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第2次岸田改造内閣の発足等についての岸田内閣総理大臣記者会見(全文)

茂木幹事長

政策断行により、数十年に一度とも言われる難局を突破するため、経験と実力に富んだ、新たな自民党・公明党の連立政権を発足させました。

新型コロナ(ウイルス)、ウクライナ危機、台湾をめぐる米中関係の緊張、そして国際的な物価高、引き続き我が国の内外で歴史を画するような様々な課題が生じています。

先の参議院選挙において、国民の皆さんから頂いた岸田内閣への信任を一刻も早く形にし、皆様の期待に応える、有事の内閣を速やかに整えていくため、内閣改造を断行いたしました。

今後、8月末の概算要求を皮切りに、年末の予算編成、税制改正、そして来年の通常国会への法案提出等、お約束してきた政策を本格的な実行に移す段階となります。また、国際情勢が緊迫する中で、ポスト冷戦期の次の時代の新しい国際秩序をつくり上げ、我が国の平和と安全を守るために全力を尽くしてまいります。

今回の内閣改造では、骨格を維持しながら、有事に対応する「政策断行内閣」として、山積する課題に対し、経験と実力を兼ね備えた閣僚を起用することといたしました。

まず、政権の骨格として、松野博一官房長官、林芳正(よしまさ)外務大臣、鈴木俊一財務大臣、斉藤鉄夫国土交通大臣、山際大志郎経済再生担当大臣には留任いただきます。

その上で、重点的に5つのことに取り組んでまいります。

第1に、この国の安全と安心を守るための体制を強化いたします。年末に向けた最重要課題の一つが防衛力の抜本強化です。必要となる防衛力の内容の検討、そのための予算規模の把握、財源の確保を一体的かつ強力に進めていきます。そのため、防衛政務次官、防衛庁副長官、そして防衛大臣を歴任し、更に自民党国防部会長や衆議院安全保障委員長も経験し、正に我が国の安全保障、防衛政策を熟知する浜田靖一(やすかず)氏に防衛大臣への再登板をお願いし、強いリーダーシップを発揮していただきます。

第2に、経済と安全保障が一体化する中で、経済安全保障推進法を実行に移し、機微技術の流出防止や、サプライチェーンの強靱(きょうじん)化等を急ぐ必要があります。そこで、これまで自民党の政調会長として経済安全保障本部を牽引(けんいん)し、経済安全保障政策を推進してきた高市早苗氏を大臣に起用し、関係省庁や産業界等との調整に当たっていただきます。

第3に、岸田内閣の最重要課題である新しい資本主義の実現を通じた経済再生です。人への投資、スタートアップの育成、グリーン・トランスフォーメーション、デジタル・トランスフォーメーションなどの実現に向けた体制を強化いたします。

まず、新しい資本主義の全体調整とスタートアップ担当大臣については、実行計画の取りまとめを担当した山際大臣に引き続き担当いただきます。特に、人への投資は新しい資本主義実現に向けた肝です。過去20年間で2番目に高い、プラス2.07パーセントとなった春闘、4年ぶりの増加となったこの夏のボーナス、そして過去最大となった最低賃金の引上げに続き、更なる賃上げに向けた環境整備や職業訓練の強化など、人への投資を抜本的に強化していきます。

その上で、新しい資本主義における重要な投資分野であるデジタル・トランスフォーメーションを強力に推進するため、河野太郎氏を起用することとしました。発足から間もなく1年となるデジタル庁の業務を更に活性化し、デジタル改革を強力に進め、諸外国から後れを取っている我が国のDX(デジタル・トランスフォーメーション)を一気に加速するため、持ち前の実行力、突破力で進めてもらいたいと思います。

デジタルとともに重要なグリーン・トランスフォーメーション担当大臣、そして経済産業大臣については、経済再生担当大臣などを歴任し、エネルギーや経済産業政策に深い専門性を持つ西村康稔(やすとし)氏を起用いたします。グリーン・トランスフォーメーションの前提となる、安価で安定的なエネルギー供給の確保についても、冬の電力需給ひっ迫への対応や、原子力の活用も含め、しっかり検討を進めてもらいます。

第4に、コロナ対策の新たなフェーズへの移行と対応の強化です。コロナ対策については、現在、第7波の荒波の中から、少しずつ感染者数が減少に転ずる地域が出てきています。国民の皆さんの御協力、医療・福祉関係者の御努力に心から御礼を申し上げます。

今後、新型コロナ(ウイルス)の感染症法上の取扱いをどうするかを始め、ウィズコロナに向けた新たな段階への移行を、時機を逸することなく進めなければなりません。あわせて、次の感染症危機に備えて「感染症危機管理庁」(仮称)でありますが、こうした組織の創設といった新たな挑戦を進めてもらう必要もあります。山際大臣に引き続きコロナ対策をお願いするとともに、厚生労働大臣には、官房長官や厚生労働大臣を歴任してきた加藤勝信氏に再登板をお願いし、医療・保健体制の確保に万全を期してまいります。

