国難災害から国民を守る体制を
今世紀に入って、筆者らによる南海トラフ巨大地震や首都直下地震に関する研究が進み、起これば国難災害となることが明らかになってきた。そのきっかけとなったのは、30年前の阪神・淡路大震災である。何としても、国難災害となることを避けなければならない。起こればそれがきっかけとなって、わが国の衰退が始まるだろう。
その心配の最中に、コロナパンデミックに全世界が巻き込まれた。幸いだったのは、G7(先進国7カ国)中、わが国の感染率、死亡率が最低だったことである。ちなみに米国では115万人が亡くなり、わが国は7万4500人であるから、両国の人口規模を比較すれば、わが国は30万人以上の犠牲者を数えてもおかしくなかった。そうならなかったことに、もっと誇りを持たなければならない。国力として、1人当たりのGDP(国内総生産)等の多寡が、必ずしも指標になるわけではない。わが国には、伝統的な災害文化があり、これは欧米先進国でも真似できない。
実は、緊急事態条項を日本国憲法に明記するということや防災庁を設置するということは...