地方創生成功のカギは「人づくり」
東京一極集中もわが国の人口減少も続いており、この10年の地方創生の取り組みは失敗であった。地域同士のヒト・カネのゼロサムゲームに過ぎず無益である―。果たしてそうだろうか。
現職に就任して以来、この1年半、地域活性化センターの地方創生実践塾等の活動を通じて全国の地方創生の先進地といわれる地域の現場を訪れ、これまでの取り組みの経緯等を聞き、意見交換してきた。北海道東川町、岩手県紫波町、宮城県石巻市、新潟県燕市、長野県千曲市、岐阜県飛騨市、兵庫県丹波篠山市、和歌山県みなべ町、鳥取県日南町、島根県海士町、徳島県神山町、宮崎県新富町・都農町等、いずれも少子高齢化と人口減少の荒波にさらされながらも特色ある地域づくりに取り組んで来たところであり、そこで働き、暮らす方々の充実感に満ちた明るい表情が印象的だった。
今や地方創生成功の代表例とされる隠岐の島の海士町で、将来への強い危機感のなか自らの給与を半減して投資や販路拡大で漁協の成長に繋げた民間出身の(故)山内道雄氏が町長となったのが平成14年、23年前。
「地方消滅」というショッキングな言葉とともに現在に続く地方創生の取組が始まったのが平成26年。地方創生担当の初代大臣が石破茂総理であることはご存知の通りだ。
以来、地方創生交付金をはじめ関係各府省庁のさまざまな支援制度が整備拡充され、その運用も改善されてきたため、今や、当時の海士町のような苛烈な取り組みまで求めずとも地方創生につながる事業に必要な資金の調達が可能となり、また地域おこし協力隊をはじめとする外部人材活用の方策も整ってきている。
旧来の「地域活性化」から進化した「地方創生」の特長として...