インバウンドを含めた観光需要は急速に回復し、多くの観光地ではにぎわいを取り戻しています。しかし、この急速な観光需要の回復によって、一部地域では観光客による過度な混雑やごみの投棄等のマナー違反によるオーバーツーリズムを引き起こしています。政府は「オーバーツーリズムの未然防止・抑制に向けた対策パッケージ」をとりまとめ、オーバーツーリズムに対して適切な対処を行っていくことにしました。
訪日外国人数コロナ禍前に迫る回復
コロナ禍から日常生活に移りつつある国内外で、インバウンドを含めた観光需要は急速に回復しています。
特に、海外からの訪日外国人の数は、円安の影響もあり、今年9月の訪日数は約218万人(推計値)と、コロナ禍前の約227万人(令和元年9月)に迫る人数に及んでいます(下グラフ参照)。

※日本政府観光局(JNTO)資料より作成。なお、令和元年および令和4年は確定値
令和5年1月~7月は暫定値、令和5年8月・9月は推計値。
このように急速に観光需要は回復していますが、国内外の観光客等の訪問先が、東京・大阪・愛知の3大都市圏や北海道・福岡・沖縄といった一部地域に偏在する傾向にあります。
これらの地域では、観光客の集中によるバス・タクシー等の公共交通機関の混雑や観光客によるごみの投棄、私有地への無断立ち入り等のオーバーツーリズムが深刻な問題となっています。
地域が主体で実施
このオーバーツーリズムの状況を改善するため、政府は、(1)観光客の集中による過度の混雑やマナー違反への対応(2)地方部への誘客の推進(3)地域住民と協働した観光振興ーこれらの観点から、オーバーツーリズム対策パッケージを取りまとめました。
(1)観光客の集中による交通事情の改善には、路線バスから鉄道への分散・乗り換え促進や、連節バス導入等、車両の長大化の支援等を進めます。
さらに、山小屋に宿泊せずに山頂まで一気に登る「弾丸登山」や軽装での登山、ごみの投棄等が今夏改めて問題視された富士山に関しては、適正な入山管理等に関して、今秋から関係自治体等で協議を進めて行く方向です。
また、言語が通じない人にも一目見て意味が伝わるピクトグラム(絵文字)に関して、訪日客にもわかりやすい統一ピクトグラムを策定し、世界的な旅行ガイド本への掲載等を通じて訪日前から意味の周知を図ります。
さらに、(2)地方に観光客を誘導することは、都市部を中心に発生しているオーバーツーリズムを軽減することにつながります。
そこで・・・
