現行の健康保険証について、河野太郎デジタル大臣は10月13日の記者会見で、令和6年度秋をめどに廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に切り替える方針を示しました。これにより、医療分野におけるデジタル化が一層進み、わが国の医療の質と効率が高まると期待されています。その一方、マイナンバーカードについて、誤った情報が多く出回っています。ここでは、マイナ保険証について正しいメリットや、マイナンバーカードに関するよくある懸念についてお答えします。
既にカードリーダー設置済みの医療機関で利用可能
登録すればマイナンバーカードを健康保険証として利用できる「マイナ保険証」の制度は、昨年3月から既に始まっています。今まで政府は、将来的に健康保険証を廃止してマイナンバーカードへの一体化を目指すとしていましたが、今回はその具体的な時期が示された形です。
健康保険証では券面に記載された情報を基に医療保険の資格情報を確認するのに対し、マイナ保険証では、マイナンバーカードにあるⅠCチップの電子証明書を利用し、医療保険の資格情報を確認することになります。
政府は、このⅠCチップの電子証明書を読み取るための顔認証付きカードリーダーを、全国の病院・医療機関や薬局等の窓口で整備・導入を進めています。
既に窓口にカードリーダーが設置されている医療機関では、受診等の際に、マイナ保険証をかざして顔認証又は暗証番号の入力を行えば、健康保険証として利用できます。
【マイナ保険証のメリット4選】
●病院窓口での受け付けがスムーズに
カードリーダーで顔認証を行えば、スムーズに本人確認と医療保険の資格確認ができ、医療機関や薬局の受け付けにおける事務処理の効率化が期待できます。
※なお、機器に顔写真データは保存されません。
●より良い医療が可能に
本人が同意すれば、医師や薬剤師等が、自身の特定健診結果や、今まで受けてきた診療行為、処方されている薬等に関する情報を取得できるようになります。このため、初めての医療機関にかかる際や、複数の病院に通っている場合でも、患者がこれらを記入や口頭で医師に説明する手間が省けるほか、正確な情報に基づいて適切な医療を受けることができます。
●手続きなしで限度額以上の一時支払いが不要に
今までは、限度額適用認定証/限度額適用・標準負担額減額認定証は、事前に申請する必要があり、急な入院等の場合は限度額以上の高額な医療費を一時的に支払う必要がありましたが、オンライン資格確認を経れば、認定証がなくても限度額が自動で確認することができ、支払いが免除されます。
●健康保険証としてずっと使える
転職や引っ越し、結婚をしても、新しい医療保険者へ手続済みであればマイナンバーカードを健康保険証としてずっと使うことができます。
※医療保険者が変わる場合は、加入の届け出が必要です。
【マイナンバーカードQ&A】
- うら面のマイナンバーが見られたら悪用されるのでは?
- 他人があなたのマイナンバーを使って手続きすることはできません。
まず、オンライン資格確認の仕組みはマイナンバーを用いたものではありません。マイナンバーカードのICチップ内の電子証明書を活用した仕組みです。
また、窓口ではカードリーダーにかざすだけなので、マイナンバーを受付で控えることはありません。なお、この仕組み以外の他のマイナンバーを利用する手続では、厳格な本人確認が求められるため、そもそもマイナンバーを知られただけで悪用されることはありません。
- もしマイナンバーカードを紛失したら個人情報が漏れたり悪用されるのでは?
- マイナンバーカード自体にプライバシー性の高い情報は入っておらず、悪用も困難です。
カードのⅠCチップには、健診情報や薬剤情報、税や年金等の情報も記録されていません。もし不正に情報を読みだそうとするとICチップが壊れる仕組みです。
また、カードの利用には暗証番号による認証が必要なので、悪用は困難です。もしランダムに暗証番号を入力しようとしても、一定回数間違えるとカードがロックされる仕組みです。
万が一、カードを紛失した場合は、一時利用停止が可能で、24時間365日対応しています。マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)にご連絡ください。
- マイナンバーで預貯金額や医療等のあらゆる個人情報を国が監視するのか?
- 監視はしていませんし、できません。
マイナンバー制度は個人情報を一ヵ所に集めて管理する仕組みではありません。また、法律に定められた行政事務を行う行政職員だけが、必要な情報に限ってアクセスすることとされています。
- マイナンバーが流出すれば、芋づる式に個人情報が漏れるのでは?
- マイナンバー制度では、制度・システム両面で様々な安全管理措置を講じており、万が一流出しても、芋ずる式に漏れることはありません。
マイナンバー制度では、行政機関等の保有する個人情報は、各行政機関等がそれぞれ分散して管理する仕組みとなっています。機関間の情報のやりとりは、マイナンバーではなく、システム内でのみ突合可能な、機関ごとに異なる符号で行います。そのため、万が一どこか一カ所で漏えいがあっても個人情報を芋づる式に抜き出すことはできない仕組みとなっています。