長野県選挙区では、わが党公認の新人、松山三四六候補が2期目を狙う立憲民主党現職としのぎを削っている。
7月2日の朝7時半頃、松山三四六候補(52)は松本市内の交差点に立っていた。流れる汗をものともせず、ビールケースの上で力強く手を振る姿に、行き交う車の中から「応援してるよ」「頑張れ」と多くの声がかけられた。その温かい反応に手応えを感じたという松山候補だが、「まだまだこれから。最後まで丁寧にやっていきます」と表情を引き締めた。
松山候補が挑むのは、2期目を目指す立憲民主党議員。全国的な知名度がある元テレビキャスターだが、松山候補もラジオ・テレビや講演等で活躍し、地元での知名度は引けを取らない。ただ、陣営関係者によれば「松山さんなら大丈夫でしょう」と反応する有権者も少なくないという。投票率の低い若年層で支持が厚いこともあり、陣営は手応えの良さが得票に直結するわけではないとみて警戒。確実な投票を呼び掛ける。
松山候補は「信州6策」として幅広い政策を掲げる一方、演説ではあえて地方創生を軸に内容を絞る。同日、松本駅前で行われた立憲現職の街頭演説会では、関係者がこうした松山候補の姿勢を「信州のためだけ」と揶揄(やゆ)した。
しかし、松山候補が「日本一の信州」を掲げる真意は、「移住したい県第1位」であり「日本のど真ん中」でもある信州を元気にすることこそ、日本全体の元気につながるとの考えだ。世界で食糧や経済の安全保障が叫ばれる今、豊かな森林等の潜在力をデジタルや先端技術で引き出すことにより「信州はこれからの日本、そして世界のモデルケースになれる」と訴える。
一方、立憲現職はというと、演説の大半が政権批判だ。萩原清県連幹事長も「現職は知名度だけで実績がない。令和元年には台風19号で甚大な被害が出たにも関わらず、復旧の予算に反対した。何のために長野から出ているのか。その点、松山候補はずっと復旧作業のボランティアに行っていた。地域の課題もしっかり勉強していて、われわれより長野県に詳しい」と指摘する。
同県においてわが党は昨年4月の補選も含め参院選で直近3連敗し、苦戦を強いられてきたが、昨年10月の衆院選では、わが党候補者が全員当選。風向きは大きく変わってきた。
この流れを今回の勝利につなげようと、陣営一丸となって選挙戦に臨んでいるが、その中には多くのファンも含まれる。20年来のファンだという男性(56)もその一人だ。これまで選挙経験はなかったが、「(松山候補は)ずっとみんなに寄り添い、支えてきてくれた。ファンとして最初は戸惑ったが、長野のためにと立候補したなら応援しなきゃと思った」と話し、献身的にサポートする。
「信州に希望があると思うなら、ぜひ皆さんの一票を託してほしい。さぁ、共に創ろう。日本一の信州を」。
さまざまな人たちに支えられながら選挙区を駆け巡る松山候補の熱い想いは、確実に県民へと伝播(でんぱ)している。
各地の街頭演説には多くのファンも駆け付ける。初めての選挙戦に挑む松山三四六候補にとって、ファンの応援は大きな力だ