
能登半島地震では港湾施設も甚大な被害を受け、緊急物資の輸送等に支障が生じました(写真は石川県の輪島港)
政府は今国会に港湾法等改正案を提出しています。改正案は(1)緊急物資等の輸送拠点としての港湾機能の確保等(2)気候変動に伴う海水面上昇に対応した港湾の保全(協働防護)(3)公共岸壁等の適切な機能確保のための工事代行等(4)洋上風力発電の導入促進に向けた課題への対応―の4本柱。
(1)は能登半島地震で海上輸送の重要性が再認識された一方、陸路が寸断され港湾施設の応急復旧資材の調達等に困難が生じた教訓を踏まえたもの。具体的には、災害時やむを得ない場合、港湾施設の応急復旧に現場周辺の石材等を活用可能とする制度(応急公用負担)や、緊急物資等の輸送拠点としての機能強化に資する民有港湾施設を災害時に港湾管理者が使用することができる協定制度を創設します。これらにより、災害時における港湾の緊急物資等の輸送拠点としての機能を速やか、かつ確実に確保する体制を構築します。
(2)は気候変動に伴う海水面上昇が予測される中、多様な主体が立地し、水際線に面するという港湾の特性上、官民協働による備えが不可欠であることから、護岸のかさ上げ等の取り組みを促進するための協働防護計画制度を創設するものです。同計画の作成・実施は、港湾管理者や立地企業等からなる協働防護協議会が行い、同計画に基づく取り組みを促進するための協定制度も創設します。
(3)は港湾インフラの老朽化が進む中、中小港湾管理者の技術職員不足が深刻化し、地域を支える港湾インフラの更新工事の実施が困難な状況となっていることを受け、港湾管理者の要請に基づき、国が港湾工事の代行する制度を創設します。
(4)は2050年カーボンニュートラルの達成に向けた洋上風力発電の導入目標を確実に達成するため、基地港湾の一時利用に関する協議を行うための協議会制度を創設します。