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記者会見新型コロナウイルス医療

緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の期間延長について菅内閣総理大臣記者会見(全文)

菅内閣総理大臣

先ほど新型コロナ対策本部を開催し、北海道、東京都、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、福岡県について、緊急事態宣言を延長し、6月20日までとすること。また、埼玉県、千葉県、神奈川県、岐阜県、三重県について、まん延防止等重点措置の期間を延長して、同じく6月20日までとすることを決定いたしました。

全国の新規感染者数は、全体として減少に転じる一方、依然として増加傾向にある地域もあり、予断を許さない状況です。関西では感染者数の減少が続いていますが、大阪、兵庫を中心に病床はひっ迫し、非常に厳しい状況にあります。首都圏では感染者数は横ばいから減少傾向にありますが、東京では依然としてステージ4の水準にとどまっております。その他の宣言地域でも高い水準にあります。また、全国の重症者数、死亡者数は高止まりの状況が続いています。こうした状況の中で、6月20日までの延長を判断いたしました。

警戒すべきは、変異株の影響です。いわゆる英国株の割合は全国で8割を超え、また、いわゆるインド株については海外渡航歴のない方からも確認されています。強い感染力を持つとされる変異株への置き換わりが進む中で、実施される対策が感染者数の減少につながるまで、以前より長い時間を必要としております。

今月末を緊急事態宣言の期限として皆様に御協力いただき、対策を進めてきました。この結果、新規感染者数が減少したとはいえ、宣言を解除する段階にまでは至っておらず、ワクチン接種を加速化することと併せて、今しばらく感染を抑えるための対策を徹底する必要があります。度重なる延長は大変に心苦しい限りでありますが、これからの3週間は感染防止とワクチン接種という二正面の作戦の成果を出すための極めて大事な期間と考えております。皆様の御理解と御協力を心よりお願い申し上げます。

感染防止の具体策ですが、引き続きそれぞれの自治体と協力し、飲食店の時間短縮や、お酒やカラオケの提供の停止などを改めて強くお願いいたします。かねてより、飲食やお酒を伴う会合などでの感染リスクを下げることが対策の急所と指摘されてきました。長きにわたり御協力いただいている皆様に心から感謝申し上げ、その御労苦のほどを深くお察しいたします。

多くの方々がワクチンを接種され、感染が収束に向かい、飲食や宿泊がかつてのにぎわいを取り戻すまでの間、支援策を着実に実施してまいります。また、皆様の切実な声に、引き続き耳を傾けてまいります。今回の宣言の延長を踏まえ、雇用調整助成金については7月も特別措置を継続することとし、雇用を守ってまいります。また、日本公庫等による実質無利子・無担保融資については、当面、年末まで延長することとし、事業者の資金繰り支援に万全を期してまいります。

変異株への監視を強化いたします。インド、パキスタン及びネパールからの入国者に対しては、これまで入国後6日間としてきた待機措置を強化し、本日から入国後10日間に延長するなど、水際対策を徹底します。

効果的な調査と対策で感染を抑え込んでいる地域があります。福井県では、4月の陽性者の98パーセントの感染経路を特定し、その85パーセントがマスクなしの会話が原因であると分析されております。これを踏まえ、飲食店などにおいても会話をする際にはマスクを着用することが徹底され、極めて低いレベルに感染が抑えられております。こうした地域の結果も踏まえれば、会食時も含めた会話の際にもマスクの着用という基本的な対策が有効です。

皆さんに改めて、マスク、手洗い、3密の回避、基本的対策、いわゆる会話をする際にはマスクを着用することの重要性を御認識いただき、その徹底をお願いいたします。たとえ変異株であっても対策に変わりはありません。

感染を防止し収束へ向かわせる切り札が、ワクチンです。世界の国々でもその効果ははっきりと現れております。医療従事者を対象とする接種に加え、ほぼ全国の市町村で高齢者への接種が開始され、接種回数は1日に40万回から50万回となり、これまでに1,100万回を超える接種が行われました。全国の市町村では多くの集団接種会場と医療機関で接種が行われ、さらに、先日視察した自衛隊による大規模接種センターに加え、3つの都道府県において既に大規模接種センターが設置されています。こうした関係者の皆さんの御協力の結果、全国の大多数の市区町村で7月末までに高齢者の接種を終える予定となっております。全国の自治体や医療関係者の方々には、心から感謝申し上げます。

そして、多数の医療機関や接種会場が追加され、多くの都道府県で大規模接種センターを開設する動きが続々と出ております。さらに、多くの企業や、Jリーグ、プロ野球などの施設、あるいは全国の大学から、会場を提供したいというありがたい申し出を頂いております。一日も早く接種を進めて新型コロナに打ち勝つ。そうした協力の輪が全国に広がりを見せていることを、実感しております。改めて、皆様に感謝を申し上げる次第でございます。

一方で、全国の現場では、打ち手の方々がまだ足りないとの声や、接種費用には上乗せ支援が必要などの意見が聞かれます。医師、看護師に加えて、新たに歯科医師に接種を行っていただいており、さらに救急救命士、臨床検査技師が接種を行うことができるように、また、薬剤師が診断に御協力いただけるよう、取り組んでおります。国としては、しっかりと財政支援を行います。できることは全てやります。

1日100万回を目指して、日々の接種回数を増やし、まずは希望する高齢者の接種にめどをつけます。そして来月中には、予約状況などを踏まえ、高齢者への接種の見通しがついた市町村から、基礎疾患がある方々を含めて、広く一般にも接種を開始いたします。併せて、皆さんの職場や大学でも接種を進めてまいります。十分な量のワクチンは既に確保しております。6月末までに1億回分が供給され、9月までには更に1億回を上回るワクチンが確保できる予定です。

東京オリンピック・パラリンピック大会については、多くの方々から不安や懸念の声があることは承知しています。そうした声をしっかりと受け止め、関係者と協力しながら、安全・安心の大会に向けて取組を進めております。

具体策としては、まずは、来日人数削減の徹底です。当初18万人の計画が7万8,000人と半分以下に絞られており、更に合理化を進めます。また、大会に参加する選手や関係者には、徹底した検査とワクチンの接種が行われます。そして、宿泊先を制限し、移動は専用車両に限定いたします。一般の国民と交わることがないようにし、悪質な違反には、資格剝奪を含め、徹底した行動管理を行います。テスト大会も実施され、万全の感染防止に努めています。引き続きIOC(国際オリンピック委員会)、IPC(国際パラリンピック委員会)、組織委員会、東京都が調整を進め、国としてもしっかりと協力して、国民の命を守ってまいります。

感染を封じ込めながらワクチン接種を加速するというこれまでにない新たな挑戦に立ち向かい、一日も早く安全・安心な日常を取り戻すために、内閣の総力を挙げて取り組んでまいります。私たちの力を結集すれば、必ずウイルスに勝つことができます。私自身、その先頭に立ってやり遂げてまいります。改めて、皆様方の御理解と御協力をお願いします。
私からは以上です。