プーチン氏の国際舞台復帰を手助けしただけ? 米ロ首脳会談について各紙は一様に厳しい見方
1938年、ドイツは同国人が多く住むチェコスロバキアのズデーテン地方を併合しようとの野望を持ち、同地方内で分離気運を高めた。欧州での戦争勃発を恐れた英国のチェンバレン首相は独、仏、伊の4カ国の首脳会談開催を呼び掛け、最終的にズデーテン併合を追認した。これが有名な「ミュンヘン会談」である。独はこれで勢いづき、翌年にはポーランドに侵攻した。
国際政治の中で「ミュンヘンの教訓」という言葉があるが、これは安易な宥和姿勢を取ると独裁者を増長させ、かえって大規模な軍事行動、戦争を誘発するという意味を持つ。同様に2014年、ロシアがクリミア半島を併合した際、欧州各国は強硬な反対姿勢を示さなかったため、プーチン大統領はそれを奇貨とし、2022年、ウクライナへ全面侵攻した。この時、再び「ミュンヘンの教訓」が叫ばれたのは、多くに過去を想起させたからであろう。
ミュンヘン会談のもう一つの教訓は、小国の行く末を大国だけの"ボス交渉"で決めてはならないという点だ。当時、チェコは自国抜きの会議に強い憤りを示したものの押し切られ、禍根を残した。今回、米アラスカ州での米ロ首脳会談も同様で、ウクライナ問題も議題となったが、当事国が入らない形となった。まさに21世紀の「ミュンヘン会談」とも言える形式となったことに懸念が残る。トランプ大統領は米ロ会談直後にゼレンスキー大統領とも会ったが、プーチン氏の意思を伝えるだけに終わった感は否めない。
2つの会談について、各紙が社説を掲げた。米ロ会談についての各紙のトーンは一様に手厳しい...