記者会見新型コロナウイルス

自身の新型コロナウイルス感染症の療養終了等についての岸田内閣総理大臣記者会見(全文)

茂木幹事長

おはようございます。
国民の皆様にも御心配いただきましたが、本日から対面での公務を再開し、全身全霊、全力投球で仕事に取り組んでまいります。
この間、官邸の医療スタッフを始め、多くの方のサポートを頂きました。お陰様で、オンラインで公務を進めつつ、体調も完全に回復をいたしました。
皆様の御協力と御理解に感謝を申し上げます。

今回、コロナに感染して強く感じたことは、ワクチンの有用性です。ワクチンの4回目接種を済ませていたことで、軽い症状で済みました。自らの実体験も踏まえ、皆様には、引き続きワクチン接種に御協力をお願いするとともに、10月から開始予定のオミクロン株対応の新たなワクチンの接種について、その開始を更に前倒しすることといたします。

さて、思い返してみますと、今から1年前、私は、我が国の民主主義を守る、信なくば立たず、こうした思いで自民党総裁選挙に出馬いたしました。昨年10月、総理就任後は、国民の皆さんの声を聞き、丁寧に政治を進める中で、(新型)コロナ(ウイルス)、ウクライナ侵略、また物価高などへの対応に当たってきました。

この間行われた2回の国政選挙では、政権への御信任を頂きました。国民の皆様の期待に応え、山積する課題を一つずつ解決していかなければならない、そうした思いで有事対応と政策実行のための内閣改造を行いました。

しかし、今、率直に申し上げて、政治に対する国民の皆様の信頼が揺らいでいると深刻に受け止めております。改めて、総裁選出馬を決意した昨年の原点に立ち戻り、私が先頭に立ち、政治への信頼回復に取り組まなければならない。信頼と共感の政治に向け、決意を新たにしております。

まず、旧統一教会の問題です。我々政治家は、それぞれの政治活動において、可能な限り多くの方々と接し、その意見に耳を傾け、自分自身の考えも御理解いただく努力が不可欠です。また、信教の自由や政教分離は憲法上の重要な原則として最大限尊重されなければなりません。

しかしながら、政治活動には責任が伴います。宗教団体であっても、社会の構成員として関係法令を遵守しなければならないのは当然である一方、政治家側には、社会的に問題が指摘される団体との付き合いには厳格な慎重さが求められます。

私の政権における大臣、副大臣、政務官については、自ら当該団体との関係の点検を行うとともに、関係を絶つことの確約を得たところです。しかし、閣僚等を含め、自民党議員について、報道を通じ、当該団体と密接な関係を持っていたのではないか、国民の皆様から引き続き懸念や疑念の声を頂いております。

自民党総裁として率直におわびを申し上げます。

国民の皆様の疑念、懸念を重く受け止め、自民党総裁として茂木幹事長に対し、先週来、3点指示をいたしました。

第1に、党として説明責任を果たすため、所属国会議員を対象に当該団体との関係性を点検した結果を取りまとめて、それを公表すること。
第2に、所属国会議員は、過去を真摯に反省し、しがらみを捨て、当該団体との関係を絶つこと。これを党の基本方針として、関係を絶つよう所属国会議員に徹底すること。
第3に、今後、社会的に問題が指摘される団体と関係を持つことがないよう、党におけるコンプライアンスチェック体制を強化すること。

自民党として説明責任を果たし、国民の皆様の信頼を回復できるよう、厳正な対応を取ってまいります。

また、当然のことながら、政府としても霊感商法等の被害者への対応に万全を期すため、法務大臣を議長とする「旧統一教会」問題関係省庁連絡会議や、消費者庁に霊感商法等の悪質商法への対策検討会を設置しており、政府を挙げて被害者の救済に全力で取り組んでいきます。

次に、9月27日に予定しております安倍元総理の国葬儀について申し上げます。

選挙遊説中の安倍元総理に対する凶行を受けて、私は国葬儀を実施するとの決断をいたしました。民主主義の根幹たる国政選挙を6回にわたり勝ち抜き、国民の信任を得て、憲政史上最長の8年8か月にわたり重責を務められたこと。第2に、東日本大震災からの復興や、日本経済の再生、日米関係を基軸とした戦略的な外交を主導し、平和秩序に貢献するなど、様々な分野で歴史に残る業績を残されたこと。第3に、諸外国における議会の追悼決議や服喪の決定、公共施設のライトアップを始め、各国で様々な形で国全体を巻き込んでの敬意と弔意が示されていること。第4に、民主主義の根幹である選挙活動中の非業の死であり、こうした暴力には屈しないという国としての毅然たる姿勢を示すこと。国葬儀を執り行うとの判断に至った理由をこのように説明してきました。

諸外国からは、各国王族、大統領など、国家元首・首脳レベルを含め、多数の参列希望が寄せられております。こうした各国からの敬意と弔意に対し、日本国として礼節を持ってお応えすることが必要だとの思いを強くしております。

もとより、今回の国葬儀の開催は、国民に弔意を強制するものではありませんが、様々な御意見とともに、説明が不十分との御批判を頂いております。国葬儀の実施を判断した総理大臣として、そういった御意見、御批判を真摯に受け止め、正面からお答えする責任があります。政権の初心に帰って、丁寧な説明に全力を尽くしてまいります。

そのため、国会の場で、閉会中審査の形で、私自身が出席をし、テレビ入りで国葬儀に関する私の決断について質疑にお答えするという機会を頂きたいと考えております。一日でも早くこうした場をつくるべく、与党幹事長、国対委員長に必要な調整を行っていただくよう、先ほどお願いいたしました。野党の皆様にも御協力を賜れれば幸いです。

最後に(新型)コロナ(ウイルス)対策です。

第7波の先、ウィズコロナの新たな経済社会に向けた対応として、専門家や現場の意見も踏まえ、全国ベースでの全数届出の見直し、陽性者の自宅療養期間の見直し、健康フォローアップセンターを含めた新たな療養体制などの全体像はおおむね固まっており、移行の準備を進めています。

しかし、まずは高齢者を始め、リスクの高い方々の命を守り、第7波を乗り越えていくことが優先です。そのため、8月24日に緊急に講ずる国内感染対策について発表いたしました。今後、感染状況の推移を見ながら、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行の全体像について、適切なタイミングで改めて公表いたします。

他方、世界各国で国際的な交流が活発化しており、我が国もそうした交流に参加するとともに、円安のメリットをいかす観点からも、水際対策について、9月7日より入国者数の上限を5万人に引き上げるとともに、全ての国を対象に、添乗員を伴わないパッケージツアーによる入国を可能にするなど、更なる緩和を行います。また、MySOS(入国者健康居所確認アプリ)の改善により、空港での入国手続の円滑化を行います。

国内外に数十年に一度の大きな課題が山積しています。初心に帰って、何事も丁寧に説明をし、一つずつ結果を出すことで、国民の皆様からの信頼回復につなげてまいります。