「少数与党」による厳しい国会運営の中、令和7年度予算が3月4日、衆院を通過しました。国のリーダーとして日々の重圧の中で、政策を前に進める努力を重ねる石破茂総理・総裁に、自らが目指す「楽しい日本」の姿や、参院選に向けてわが党が訴える政策や政治姿勢、日米関係をはじめとする安全保障、開幕が迫る大阪・関西万博に向けた熱い思いを聞きました。(3月4日にインタビューは収録しました)。

互いが助け合い、尊重し合う「楽しい日本」を皆で目指そうと呼び掛ける石破茂総裁
「楽しさ」見つけて実現する
一人一人が実現する「楽しい日本」、これを国民の皆さま方と共につくり上げていきたい――石破総裁は1月6日の総理大臣年頭会見で、新たな目標として「楽しい日本」を掲げた。その思いを聞いた。
石破茂総裁 「楽しい日本」は昭和45年の大阪万博に携わり、平成31年に亡くなった堺屋太一さんの最後の著書に触れられています。非常に読みやすい本でしたが、最初は違和感がありました。「強い日本」「豊かな日本」というのは理解できますが、「楽しい日本」とは何なのだろう、と。私も国会議員になって39年になりますが、政治の世界もそうですし、日本全体がお互いを認め合い、尊重し合う「楽しいな」というものがすごく薄れているように感じています。
日本は昨年の幸福度ランキングが世界で51位、主要7カ国(G7)で最下位。かなり低いです。戦後の日本は豊かだし、独立も守って戦火に巻き込まれていないのですが、国民が幸せを感じていないというのはなぜなのでしょうか。
私は昨年、総裁選挙の立候補宣言を地元の小さな神社でやりました。私が子供の頃、そこには今よりも貧しかったけれども、笑顔があって、お互いを尊重し合って、助け合う社会がありました。明るくて楽しかった。今の日本に欠けているものだと思います。
国民に「豊かさ」と「優しさ」を届ける
参院選 実感できる「成果」で応える

石破総裁は一つ一つの問いに対して自らの言葉で、思いを巡らせながら答えた
今年は7月に参院選が行われる。石破総裁は与党として参院選で国民に「豊かさ」が実感できる政策を届けたいと力説する。
石破 経済をコストカット型から高付加価値創出型に変えていきます。物価上昇を上回る賃金上昇を、全ての労働者に実現していきます。食料品やエネルギー価格の物価高から国民生活をあらゆる手立てで守りながら、賃金・所得が増えることを実感していただく「成果」で応えていくことが大切です。
また、人口減少については、根本的な原因の一つに婚姻率の低下があります。それは若い世代に将来への不安や、「手取りが十分ではない」という思いが婚姻率の低下につながっているのではないでしょうか。教育の無償化、給食費の無償化といった具体的な政策を通じて、全ての子育て世代をいかに支援するか。
全ての世代に「豊かさ」が実感できる政策をこれから先も前に進め、その成果を参院選で訴えます。
また、地方創生2.0も大きなテーマです。農林水産業やサービス業、地方に多く存在する産業の潜在力を最大限に伸ばしていく余地はたくさんあります。農林水産業はこれまでなかなか付加価値が伸びてこなかったのですが、付加価値を高めることに力を入れ、地方も「豊かさ」を実感できる地方創生2.0を進めていきます。
国会審議 忍耐、努力、誠意―濃密で意義ある議論
インタビューは衆院本会議で予算が通過した直後に行われた。少数与党として大きな難所を乗り越えた石破総裁は衆院での審議を振り返った。
石破 「少数与党」での予算審議は大変な苦労がありました。過去に参院で過半数割れをしていた時もありましたが、第一院である衆院で過半数割れという初めての経験の中で、現場の予算委員会理事の皆さんをはじめ、国会対策委員会の皆さん、幹事長、政務調査会長をはじめ、自民党・公明党の全ての皆さんの忍耐、努力、誠意のおかげで国民生活に重要な来年度予算が衆院を通過することができました。今回は日本維新の会にご協力いただきました。予算に反対した党もありましたが、濃密で意義のある議論が行われたと思っています。この経験を生かしつつ、われわれが訴えたいことをさらに説明を重ねていかなければならない、としみじみ思いました。

衆院予算委員会で令和7年度予算が可決し、安住淳予算委員長と握手をする石破茂総理
万博開幕 「楽しい日本」が始まるきっかけに
ぜひ体験して「熱」を広げよう

大阪・関西万博のマスコット「ミャクミャク」を手に、万博をアピールする石破総裁
4月13日に開幕する大阪・関西万博。昭和45年の「大阪万博世代」である石破総理は、万博には並々ならぬ情熱を持っている。
石破 昭和45年の大阪万博当時、私は中学2年生で3回行きました。春休みに購入した公式ガイドブックを夜な夜な読み返し、何を見に行こうかと楽しみにしていました。万博会場には動く歩道や月の石、人間洗濯機と、驚きや楽しそうと感じられるものがありました。それはにぎやかで楽しかった。希望と明るさと笑顔がありました。「これから先、日本は良くなる」という希望がありました。今回もきっと「予期せぬ出会い」が体験できる場になります。