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お知らせ「自由民主」先出し復興

福島第一原発処理水の海洋放出
ALPS処理水の安全性は確認されています

政府は1月13日、福島第一原子力発電所の処理水に関する関係閣僚会議を開き、海洋放出の時期が、本年春から夏頃となる見通しを示しました。時々、インターネット上等で「汚染水」と「処理水」を混同し、有害な放射性物質を大量に含む「汚染水」を海に放出するという発信がされていますが、これは誤りです。海洋放出するのは、「汚染水」を特殊な機械で浄化処理し、放射性物質の大部分を取り除いた「処理水」です。そのため、海に流しても環境や人体に影響が生じるものではありません。課題は、誤った情報の発信等による風評影響であり、政府とわが党はかねてより、風評対策に全力で取り組んでいます。

ALPS処理水処分は福島の復興に不可欠

東京電力福島第一原発の廃炉は、福島の復興の大前提です。しかし、巨大な貯蔵タンクは1000基を超え、今後、より本格化する廃炉作業を安全に着実に行うため、新しい設備を建設する場所を確保する必要があります。そのため、ALPS処理水を処分して、タンクをなくしていくことは、廃炉と復興に向けて不可欠な作業です。
ALPS処理水の処分の決定については、政府において、6年以上にわたり専門家を交え議論を行いました。その結果、国内外での実績の有無やモニタリングの容易さなどを考慮し、海洋放出が最も確実な手段であると評価されました。その後、公開の場での意見聴取や書面意見の募集などを経て、安全性の確保と徹底した風評対策を前提に、海洋放出を行う方針を決定しました。

「汚染水」を浄化処理したものが「処理水」

福島第一原発では、平成23年の炉心溶融(メルトダウン)事故によって原子炉の核燃料が溶け落ちて固まった「燃料デブリ」が今も内部に残っています。この燃料デブリを冷却するため今も継続的な水の注入が行われていることに加え、雨水や地下水が原子炉建屋内に流入すること等で発生するのが「汚染水」です。汚染水については、その発生量の低減や外部への漏洩防止といったさまざまな対策が続けられています。
取り出した汚染水は、特殊な設備を使用して放射性物質を除去する浄化処理が行われた後、タンクに貯水されています。この浄化処理過程で使われているのが多核種除去設備(ALPS=アルプス)で、ALPSによって処理された処理水のことを「ALPS処理水」といいます。

福島第一原発処理水の海洋放出 ALPS処理水の安全性は確認されています

「廃炉の大切な話2022 福島第一原子力発電所の今とこれから(資源エネルギー庁作成)」より

ALPSで放射性物質の大部分を除去

ALPSによって、汚染水に含まれるトリチウム以外の62種類の放射性物質が国の規制基準を下回るまで浄化処理されます。具体的には、セシウム、ストロンチウム、ヨウ素、コバルト等の放射性核種を薬液によって沈殿処理したり、活性炭・吸着材で吸着したりして取り除かれます。
ALPSによる浄化処理により、汚染水に含まれるほとんどの放射性物質が取り除かれますが、「トリチウム」という放射性物質は取り除くことができません。そのため処理水には、安全基準を超える「トリチウム」が残ります。
これを聞くと「放射性物質を含んだ処理水を海に流そうとしている」と、一見危険なように感じるかもしれません。しかし、トリチウムは日々自然に発生している物質であり、水道水や雨水、私たちの体の中にも含まれている「自然界にも広く存在する放射性物質」です。

「トリチウム」は人体にほぼ影響なし

トリチウムが出す放射線のエネルギーは非常に弱く、紙1枚でさえぎることができます。また、体内に入っても蓄積されることなく水と一緒に体外へ排出されるため、人体への影響は全くと言っていいほどないとされています。
そんなトリチウムは、水分子の一部になって存在しており、水から除去できる実用可能な技術は現在のところ存在しません。そのため、トリチウムを含む処理水は世界中の多くの原子力施設から安全基準を満たした上で海に放出されています。それら施設の周辺からは、トリチウムが原因とされる影響は見つかっていません。

放出するトリチウム濃度は基準の40分の1未満

ALPS処理水の海洋放出にあたっては、トリチウムの安全基準を満たすよう、海水で大幅に薄めた上で行われます。その際のトリチウム濃度は、1,500ベクレル/リットル未満となるように処理されます。この基準は、国際的考え方に基づいた国の安全基準の40分の1、世界保健機関(WHO)が定める飲料水ガイドラインのおよそ7分の1です。そのため、ALPS処理水の海洋放出によって人体や環境に影響を及ぼすことは考えられないとされています。
国連の組織である国際原子力機関(IAEA)も、福島第一原子力発電所における処理水の海洋放出は科学的根拠に基づくものであり、国際慣行に沿うものと評価しています。

福島第一原発処理水の海洋放出 ALPS処理水の安全性は確認されています

「廃炉の大切な話2022 福島第一原子力発電所の今とこれから(資源エネルギー庁作成)」より

風評抑制へ政府与党で全力

科学的、国際的にも安全性が証明されているALPS処理水の海洋放出ですが、今に至るまでそれが行われてこなかった背景には、地元の漁業関係者に対する風評影響が懸念されていることにあります。
こうした風評影響を防ぐため、政府は、風評対策に係るさまざまな取り組みを実施しています。昨年からは漁業者を始め地元住民等との車座対話や全国地上波のテレビCM・ウェブ広告・全国紙の新聞広告等を活用した情報発信等も強化し、安全性への理解醸成の取り組みを進展させています。
また、万が一の風評に伴う地元産品の需要減少に対応するため、水産品の一時的買取り・保管等のための基金や漁業者が事業を継続するための基金を措置しました。

こちらの記事全文は「自由民主」インターネット版に掲載されています。
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