扶養する子供が3人以上いる多子世帯を対象に、子供の大学等の授業料・入学金を無償化するための大学等修学支援法の改正案が今通常国会で成立しました。これを受け、新たな多子世帯への高等教育費無償化が4月から開始されます。

支援内容の概要
所得制限を撤廃

支援対象となる多子世帯の例
同制度の導入は、政府が令和5年に決定した「こども未来戦略」に基づくもの。従来、高等教育の修学支援は年収600万円以下の世帯に対して段階的に行われていました。
急速な少子化に直面するわが国で、高等教育費の負担が理想の子供の数を持てない大きな理由の一つと指摘されていることから、支援対象者を多子世帯の学生に拡充。所得制限は設けないこととしました。
同制度を通じて子育てに希望を持つことができる社会を実現し、少子化傾向の反転を図ります。
新たな制度は、子供を3人以上同時に扶養している間、大学等に在学している子供全員が対象。例えば、同時に扶養する3人の子供のうち、2人が同時に大学等に在学している場合は2人ともが減免措置の対象になります(イメージ別掲)。
第1子が卒業・就職等により扶養から外れ、扶養する子供の数が2人となった場合は、本制度が定める「多子世帯」ではなくなるため、多子世帯としての支援は終了します。
制度の対象拡大に伴い、支援を継続して受けるための学業成績の基準を改定。支援を受ける学生の学習意欲と成果を毎年確認し、履修科目の授業への出席率が6割以下となった場合等は、支援が打ち切られることになります。
令和7年度は納付後に返還
申込手続は、高校3年生の段階で申し込む「予約採用」と大学等へ進学後に申し込む「在学採用」の2種類。制度開始年度となる令和7年度については「在学採用」のみで、大学等へ入学後に申請手続きを行うことになるため、入学金・授業料を全額学校へ納付した後に支援額が返還されることになります。すでに在学中で、新たに対象となる世帯の学生も同様に、令和7年度は在学採用手続きを行うことで支援を受けられます。
申込の際に必要となる日本学生支援機構での手続きでは、扶養する子供の数を確認するためマイナンバーの確認書類を提出する必要があります。