第5に、こども政策、少子化対策の強化です。来年からスタートするこども家庭庁の設立準備を着実に進めるとともに、こども政策、そして少子化対策を抜本的に強化するため、若い、フレッシュな目線で対応できるよう、現在、党の青年局長を務める小倉將信(まさのぶ)氏を起用いたします。

こうした重点課題を内閣一体となって進めていくためにも、各分野における安定した行政運営が不可欠です。

とりわけ、国家公安委員会委員長兼防災担当大臣については、これから災害の多い季節を迎える中で、速やかに責任ある体制を整備しなければなりません。また、国家公安委員会委員長として、安倍元総理殺害事件をしっかりと検証し、警備体制を立て直す必要があります。このため、これまで復興副大臣や、衆議院国土交通委員長などを歴任し、また、阪神・淡路大震災において兵庫県庁の現場で陣頭指揮を執って以来、一貫して災害対応力の向上に取り組んできた谷公一氏にかじ取りをお願いすることにいたしました。

総務大臣には、総理補佐官や総務副大臣などを歴任してきた寺田稔(みのる)氏を起用し、電気通信事業の立て直し、携帯電話料金の着実な引下げ、5G、光ファイバーなどのデジタルインフラの整備、マイナンバーカードの普及の加速化等を進めていただきます。

法務大臣には、2度にわたり法務副大臣を歴任し、衆議院法務委員長としても豊富な法務行政経験を持つ葉梨(はなし)康弘氏を起用いたします。

文部科学大臣については、文科副大臣や衆議院文科委員長を歴任してきた永岡桂子氏を起用し、教育、科学技術政策を推進いただきます。

農林水産大臣は、ロシアのウクライナ侵略を受けて食料価格の高騰や、食料安全保障が大きな課題となっている中で、農水政務官、自民党の農林部会長を歴任した農林水産政策の専門家である野村哲郎氏にお願いすることといたしました。

環境大臣には、官房副長官や、国交副大臣などを歴任し、自民党2050年カーボンニュートラル実現推進本部を事務局長として推進してきた西村明宏(あきひろ)氏を起用し、2050年カーボンニュートラルに向けた社会づくりを進めていただきます。

東日本大震災からの復興は、引き続き岸田内閣の重要課題です。復興大臣には、宮城県出身で、復興副大臣や衆議院東日本大震災復興特別委員長を歴任し、復興に尽力してきた秋葉賢也氏を起用いたします。

地方創生大臣兼沖縄及び北方対策大臣には、官房副長官や財務副大臣などを歴任してきた岡田直樹氏を起用し、「強い沖縄経済」の実現、北方対策の推進とともに、我が国のイノベーション力の世界への発信、デジタル田園都市国家構想を始め、地方創生に全力を挙げていただきます。

以上、閣僚人事の考え方について申し上げましたが、あわせて、いわゆる旧統一教会に関連する問題について申し上げます。

まず、私個人は、知り得る限り、当該団体とは関係がないということを申し上げます。その上で、個々の政治家は、国民の皆さんからできるだけ幅広い支援を頂くため、政治活動の一環として様々な方々と交流をしております。信教の自由については憲法上保障がなされているものでもあります。しかし、社会的に問題が指摘されている団体との関係については、国民に疑念を持たれるようなことがないよう十分に注意しなければなりません。

国民の皆さんの疑念を払拭するため、今回の内閣改造に当たり、私から閣僚に対しては、政治家としての責任において、それぞれ当該団体との関係を点検し、その結果を踏まえて厳正に見直すことを言明し、それを了解した者のみを任命いたしました。

その上で、2点の指示をいたしました。

第1に、憲法上の信教の自由は尊重しなければなりませんが、宗教団体も社会の一員として関係法令を遵守しなければならないのは当然のことであり、仮に法令から逸脱する行為があれば、厳正に対処すること。

第2に、法務大臣始め関係大臣においては、悪質商法などの不法行為の相談、被害者の救済に連携して、万全を尽くすこと。これらを岸田政権として徹底し、国民の皆さんから信頼される行政運営を行ってまいります。

昨年総理大臣に就任して以来大切にしてきた、国民の声を丁寧に聞き、信頼と共感を得る政治を実現するという基本からぶれることはありません。2度の国政選挙で国民の皆さんから頂いた信任を、政策を進める力に変え、政府・与党が力を合わせて、全身全霊で政策を断行し、この難局を突破してまいります。国民の皆さんの御理解と御協力をお願いいたします。