤となります。カーボンニュートラルを技術やシステムの力で成し遂げることができれば、その製品がスタンダードとなり、世界市場を席巻することができます。
すでにEUは環境投資による経済活性化戦略を打ち出しています。米国も新大統領の下、地球温暖化防止策に対するスタンスを変えてくるでしょう。わが国の総理が、カーボンニュートラルの実現という野心的な目標を打ち出し、その達成を約束したことは、地球温暖化防止に対する固い決意を国内外に示すとともに、デジタルと並んで環境により経済を活性化させるというグローバルな競争に名乗りを上げたということです。
政府は、電気自動車向けの高性能電池の製造や、省エネルギー生産設備の導入など環境対策に役立つ設備投資を行う企業に対して、投資額の最大10%を法人税額から差し引ける税制改正や、脱炭素化の重点分野を支援する2兆円の基金の設置など、矢継ぎ早に施策を打ち出しています。これらも含め、どのようなかたちで官民の力を結集し、「環境と成長の好循環」を実現していくのか、その考えを総理にお伺いします。

移動の高速化は経済や社会を大きく変える。これは、先の東京オリンピック時に整備された新幹線や高速道路の効果を見ても、明らかです。特に、東海道新幹線は、それまで特急電車で6時間かかった東京・大阪間を3時間10分で結び、わが国の国土構造を一変させました。
今、リニア中央新幹線の整備が進んでいますが、現在の新幹線で要する時間の約半分での移動を可能にします。
また、リニアや新幹線は、乗客1人を1km運ぶ時のCO2排出量が少なく、温室効果ガス削減にも大きく貢献します。
このように、リニア中央新幹線や整備新幹線は、地方創生や地球温暖化防止に大きな効果があり、その整備促進へ期待が寄せられています。
しかし、リニア中央新幹線については、JR東海が、当初予定である品川・名古屋間の令和9年開業は難しくなったと表明しています。また、北陸新幹線金沢・敦賀間の延伸開業も、令和5年春から1年程度遅れると見込まれます。いずれも開業を見据えて準備を進めてきた地域経済にダメージを与えるものです。さらに、整備新幹線の場合は、建設費の一部を地元自治体が負担するスキームであることから、開業遅れに伴う工事費増は地元を直撃します。
そこで、地方創生、そしてカーボンニュートラル実現の観点からも、これまでの高速鉄道整備スキームの見直しを含めて、抜本的な推進強化策を講ずるべき時期に来ているのではないかと考えますが、総理のお考えをお聞かせください。

毎年、政府において、全国の中高生を対象に北朝鮮人権侵害問題 啓発週間作文コンクールが開催されています。入選作は作品集にまとめられており、いずれも力作ぞろいです。今年度は愛媛県の高校生や鹿児島県の中学生、昨年度は高校部門で山形県の高校生、そして中学部門では岐阜市立長良中学校三年生の生徒さんが最優秀賞に選ばれました。
北朝鮮による日本人拉致事件から40年以上が経過し、若い世代が日頃、事件に触れる機会は少なくなっています。それにもかかわらず、毎年若い方々から寄せられるすばらしい作文を読むと、これは偏に拉致被害者家族の皆様や拉致問題解決のために日夜邁進しておられる方々のご労苦が事件の風化を食い止めているのだと強く実感しました。
同時に、拉致問題自体を次の世代に持ち越すことがあっては絶対になりません。昨年6月には、横田めぐみさんのお父様、滋さんが87歳でお亡くなりになりました。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。一日も早く、拉致問題に終止符を打たなくてはなりません。これは、わが国の国会議員全員の使命だと思います。
安倍総理の強い働きかけにより、当時のトランプ大統領は、拉致被害者の家族と面会し、金正恩委員長との2度の首脳会談で拉致問題に言及しています。菅総理は、バイデン新大統領との、昨年12月の電話会談で、拉致問題を最重要課題として、理解と協力を求めています。今後、訪米そして新大統領との会談も行われることと思います。人権問題に対しては、これまで以上に厳しいスタンスをとると予想されるバイデン政権との連携を強め、拉致問題の解決に向けて、あらゆる手を講じてほしいと考えていますが、総理の決意と御所見を伺います。

本年3月11日、東日本大震災から、ちょうど10年を迎えます。
昨年3月には、帰宅困難区域を除くすべての地域の避難指示が解除されました。JR常磐線の全線開通も実現されました。さらに、福島イノベーション・コースト構想の中核をなす福島ロボットテストフィールドや福島水素エネルギー研究フィールドも全面開所となり、本格的な復興に向けた動きは着実に進んでいます。
しかし、今なお避難生活を送られている方々もおられます。また、専門家によれば、震災トラウマによる心のケアが必要な児童生徒は少なくなっているものの、養育上の問題や家族関係・貧困など、背景に震災の影響がある児童生徒は多く、長期のサポートが必要だという指摘もあります。
「福島の復興なくして東北の復興なし。東北の復興なくして日本の再生なし。」 この思いを胸に、復興完遂に向けてどのように取り組んでいくのか、総理のお考えをお聞かせください。

全国知事会の「参議院選挙における合区の解消に関する決議」は、「参議院は、創設時から一貫して『都道府県』単位の代表が選出されることで、地方の声を国政に届けるとともに、わが国における戦後の民主主義の発展に重要な役割を果たしてきた」という文言から始まり、参議院議員選挙における合区制度の問題点を掘り下げています。
個人の多様化が進んでいると言われます。それと同様、都道府県も長い歴史の中でそれぞれの独自性を育んできました。それにもかかわらず、1人の議員を選出するに当たっての選挙人1人の有する影響力、すなわち投票価値の平等という物差しだけで、あらゆる議会の選挙制度を決めてしまってよいのか、という全国知事会からの問題提起であると受け止めています。
合区解消を求める意見書は、知事会を含む地方六団体、そして35の県議会から提出されています。多様性の時代であるからこそ、地方の多様性が反映される選挙制度を目指して議論を進めていかなければならない時であると、最後に申し上げて、私の質問を終わります。