ニュースのカテゴリを選択する

お知らせ「自由民主」先出し雇用社会保障女性活躍

「106万円・130万円の壁」 どんな課題?何が論点?
Q&A形式で解説します

「106万円・130万円の壁」 どんな課題?何が論点? Q&A形式で解説します

衆院予算委員会で「年収の壁」について問題提起した萩生田光一政務調査会長(左)と平将明議員(右)

1月30日からはじまった衆院予算委員会の審議で、萩生田光一政務調査会長がいわゆる「106万円の壁」「130万円の壁」の見直しを問題提起しました。パートタイムで働く配偶者が社会保険に加入するために、年収が減ってしまい、「働き控え」につながっている問題について、Q&A形式でまとめました。

Question
「106万円の壁」「130万円」の壁とは?
Answer
パートタイムで働いている配偶者が一定の年収を上回ると扶養家族から外れて、社会保険料を払わなければならないことです。年収130万円を超えると被扶養者でなくなり、医療や年金の保険料を払わなければなりません。また、従業員数101人以上の事業所に勤める短時間労働者は年収106万円以上等の要件を満たすと被用者保険加入の対象になります。
保険料を払うと手取りの収入が減ってしまうので、年収がその基準を超えないように、労働時間を調整する「働き控え」が起こる現象が「年収の壁」です。
Question
なぜこれが論点になっているのでしょうか?
Answer
パート労働者の時給は年々上昇しています。一方で、労働時間は年々減少し、昨年は初めてパート労働者の年間労働時間が1800時間を切りました。賃上げが実現しても、パート労働者の年収は上がっていないのです。
「106万円・130万円の壁」 どんな課題?何が論点? Q&A形式で解説します

萩生田政調会長が予算委員会に提出した資料より

Question
現場の人手不足にもつながっていませんか?
Answer
昨年10月、年収106万円以上等の要件を満たす短時間労働者が被用者保険に加入する企業規模を501人以上から101人以上に拡大しました。その結果、より多くの事業所で「働き控え」が起こって、年末にシフトを回せないといった事態が発生しました。来年10月には企業規模を51人以上に拡大する予定で、現状では今年末以降、さらに「働き控え」が広がる可能性もあります。
Question
解決策は?
Answer
萩生田政調会長が予算委員会に提出した資料によると、妻が年収106万円を超えた場合、世帯手取り額水準を戻すためには、妻の手取り4割増が必要と試算しています。
その世帯手取り額が減少してしまう分を補うため、萩生田会長は社会保険料納付を時限的に免除すること等を提案しました。その財源として休眠預金の活用を提案しました。
Question
どのくらいの財源が必要になりますか。
Answer
2月1日に衆院予算委員会で同じ問題を提起した平将明議員によると、パート労働者個人の社会保険料負担分を給付する場合、必要となる財源は約6000億円と試算しています。
平議員は「収入の壁」を克服することで、世帯収入が増え、国内総生産(GDP)1%相当の経済波及効果があると主張。社会保険料収入も事業者負担と合わせると約1兆1千億円増えるとの試算も公表しました。
Question
「年収の壁」克服に向けた論点は?
Answer
岸田総理は「130万円の壁」について、「制度を見直す」と明言しています。一方で、「被扶養者でない単身世帯の方々との公平という問題はある」とも指摘しています。また、社会保険料は労働者と事業者が折半して支払いますので、事業者の負担が増えることも考慮しなければなりません。
岸田総理は「正規、非正規の間の制度や待遇面の差の改善、非正規労働者の正規化といった幅広い取り組みを進める」と述べています。短時間労働者の被用者保険適用拡大を進めることは、待遇差を改善するために必要な政策ですが、これだけでは「働き控え」を解消できていません。わが党は政府と連携し、「年収の壁」を克服する方策について、各方面への影響を慎重に見極めながら議論を進めていきます。

ご購読のお申し込みはこちら。